3.《ネタバレ》 手際よいアクションシーンから始まり、湯気が立ち込めるサウナや鏡を使って見せる屋敷での見事な射殺シーン、高所からの二度の落下と見せ場には事欠きませんし、人物造型も秀逸の一言に尽きます。特に印象深いのはダンサー(イーライ・ウォラック)と髭の男(ロバート・キース)のコンビと運転手の絡みで(マイケル・マン監督の「コラテラル」はこれがモトかも?)、何気ない会話がとてつもなく面白いです。そして登場人物たちの各々の〝顔〟が良く、抜け目の無さそうな犯罪者たちや精悍な面構えの刑事たちはもちろんのこと、端役に到るまでバッチリ決まっていて、黒幕のマンは車椅子に座り無言で何食わぬ表情というだけの僅かな登場シーンながら、その恐ろしさは容赦ないダンサーたちが小悪党に見えてしまうほど強烈です。また、マンに死の宣告を受け顔面蒼白となったダンサーのもとに、望遠鏡のお礼を言いに来る満面の笑顔の少年を挿むところなど演出も冴え渡っています。