43.《ネタバレ》 テレビCMでの「鵺(ぬえ)の鳴く夜は恐ろしい」のキャッチコピーと、「Let it be」のメロディーラインが、まだ幼い脳に強烈に刷り込まれました。とはいえ、劇場に見に行くわけもなく、その後テレビ放送されたのを、途中だけチョロッと見たのだと思いますが(当時家にはテレビが1台しかなく、父親が黙々とザッピングしているので、作品をまともに鑑賞するということがなかった)、岸本加世子が演じる双子の娘の片方が、もう片方のことを、「カタホウ」と呼んでいたことが、とても気味悪く感じられて鳥肌が立ったことを思い出します。林の中、双子の片方が、「カタホウがいない!カタホウ、カタホウ!」と呼びながら、もう片方を探し回ってた映像の記憶があるのですが、今回見たところ、そういう映像はなかったので、あまりの不気味さゆえに、幼い脳内で創り出された幻だったようです(笑)。今となって、改めてみてみると、テレビCMのインパクトが強烈だったのに対して、本編は、インパクトがないまま、ツルツルすべっていくような感じですね。鹿賀丈史も日本人離れした顔立ちにもかかわらず、どこかツルツルしています。映像自体は落ち着いていて美しいのですが、金田一シリーズを構成する大きな要素である死を彩る鮮やかなデコレーション、偏執的な美意識がなく、犯人の苦悩も薄いなあという印象です。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 4点(2024-01-28 15:51:49) |
《改行表示》42.《ネタバレ》 '80年、ジョンレノンの死から始まる。三津木五郎の青春時代、ビートルズとヒッピームーブメントに溢れた'60年代後半の回顧録…として始まる。今までのシリーズとはちょっと変わった出だしだけど、金田一さん、磯川警部とお馴染みの顔が揃ってからは、どんどん五郎の出番が減っていき、普通に金田一モノになってしまう。あれれ… 金田一モノといえば、昭和20年代、戦後のいざこざで浮き彫りになる田舎の風習、ドロドロした一族の内情なんかを暴き出す印象が強いけど、本作は昭和44年が舞台。過去作との関連性を考えると鹿賀金田一は若く思える。渥美金田一のように現代劇バージョンもあるから、独立した作品と考えたほうが良さそう。 ブライアン・メイみたいな髪型の鹿賀金田一も、60年代後半という時代を考えるとオシャレで面白い。刑部島の風景とか良い雰囲気だし、根岸季衣のグイグイ来る女中さんもいい味出している。グロ場面にはかなり力が入っていて、損壊した死体は生々しいし、腕を咥えて走る犬の演技は素晴らしい。そして何より岩下志麻。キツい表情の多い印象の彼女が、この映画では優しい表情をしている。守衛を殺した直後、振り返って五郎に微笑む顔は、イタズラをした後の上品な猫のように可愛い。 岸本加世子が「片帆」って言うの、名前だったのね。双子だからてっきり「片方」って呼んでるのかと… この映画、観どころは結構あると思うんだけど、どうにもお話に集中できず。本物の金田一モノなのに“金田一っぽい作品”感、いわゆる既視感がつきまとうのは、映画も原作もマンネリ化してきたためだろうか?先に書いた五郎と事件の関わりの薄さ。ビートルズと事件の関係なさ。最後金田一が歩き去るシーンはどう観ても'80年代。どうしてもっと、頑張らなかったの? 横溝正史の死。金田一シリーズ最後の原作小説。金田一映画ブーム最後の作品。色々なものが終わる区切りの作品。最後の曲がレット・イット・ビーっぽい曲(あ、カバーでしたか)なのも、ホンモノでなく“…ぽさ”を増す要素になっていると思う。 ニコニコ動画で当時のCM観たら、ホンモノのレット・イット・ビーが流れてやんの。 '60年代の青春映画な味付けの金田一って感じで、メッッッッッチャ面白そうなのな~このCM。 【K&K】さん [インターネット(邦画)] 4点(2022-04-03 16:35:32) |
41.《ネタバレ》 監督 篠田正浩、脚本 清水邦夫。これだけ聞くとATG映画を思い浮かべてしまいそうになるが、角川映画の金田一ものである。あまりいい評判を聞かない映画で、全然期待していなかったが、まあ思ったよりは楽しめたし、石坂浩二の金田一に慣れてしまっていて見る前は多少不安のあった鹿賀丈史の金田一も悪くはない。しかし、時代設定が1969年で金田一と知り合う古尾谷雅人演じる青年がヒッピーだったり、テレビからコント55号のバラエティー番組が流れているのは違和感を感じる。しかも、そこに袴姿の金田一がいるというのもなんか浮いて見える。