5.《ネタバレ》 40年前には、こんな滅茶苦茶な内容でも作品として成立していたことを示す、ある意味貴重な作品。説明台詞のオンパレード、俳優陣の演技の下手さ(殿山泰司を除く)にもびっくりだが、何より凄いのは、宇津井健扮する城戸検事の取調や法廷尋問のドヘタクソぶり。その上であんないい加減な起訴をしてたら、弁護人が寝てても無罪です。しかも、捜査記録の不開示や接見妨害なんて真似までしてたら、同情の余地なしです。私は法廷の部分では弁護人を応援してました。だめ押しが最後のオチなしエンディング。あれも凄い。 【Olias】さん [DVD(邦画)] 3点(2024-05-21 01:09:39) |
4.増村保造監督による法廷サスペンスで「黒の試走車」に続く「黒シリーズ」第2作。増村監督の法廷劇といえば「妻は告白する」という傑作があるのでこの映画は少し分が悪いのではと思っていたが、重苦しい雰囲気の法廷ドラマで、登場人物たちの描き方も増村監督らしく、見る前に想像してたよりは面白かった。しかし、やはりというかなんというか「妻は告白する」のようなインパクトや深みがないので全体としては普通の法廷サスペンスという印象。宇津井健の主演映画を見たのが初めてだったのだが、どうもテレビドラマに出てる俳優というイメージが強くて、映画の主人公役としては弱い気がして、途中から本当にテレビドラマを見ているような感覚に陥ってしまった。演技にしてもこの後の「新幹線大爆破」の方がうまいと感じるし、法廷シーンでは小沢栄太郎と神山繁に完全に食われているという感じしかしなかった。「黒の試走車」に続いてヒロインを演じる叶順子。ラストの訴えなどなかなかいい演技を見せているし、印象にも残るのだが、何か物足りない。そんな中にあって小沢栄太郎が演じる弁護士。まだこの俳優に馴染みがない頃に「犬神家の一族」を見たこともあってか、小沢栄太郎と名前を聞くと古舘弁護士を真っ先に思い浮かべてしまうのだが、この映画では善良な古館弁護士とは真逆の悪徳弁護士を演じており、もし、この映画を見た後で初めて「犬神家の一族」を見たとしたら、古館弁護士も悪徳弁護士に見えてしまうであろうほどの嫌味ぶりがなんとも言えず。やはり小沢栄太郎は悪役俳優だなと改めて思った。神山繁も「女王蜂」でインパクトのある役柄を演じていて、市川崑監督の金田一シリーズで印象に残った二人の俳優が市川監督の助監督を努めていた増村監督の映画でそれ以前に弁護士役と被告役で共演しているのは偶然かもしれないが、ちょっと興味深いものがある。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-01-28 00:57:11) |
3.《ネタバレ》 増村作品で法廷ものと言えばあの大傑作を思い浮かべずにはいられません。相変わらず増村監督らしい女の嫌な部分と男の弱さ、そして、そんな弱さに漬け込む女とまた別の男、何ともやりきれない作品になっていて、その辺りのこの重苦しさなどはこの監督の作品に共通して言えるものがここでも観られる。しかし、やはり弱い。正義感に燃える熱血検事の宇津井健を見ていると昔、金曜日の夜に毎週テレビで放送していた裁判もののドラマ「ひまわりの歌」てのを思い出す。あのドラマ大好きで毎週欠かさず観てたっけ!おっと、そんなことよりこの作品のことだが、やはりこの人のことを語らずには終われません。悪徳弁護士役の小沢栄太郎、この悪人弁護士など正にこの人のものであり、この人の為にあるのではと思うぐらいである。事件の鍵を握る女、叶順子演じる綾子が裁判が終わり、犯人の無罪が決まった後に自分を捕まえてよとある場面など如何にも増村監督らしさを感じるが、やはりあの綾子役、若尾文子にこそと思ってしまうのは私だけか?最後にもう少しだけ!小沢栄太郎で弁護士て言うと増村監督が助監督として映画を学んだ市川崑監督の「犬神家の一族」で同じ弁護士を演じているのも興味深い。いずれにせよ、宇津井健が話の中でも負けていたように演技といい、凄みといい小沢栄太郎の勝利である。 【青観】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-12-28 22:48:35) |
2.《ネタバレ》 これって一応ミステリーになるのでしょうが、話はきわめて読みやすく、意外な展開というのがほぼ皆無なのがかえって意外なぐらいです。裁判劇になるのかと思えば、駆け引きもくそもなく、主人公完全にやられっぱなしだし。ただ、主演が宇津井健だけあって、ボロボロにやられて頭抱えてお終いってわけではなく、最後は一点の爽やかさを残そうとしてます。かなり無理がありありで、負け惜しみにしか聞こえませんが。 【KYPA】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2008-05-11 19:01:28) |
1.佐賀潜原作の「華やかな死体」はかなり前に読んだのですが、正直内容をまったく覚えていないのが幸いして、ストーリィそのものを楽しめました。忘れっぽいというのもいいものですね。さて、カメラはあいかわらず手前に人物の背中や頭や、静物をバーンと据えてその向こうで会話する人物が配置されるパターンが多いですねー。さすがの私でも一目見て増村だと分かります。しかし女性のうなじなどは色気もあっていいのですが、頭髪の薄くなりかけたおっさんの後頭部などが写ると苦笑してしまいますね。まーそんなことはおいといて、宇津井健扮する検事が、誠実に一生懸命に殺人事件の犯人を挙げ、起訴し、公判に臨むのですが、敏腕弁護士及び生活を優先する人間たちの前に・・・という話です。その検事がエゴを貫くところや殿山泰司扮する老刑事がいい按配に配置されていてなかなか見ごたえあるテンポのいい作品でした。 【彦馬】さん 7点(2004-05-21 20:46:53) |