98.《ネタバレ》 実在したヘビー級ボクサー、ジェームス・J・ブラドックがどん底から再び蘇る姿を描いた伝記映画。
ロン・ハワードはどうしてこう伝記映画が面白いのだろうか。
題名とは対照的にシンデレラどころか落ちぶれた中年サラリーマンみたいな内容。
全盛期の華々しい試合場面から始まるファースト・シーン。
1920年代末期の狂騒的な空気、その後30年代の大恐慌の暗い空気。
一度の敗北で折れた魂、大恐慌の厳しい波が彼を窮地へと追い込む。
怪我に悩まされ選手生命もギリギリ、ライセンスを剥奪された事は幸か不幸か。
必死に金を稼ごうと仕事を探す日々。中には拳銃で「仕事をよこせ!」と行動するような人間も出てくる。
彼は仕事を求めて走る。ボロボロの肉体に鞭を打つが、仕事仲間や家族の存在が彼の心と身体を少しずつ回復していく。
酒にも煙草にも逃げなかった彼は立派だよ。
そもそもそんな金すら無いしね。
家族のためなら“負け戦”でも戦ってやらあ。たった1回のチャンスでも喰らい付く根性、ハングリーハート。
労働で“鍛え直した”ボディは伊達じゃない。
トレーナーも財産を削って彼を支え続けてくれた。
闘志は、蘇る・・・!
復活したブラドッグはオーナーの金儲けのための飼い犬(ブルドック)ではなくなった。
一人のファイターとしてどんな強敵にもブチ当たり、ブチのめす。
アバラが折れようとも闘志は二度と折れない。
殴られても歯を喰いしばって耐え、反撃に出るブラドックの姿には燃えるぜえ。ファイトシーンのこの熱さ!
ブラドッグの姿に会長の心にも変化が現れる。
実在のマックス・ベアは奥さんを罵るどころか殺してしまったボクサー(映画では何故かもう一人殺害)への贖罪の気持ちで溢れ、試合後に相手の健闘を讃える真面目なボクサーだったそうだ。
本編はDQN熊vs不良オヤジのクライマックス。
未公開シーンも必見です。