金をかけて使用権を獲得したという劇中に流れるビートルズの曲や冒頭に流れるジョン・レノン射殺のニュース映像もイマイチ意味がよく分からないし、ただ使いたかっただけのようにも思える。それに金田一もので洋楽というのはやっぱり合わないな。岩下志麻が演じる双子が実は同一人物であったという展開も早い段階で読めてしまい、意外性はない。ただこの岩下志麻の狂気じみた演技はやっぱりはまっていて、岸本加世子の首を絞めるシーンや、伊丹十三を殺そうとするシーンなどは、彼女が演じているからこそよけいに恐怖を感じられるものになっていると思う。撮影は宮川一夫で相変わらず撮り方もうまい。劇中に人間の手首をくわえた犬が登場するのは同じく宮川一夫が撮影を担当した「用心棒」を思い起こさせていて、セルフ・パロディーかと思ったがおそらく偶然だろう。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2021-09-23 11:07:43) |
《改行表示》40.金田一耕助のトレードマークたる「モジャモジャ頭」は、イメージとしては「ボサボサ頭」を連想するのですが、この鹿賀丈史の、人工の極みのような立派なアフロを見せられると、確かにこれこそがモジャモジャなのであって、もしや私は石坂金田一に間違ったイメージを植え付けられていたんだろうか、などと思ったりも。 それはともかく、この、悪霊島。なかなか凄惨な死体の描写があったりもしますが、当時の宣伝から受けた印象ほどにはオドロオドロしい作品でもなく、私はどっちかというと、島のノンビリした雰囲気とか、フェリーが着いた時だけ船着場が人でごった返す様とかが、風情があって、なんかイイなあ、と思っちゃうんですけどね。 まあ、事件自体は、大した事件でもなし(笑)、謎解きとしてもアッサリしてますが、鍾乳洞のシーンなどは、ロケ撮影でこれも雰囲気が出ていて。 昔見た時にはもっとヘンな映画のようにも思ったのですが、一体自分はどの辺りをヘンだと思ったのか、不思議になるくらい。 音楽監督はバリバリの現代作曲家、湯浅譲二。なかなかヘビーで聴きごたえがありながらも、前に出過ぎず映画にマッチした、絶妙な音楽になってるんじゃないでしょうか。 【鱗歌】さん [インターネット(邦画)] 7点(2021-07-11 10:33:33) |
39.《ネタバレ》 原作既読。そもそも原作が晩年の作で自己模倣に陥っているきらいがあり、この映画版も、なんだか既に観たことがあるような感じがしてしまったり、犯人がバレバレだったりするわけですが、そこを考慮するにしても、全体的になんともピリッとしない。鹿賀丈史の金田一は私は悪くないと思ったし、岩下志麻の熱演は作品のクオリティーを数段上げているし、ロケ地の町並みや風景も素晴らしいのに、映画として残念な感じです。監督が悪いのか脚本が悪いのか私には上手く説明出来ませんが。レットイットビーもイマイチ効いてないと思うけど、これはリアルタイムで観た人にはそれなりのインパクトだったんでしょうか。あと岩下志麻が初登場のシーンでいかにも「私が犯人でござい〜」とでも言わんばかりの登場の仕方をするのは、一応ミステリーとしてはいかがなものかと。 【すらりん】さん [DVD(邦画)] 5点(2015-10-10 11:27:06) |
《改行表示》38.根岸季衣が坂口良子に全く負けない。これだけでも奇跡だ。 岩下志麻ゴーゴームービー。 【JF】さん [地上波(邦画)] 5点(2014-07-28 11:11:31) |
《改行表示》37.ビートルズと鹿賀丈史の金田一に感情移入するのが厳しいですね。 それがなければ中々の出来と思いますが。 【SITH LORD】さん [DVD(邦画)] 5点(2013-07-02 13:00:38) |
《改行表示》36.《ネタバレ》 この事件は、いつもの金田一モノの「昔の悲劇の結果としての今の事件」が、入れ子のように重なった構造になっている。 その一番外側に持ってきたのが、古尾谷青年の存在なのだが、そのドラマ(彼の出生の謎)が肩透かしで、高いコストを掛けて使用したLet It Beも、勘違い男のテーマとなってしまった。 金田一モノとしては異色の、戦後感の無い時代設定。私の世代には、ヒッピーというモノの意味がちょっと判らないが、新しい世代というくらいの想像はつく。それらによって、おそらく時代というようなものを描こうとしたんだろう、その意図は想像できるけど、何しろ「あの島での出来事は、僕にとって足を踏み入れることの出来ない聖域だった」なんて感傷に浸っている男は、ただ事件を通り過ぎただけで、ほとんど(モグリの婆さんに取り上げられた事だけは確かなようだ)、無関係だ。 