8.山田監督100選で見ました。脇役陣の錚々たる顔ぶれと老け役の主役の二人に違和感がないのに驚きました。暗い物語をコメディタッチで描写していますが、訴えたいものがひしひしと伝わってくるような映画です。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-08-27 21:05:59) |
《改行表示》7.《ネタバレ》 いやー、これまたすごい。出演者の面々を見ているだけで、圧倒されそうです。その中でも、主役の蝶々さん北林さんが抜群。特に十朱幸代以下の店員さんとの交流がいいエピソードでした。話が進むにつれて「悲喜劇」になってゆき、社会性が深まっていきますが、その進展ぐあいも自然でよかったと思います。ただ、サトさんが帰宅してからの描写がストレートすぎて、あのあたりももう少しユーモアを感じさせたらよかったと思いますが……。 今となっては、この映画に出てくるような養老院すら幸せとは限らないというところがありますが、そのあたりは本作でも、インタビューされてブスッとしているくみさんや、最後に腕組みして考え込んでいる渡辺文雄の画で表されていると思います。そう考えると、なかなか「昔の映画」とばかり言っていられないでしょう。かなり深いところがあると思います。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-07-11 17:51:32) |
6.《ネタバレ》 「喜劇」と銘打たれても、これはちょっと笑えないなって感じ。くみさんはともかく、サトさんが家を出た理由が切ない。老人二人の自殺未遂を見せられて、もう泣き出しそう。しかし、ヒステリー女房の志保子側から描けばそちらにも多少同情してしまうのかな?…と思えるのが、この問題の難しさだろうか。半世紀も前から問題として存在していながら、現代にも通じてしまうのが悲しい。婆さんの女優陣は71歳だった東山千栄子が最年長で、北林谷栄(50歳)、ミヤコ蝶々(41歳)はこの中では最年少コンビになるが、あまり違和感はない。特に北林谷栄の婆さんぶりは凄い。2013年現在でいうと真矢みきより少し上で、黒木瞳より少し下ってくらいだから、本当にもう驚異的…。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-01-30 23:34:26) |
5.《ネタバレ》 渡辺宙明の軽快なテーマ曲にのってミヤコ蝶々と北林谷栄が街を歩く。この二人の老け役女優が良く、ほかにも最年長の東山千栄子をはじめとする老人役のほか、日本を代表するような名優たちが出演していて、それだけでも見る価値のある映画なのだが、内容は「喜劇」というには重い老人問題を扱っていてあまり笑えない社会派映画となっている。今でこそ少子高齢化社会であるが、この映画の製作当時はまだそんなことは言われていなかっただろう時代にこのテーマの映画というのは社会派・今井正監督の先見の明を感じずにはいられないし、ラスト近く、帰宅したミヤコ蝶々に対する家族の冷たい態度は現代から見ればものすごくリアルに感じられる。ただ、ラストはミヤコ蝶々演じる主人公が北林谷栄のいる老人ホームに行くところで終わったほうが少しは希望があったのでは。あのまま主人公が息子夫婦と暮らしていくよりはいいと思うのだ。とはいえ、北林谷栄はある疑いをかけられ、その老人ホームを抜け出したことからも考えられるが、老人ホームが本当に老人にとって安住の地なのかと言われれば微妙なところで、結局どちらがいいとも言えないのが実情だろう。この問題は今現代においても全く変わっておらず、むしろ今のほうが深刻になっているのだ。非常に考えさせられるいい映画だったと思う。老人ホームの職員役で小沢昭一が出ている。去年暮れに亡くなってしまったのは本当に残念だった。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-01-13 14:24:42) |
4.《ネタバレ》 ミヤコ蝶々と北林谷栄が雑談をしながら並んで歩くだけで醸し出される、このど迫力。その中でも、何か楽しいことが起こっても、その後2人は行くところも帰るところもないんだろうと常に感じさせるほどの、人格的な背景の作り込み。これだけで十分に楽しめます。しかし、市原悦子も、この中に放り込んだらぴちぴちのお姉さんなんだな。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-12-24 02:48:38) |
3.山田監督の100選で鑑賞、確かにこれは凄い配役ですね、名前だけで期待してしまいます。それに監督と脚本の名コンビ凄いです。それだけのものはありましたが、ただ、このタイトル喜劇は・・・笑えませんでした。今の現実と、この映画どうなのか、考えさせられる、良い映画です。 【min】さん [地上波(邦画)] 8点(2012-12-19 23:05:47) |
2.タイトルに「喜劇」という名前が付いているが、決して単純なコメディではない。むしろ「喜劇」を付けることで、風刺のこもった社会派映画の要素を際だたせている。身寄りがなく老人ホームで暮らすのと身寄りがあって息子夫婦の家族と暮らすのとどちらがベターなのか。50年も昔、高度成長期のまっただ中にあってすでに少子高齢化を予測させる映画はまったく見事というほかない。なおこの映画にはたくさんのお婆ちゃんが出てくるが、年長は東山千栄子さんの71歳だが一番若いお婆ちゃんと言えば・・・。 【ESPERANZA】さん [地上波(邦画)] 8点(2012-12-19 17:44:16) |
1.これはもう邦画脇役大会というか、配役眺めているだけでニコニコしてしまう。おっとりの東山千栄子、いいとこの女中の浦辺粂子、満州帰りで英語の岸輝子、ナイチンゲール勲章(『ひめゆりの塔』!)の原泉、ドラ焼を盗ったらしい村瀬幸子、そしてもちろん北林谷栄に飯田蝶子。男も、山本礼三郎、上田吉二郎の二大悪役に喧嘩させ伴淳を遅れて登場させる憎さ。中村是好、渡辺篤、菅井一郎、殿山泰司もいる。ジッパーを上下させているのは何て言ったっけ。斎藤達雄のドクター、まだ忘れてないか、看護側で市原悦子、織田政雄、小沢昭一、ちょい役の警官に渥美清(まだちょい役で当たり前の時代だったのか)。こういう贅沢を社会派監督に提供してもらえるとは思わなかった。家族と一緒より養老院のほうが幸福かもしれないという『にんじん』みたいな見方を提示し、でも養老院だって極楽というわけではなく、ドラ焼き食べた疑いが掛かったりするように、そうそうノビノビしていられるわけでもない。フォークダンスの暗鬱さが秀逸。全体はユーモア優先で、こういう映画も作るのか、と思っていると、最後のミヤコ蝶々の家族描写がずっしりリアリズムで、監督の本性が剥き出しになった。「お風呂行かないんですか、行かないなら行かないとおっしゃってくれなくちゃ」。題材が題材だから、もっと展望があってホッとさせる展開にしてほしかったが、社会派は暗く問題提起しないといけないらしい。音楽がモダン、60年代は50年代と違うな、と思いました。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-11-12 09:59:55) |