124.《ネタバレ》 【前書き】
正体不明のウィルスが地球を跋扈している。
悲しい事に、ウィルスは日本の稀代のコメディアンの命さえも奪ってしまった。
人の命とは比べるまでの無い話だが、各種イベントがウィルス蔓延に基づく様々な理由で中止・延期になっている。
楽しみにしていた2020/4/18開催予定の「エイリアン2ライブ」も、楽団員が英国から渡日出来ないとの事で残念ながら中止になってしまった。
その埋め合わせでは無いが、実はまだ本作のレビューを投稿していなかった事に気が付き、
当初の予定とは全く異なる環境下(自宅のTV)で実に10年振りの再鑑賞となった。
【本題】
「何これ滅茶苦茶面白いじゃん!!」が10年振り再鑑賞後の素直な感想だ。
起承転結が明確でありスピーディにストーリーは進み、登場人物は皆見事なまでにキャラ分けされ、その説明も物語冒頭に無駄なく描かれている。
物語にリアリティを持たせるためのお膳立ても完璧で、惑星の各種設備・宇宙船・揚陸艇・兵士が駆使する各種兵装の隅々まで、
究極のヲタク且つ完璧主義者のキャメロンの拘りが画面全体に漲りまくっている。(一緒に仕事をする人は大変だろう)
物語の根幹は悲劇のヒロイン:リプリーの喪失と再生、それを母性愛を基点にして上手く描いている。
今回鑑賞した完全版では、何故リプリーがニュートに対し命を掛けてまで愛情を注ぐのかが良く判る様になっていて、
なおさら物語に感情移入出来る。上手い。
クライマックスの「究極のお母ちゃん対決」も、ストップモーション撮影とライブアクションを上手く組み合わせた手に汗握る素晴らしいもの。
まだCGが一般化していなかった時代にこれだけのクオリティの映像を実現できたのは、キャメロンの創造性と情熱と、それらを柔軟に捉えて
視覚化させたもう一人の天才、スタン・ウィンストンの功績だろう。
このシリーズ、本作以降は「柳の下のドジョウ」を狙う配給会社の思惑と、
「4」以降で過去の自作を汚された巨匠が、自らの汚名をそそがんと言う思いが交錯し、
とんでもない展開になってしまった事がとにかく残念。
許せても「3」までですっぱり終わっていればよかったものを・・・(この先は省略)
既存の媒体を最大限に活用し極上のエンターテイメントに仕立て上げるキャメロンの才、
つまりは「タイタニック」に繋がる流れはこの時すでに開花していたのだ。