あえて考えてみると、あらたなる世代は、古い時代の因習や不幸を引きずっているが、「そのままにしておきなさい。あるがままに」という事なんだろうか?何か、ひどい話だ。 さて、入れ子の内側になっている、島の人間たちの事件だが、あまりにも興味をひかない。大膳というジイさんの気持ちが、昔の所業を悔いているのか、秘密を知ったものは生かしては置かぬ、なのか、どっちつかずでよく分からない。出身地に復讐のようにやってきた実業家の、執念とか怨念のようなものも感じられないし、昔の恋人たちの再会に対する気持ちもトント見えてこないので、人間のドラマが展開されている感じがしない。パズルのための説明のようだ。 新たに御寮人の娘を双子に設定して、わざわざ特殊撮影で同画面に入れてみせるなど、ヒントとしてやっているのだろうか?これで、親の方が同時に画面に出ないって、ミステリでそういうヒントの出し方は、正統じゃないよな。 【Tolbie】さん [映画館(邦画)] 3点(2012-12-17 03:46:13) |
35.岩下志麻が若くて美しい~…けどオナニーシーンは怖い(笑)映画はめちゃあっけない。そして鹿賀丈史の金田一はイマイチ。 【movie海馬】さん [地上波(邦画)] 4点(2012-04-10 22:47:04) |
34.《ネタバレ》 どうも思っていたより、ちょっと な印象で 目新しい仕掛け感もなく 淡々と進んでいったかな といいつつ 恐ろしく美しい岩下志麻様はかなりの見所であったかとはオモイマス 【Kaname】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-11-20 22:30:13) |
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《改行表示》33.篠田監督による横溝サスペンス、金田一耕助も11代目の鹿賀丈史になる。「獄門島」などが戦争直後の昭和21年の事件だから、40数年後の「悪霊島」では金田一さんも60過ぎのおじいさんになるはずなのだが実に若々しい。映画だから深く追求はしないが、言いたいのは時代設定がそれまでの映画とは違うということ、すなわち高度経済成長や公害問題が取りざたされていた時代であった。(レジャーランドとかヒッピーが出てくる) 映画の冒頭にいきなりジョン・レノンの射殺事件が出てくる。この映画制作直前のビッグニュースである。これと時代を物語るヒッピーと金田一や五郎の風貌と相まって、ビートルズのレット・イット・ビー(なるようになるさ)のイメージになったのかもしれない。 映画は岩下志麻のミステリアスで妖気あふれる雰囲気がその美貌と共に際だっている。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-09-24 09:42:15) |
32.《ネタバレ》 ちっとも「悪霊」っぽくないんですが・・・。時代設定からしてそもそも金田一ものとしてはハンデがあるんですが、特に目を引くようなトリックもなく、人物関係での意外性もないとなれば、見るべきポイントがありません。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-08-19 03:16:14) |
《改行表示》31.評判通りのがっかりな内容でした。 ジョンの射殺を持ってくるなら最後がポールの曲じゃまずいでしょ? 犬のいる意味もよくわからんし、なにより 悪霊島ってもっと規模の小さい島でないとだめじゃない? フェリーが到着する場面、思てたより島が大きいやないかい! もっと村の因習みたいなことになってないと金田一じゃない。 しかし、ラストシーンで金田一さーん!って叫んでる古尾谷雅人が 金田一少年でおっさん役って、なんかあるの? 【Skycrawler】さん [地上波(邦画)] 5点(2011-08-16 02:29:03) (良:1票) |
《改行表示》30.横溝正史の発表した長編小説では、ラスト作となった作品。 主題歌にビートルズの「レット・イット・ビー」を使用、 「鵺の鳴く夜は恐ろしい」というキャッチコピーが連日CMで流れ、強烈な印象を残した。 相変わらず商売上手だななどと思ったのだが、映画は大ヒットまでこぎつけなかったようだ。 横溝ブームが終焉を迎えていたということもあるのだろうが、原作自体の出来も原因。 古い因習の残る島、おどろおどろしい人間関係など、一応ポイントは押さえているのだが、 時代設定が高度成長期にあたる昭和40年代なので、ちょっとピンとこない。 初期のビッグタイトルと比較すると、やはりスケールが小さくなった感は否めなかった。 金田一役の鹿賀丈史も今イチ。横溝ファンなら、まあ何とか楽しめかるなといった微妙な作品。 【MAHITO】さん [ビデオ(字幕)] 3点(2011-08-10 05:28:08) |
