1.《ネタバレ》 主人公が蟻塚を買って地下に引き籠るという、蟻塚を見つめる主人公の視線と、
そんな主人公を見つめる観客の視線というところで、
最後のストップモーションが、見ているものは見られているで、
スクリーンという隔たりを一気に乗り越えてくるので、とても愛おしく泣ける。
無論、David Bowieの名曲"Space Oddity"のイタリア語版
"Ragazzo Solo, Ragazza Sola"(こんなものがあったなんて初めて知った)が
流れ、歌い出す瞬間なども、泣けてしょうがないわけだ。
歌詞の内容もさることながら、ふたりを撮らえるカメラの動きも良く、
ああ切ない、と思わせる見事な作りにまんまと泣かされる。
齢70を越え、車椅子に座っている写真を見たことすらあるベルトルッチが、
若者ふたりを主人公に据え、こんなにも潤った映画を撮ってしまうのだから驚嘆せざるを得ない。
それは若者が出ているから若々しく見えるのか、とは言え、巨匠の手捌きは熟練されているのだし、
なんともひとつで二度美味しいというか、若くもありながら成熟もされている映画だ。