1.有楽町の映画館まで、ペンエーグ・ラッタナルアーン監督の新作を観てきた。
まさに待望だった、ペンエーグ監督の新作鑑賞である。
作品名は『ニンフ』。
たしか精霊とか、そういう感じの意味だったはず。
オカルト的な作品であることは分かってはいたが、これが奇想天外が過ぎる内容で、タイ特有の思想文化に対して理解がないので、ついていくのがなかなか苦しかった。
タイ映画というと、意外と神秘的なテーマを題材に扱った作品が多く、そういう作品は少し苦手だったのだが、本作はまさしくその神秘的なテーマをメインに据えた内容で、後半は特に混乱をきたすほどの突飛な内容だった。
それでも、ペンエーグ監督が大好きだから、何とかついてはいけたが、そうでない人はどう感じたんだろう。
そういう意味でも周囲の観客がどう感じていたか少し気になった。
さて、本作の最大のインパクトは、冒頭にステディカムで延々と森林の中を移動し続ける部分ではないだろうか。
ペンエーグ監督作品ならではの幻想的な音楽が背後に流れつつ、森林の中をじわじわじわじわと動き進んでいく。
これは、何とも不思議な味わいで、他では観たことのないオープニングだった。
これからして、改めてペンエーグ監督の天才ぶりを感じた。
先にも書いたように、タイの伝統的思想が背後にある神秘的なテーマを扱った作品だけに、入り込むのが難しく、ややクドイ印象も受けたが、それでも終始映像の美しさと音楽だけで見せてしまうだけの魅力を感じられる作品だった。
ヒロインの女性も、とっても魅力的で、特にスレンダーな肢体と豊満な胸の谷間を、露出の高いキャミスタイルで披露してくれたのは嬉しかった。
でも、この作品を今日映画館で観て、一番強く感じたことは、映画館のスクリーンで、“Pen-Ek Ratanaruang”の文字を観ることができるだけで大興奮であり、それだけで十分満足であるということだ。