【海牛大夫】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-06-24 20:37:21) |
28. なんと、脚本は清水邦夫、撮影は宮川一夫である。しかし、「心中天網島」からあとの篠田正浩はもうどこまでいっても篠田正浩で、「仏作って魂を入れず」の見本みたいな作品、という印象。映像的にはひじょうにカッコイイわけだし(さすが宮川一夫!)、たいまいはたいてBeatles の楽曲の使用権を買ったのもまあいいと。しかし、これは清水邦夫の脚本に根本的に欠けるものがあるのか、それとも篠田正浩の演出が悪いのか(まあ勝手に書けば後者が原因だと思うのだが)、きわめてそしゃくが悪い。篠田正浩という監督がこまるのは、映像のクオリティに拮抗するような一貫性のある「情動」を通して描くことができないということではないのか、と思ったりするわけで、これはまだ「乾いた花」や「心中天網島」などでは、うまくヴィジュアル面と情念とのスクリーン上での拮抗がうまく行っていた印象はあるのだけれども、天保六花撰を主題にして寺山修司が脚本を担当した「無頼漢」の惨々たる出来のレベルを、以降ずっと引きずることになる。う〜ん、篠田正浩監督にとって、「心中天網島」での、美術の粟津潔との奇跡的な共同作業の成果が、それ以降すべてマイナスにはたらいてしまうようになってしまったのではないだろうか。それはつまり、ヴィジュアルにさえ力をそそげば、それ以外の問題はおのずからヴィジュアルに附随してどこまでも付いてくるであろうという「信仰」なのではないだろうか。 【keiji】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2010-12-25 14:49:44) |
27.金田一映画の事件は田舎特有の泥臭さと血縁怨念因縁渦巻くおどろおどろしさがあっていい。手首を咥えた犬と痴態を見られて追ってくる岩下志麻が昔のトラウマだった。 【TAKI】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-10-06 23:33:24) |
26.原作、本映画化作品とも評判が芳しくないのだが、私としては、今のところこれまで観た金田一ものでは、一番好きな作品。これは当時のCMの出来が中々良く、Let it beをバックに数場面が映し出され、ピタッと音楽が止まって「悪霊島。鵺の鳴く夜は恐ろしい。」というおどろなナレーションが入る、というものだった。これは怖くて面白そう!観たい!と思ったものだ(実際に鑑賞したのはTV放映)。CMや予告編で期待させられた映画は往々にして期待を裏切られるものだが、狂言回しの古尾谷雅人が、時代背景をビートルズにかこつけて語る冒頭からよく出来ており、適度にグロくてシュールな世界観が充分楽しめた。岩下志麻、公開年から計算すると40歳か…きれいだよなあ。鹿賀丈志の金田一が良かったのも意外だった。彼はなんだかんだ言って二枚目俳優だと思うが、三枚目ぶりがちっともわざとらしくなく、意外に(失礼)演技力のある役者だと思った。ま、犯人はすぐ解ってしまうが、本作は時代の変遷による価値観の変化なんかを織り込みながら、犯人の人物像や、動機を解明していく過程や、おどろおどろした世界観を楽しませてくれる作りになっているので、犯人当ての楽しみがなくても面白い。ただ個人的に、Let it beを聴くと「人の腕をくわえて走る犬」(確か本編ではLet it beはこの場面ではかからない。CMのみ)が頭に浮かぶようになってしまったのは悲しい…。 【あっかっか】さん [地上波(邦画)] 7点(2009-04-14 13:11:01) |
25.取って付けたような展開が多くて気持が入っていかないし、気味悪いシーンに目を見張るようなこともなかった。監督、やる気がないなら話受けなきゃいいのに…。 【のはら】さん [DVD(邦画)] 4点(2009-01-19 01:17:18) |
《改行表示》24.一度だけでは深いテーマまではわかりませんでしたが、おどろおどろしくて面白かったです。ずっと目が離せませんでした。石橋さんのお茶目ぶりにクスっとなったりもして。鹿賀さんの金田一も、岩下さんも妖艶でいい、歌のかかるシーンもカッコいい。 時代背景も私の好みですね~。また見たい。 【ひろほりとも】さん [DVD(邦画)] 10点(2008-02-19 10:13:41) |