201.《ネタバレ》 所謂「ボディ・スナッチャー」系の映画なのですが、舞台を高校とその周辺に絞ってティーン・ホラーとして成立させているのが上手いですね。
なんせ「盗まれた街」の映画化に限っても四回以上は行われている訳であり、どうしても陳腐な内容となりそうなところを、演者と舞台設定によって新鮮に思わせる事に成功してる。
イライジャ・ウッドとジョシュ・ハートネットの共演が拝めるのも楽しいし、冒頭に流れるオフスプリングの曲をはじめとして、今観ても「若々しいセンスの良さ」を随所に感じる事が出来る、時代を越えて愛されるタイプの映画だと思います。
ただ、自分としてはヒロイン格であるデライラに魅力を感じなかったもので……ラストで主人公ケイシーが彼女と結ばれても、全然祝福する気になれなかったのが残念でしたね。
見た目は物凄い美人なのですが、性格が「嫌な女」としか思えなかったというパターン。
寄生される前から「ガリ勉じゃ私に釣り合わない」なんて言い出す傲慢さだし、ラストにて「学園のヒーローになったケイシー」と結ばれたのも「これでようやく私に釣り合う存在になったから付き合ってあげた」と言わんばかりの態度に思えちゃうしで、どうも好きになれなかったです。
もう一人の主人公ジークと、女教師のエリザベスとの関係性は好みだったので、もっとそちらにスポットを当てた構成だったら、印象も違っていたかも。
あとは、体育館の巨大な座席が閉じる仕組みを駆使してラスボスを倒すのは痛快だけど、事前に伏線を張っておいて欲しかった(座席が閉じるシーンを見せておいて欲しかった)という事。
コーチに誘われていたのはケイシーで、メアリーベスと因縁があったのはジークの方なので「ジークがアメフトを始める」「ケイシーがメアリ―ベスを倒す」というオチの付け方は、互い違いじゃないかと思えてしまった事……と、気になるのはそれくらいでしたね。
自分の好みを言わせてもらうなら「コロッと態度を変えて言い寄って来たデライラを袖にして、ケイシーはアメフトを始める」「ジークは自らがトドメを刺したメアリ―ベスに憐れみを感じながらも、エリザベス先生と結ばれる」って着地の方が良かったんじゃないかと思えますが、実際の終わり方も、そこまで嫌いじゃなかったです。
とにかく、細かい不満点が色々あったとしても、それらを吹き飛ばすくらいに「好きな部分」が多いもんだから、観ていると気にならなくなるんですよね。
特にジークがファーロング先生を倒す場面は恰好良くて、少年時代に観た時は、本当に痺れちゃったのを憶えています。
オタク少年だった自分にとって、ジークは理想的なアウトローだったし、いじめられっ子なケイシーも等身大で感情移入出来る存在だったしで、この二人が主人公ってだけでも、もう「好きな映画」になっちゃうんです。
「僕は目にペンでも刺すかな」というファーロング先生の台詞など、細かな伏線が効いている作りなのも良い。
「貴方は優しくしてくれた。嬉しかったわ、とても」というメアリ―ベスの台詞は演技ではなく、本音だったんじゃないかと思える辺りとか、妄想の余地を与えてくれる脚本なのも良かったですね。
主人公グループの中に裏切者がいるんじゃないかと疑心暗鬼になる件は、今になってみれば「遊星からの物体X」が元ネタだって分かるけど……
初見の際には知らなかったもので、凄くドキドキしながら観賞出来たし、元ネタを知った今観ても、ちゃんと面白かったです。
完成度は高くないし、物凄い傑作という訳じゃありませんが、色んな世代の「映画好き」に観てもらいたくなる。
そんな、オススメの一本です。