1.新藤作品らしく題材は素晴らしい。東北の冬を生きることは目明きでさえ難しいことなのに、明治に生まれ、しかも盲目の竹山にとっては並大抵ではないと容易に想像できる。そんな竹山の壮絶な門付けの旅を映し出しているが、どうも俳優陣がこの過酷極まりない東北の人間には見えない。特に竹山を演じた林隆三などは垢抜けてるというか・・暗さがないというか・・どうも東北の人間、ぼさまには見えない。門付けして廻る家から出てくる爺さんや婆さんとどうしても比較してしまう。映像が素晴らしいだけに残念。日本の暗部を切り取った作品だけに、もっと思い切った配役を目指してほしかった。とはいったものの、こういった題材の作品を作るだけでも相当な苦労があり、この様な世界があると世に表した功績は大きいのはたしかである。高橋竹山や市川竹女といったぼさまたちや恐山のいたこたちの生き方にも頭が下がる思いである。