293.《ネタバレ》 原作の医療ノンフィクションは未読。原題は「Awakenings」。邦題は詩的でさわやか過ぎて、個人的には今一つ。岸田智史の「きみの朝」だよが頭に流れてしまうようなイメージ。飾りのない原題の方が、内容にマッチしてると思います。嗜眠性脳炎患者(表情が硬直、人間的な精神活動はほぼ停止)に、新薬を投薬したところ、劇的な効果があったものの、徐々に薬が効かなくなり、元通りに戻ってしまうというような話です。原作未読なものの、相当に脚色されていることは容易に推測できます。結果的に、既存のSF作品である「アルジャーノンに花束を」に近づきすぎてしまい、鉄板の感動は得られているものの、同時に二番煎じ感も否めないという、手放しで称賛できない複雑な気持ちになってしまいましたかね。ロビン・ウィリアムズは適役でした。 【camuson】さん [インターネット(字幕)] 5点(2024-06-20 18:25:01) |
292.《ネタバレ》 午前十時の映画祭で映画館で再び見ることができました。素晴らしい映画だと思います。ロビン・ウイリアムズとロバート・デ・ニーロという名優どうしの競演が素晴らしいです。特にデニーロの演技は神がかっています。デニーロ・アプローチといわれる事前の徹底したリサーチの成果により本当に脳炎患者なんじゃないかと思わせてくれます。引きつり・手の動き・目の動きなど全てが本物と思わせてくれます。事実が元になっているとはいえ、レナードの初恋など「これはフィクションではないか」と思わせる演出もありますが、奇跡の物語のいいアクセントになっています。なお、この映画を最初に見たのはもちろん初公開時な訳ですが、当時の自分はいわゆるハリウッドアクション映画やジャッキー映画などのエンターテインメント映画にしか興味がありませんでした。そんな中この映画は、映画好きの先輩にすごくいい映画だから見た方が良いと強く薦められて見た映画です。楽しい・面白い映画しか興味なかった自分に、他のジャンルでもいい映画はたくさんあると教えてくれた、自分を映画好きにしてくれたきっかけの映画です。なお、原題はAwakenings、「目覚め」の複数形です。これはレナードの病気からの目覚め(一時的な回復)はもちろんのこと、他の患者の目覚め、レナードの恋への目覚め、そしてそんなレナードに影響されてコミュニケーション下手だったセイヤー医師が生涯の伴侶を(おそらく)得るきっかけとなる積極性への目覚めなど様々な「目覚め」を意味しているのです。最後になりますが、ランディ・ニューマンの音楽も素晴らしいです! 【MASS】さん [映画館(字幕)] 9点(2023-02-19 16:33:16) (良:1票) |
《改行表示》291.《ネタバレ》 -Awakenings- “目覚め” 複数形なのはレナード以外の患者はもちろん、セイヤー先生にも掛かってる。 ロバート・デ・ニーロの表現力が凄い。レナードの抱える難病表現はもちろんだけど、入院する20歳の頃から時が止まっている青年役を見事に演じていた。レナードの少年のような笑顔は、数年前にアル・カポネを演じていた人のものとは思えないくらい、デニーロの演技の幅広さをみせてくれた。 登場人物もとても魅力的で、現実的だけど理解あるカウフマン先生。普段はサボってるけど率先して寄付をする看護婦。寡黙な薬剤師に人懐っこい清掃員。レナードからお金を取らない食堂のおばさん。勤めてる人が人みんな良い人で、こんな温かい病院なら安心して家族を任せられる。 患者は突然叫びだすし、動かない患者は全く動かない。変化のない患者たちとの毎日にじっくり長く付き合うは、家族と言えど、とても大変。レナードの母がいつも献身的に看病するのは根気のいる辛い毎日だし、ポーラの母が夫のお見舞いに来なくなる気持ちも分かる。 失った時間の長さ、年老いた自分と向き合う患者たちも、とても個性的、魅力的に描かれていた。先に投薬されて、日々症状が悪化するレナードの姿に、数日後の自分の姿を重ねる不安と恐ろしさ。 後半は観てる方も辛くなるけど、レナードの「もう会わない」という決意を理解して、無言で受け止めるポーラの心の綺麗さ。食堂でのダンスは何度観ても涙が止まらなくなる。 “レナードの朝”ってとても良い邦題で、劇中レナードが「(もう目を覚まさないかもしれないから)目を閉じる(眠る)のが怖い」ってセリフがある。この映画を観ると、自分の意志で起きることが出来て、その日一日好きなことが出来ることに、とても有り難みを感じられる。 毎日当たり前に来る朝。そんな朝が来ない人達。彼らと違って何でも出来るのに、毎日何もしないことの、なんて勿体無いことか。 他人から求められることがボンヤリ解っていても、自ら行動しなかったセイヤー先生が、最後に“目覚め”てエレノアを引き止めるところがとても好き。 難病との戦いが“道半ば”で終わってしまう映画を、とてもスッキリした後味に変えてくれる。 【K&K】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2022-08-27 16:26:19) |
《改行表示》290.《ネタバレ》 いわゆる”死ぬまでに一度は見ておけ”シリーズの典型作品ですが、まさかの未見でした。昔から思っていましたが、ディカプリオアプローチや(トム)ハンクスアプローチと比較して、デニーロアプローチは本当に素晴らしいと思います。デニーロは一生懸命やっているように見えないのにきちんと役柄に根付いている点が素晴らしく、彼特有のはにかみ笑顔や彼の雰囲気がシッカリ残っている点も素敵です。 本作には大物役者が多数出ていますが役がバッティングすることもなく、自然な作品に仕上がっています。セイヤー医師(ロビン・ウィリアムス)はいうに及ばず、ポーラ(ペネロープ・アン・ミラー)とのダンスは本当に素敵でしたし、上司のカウフマン医師(ジョン・ハード)も嫌味を言いつつも優しい素顔が見え隠れする存在感を放っています。後に有名になるピーター・ストーメア、ブラッドリー・ウィットフォード、ヴィン・ディーゼル、マックス・フォン・シドー(こちらは大御所)ら、脇もかなり豪華です。 ダンスの後に窓辺に歩み寄るシーンは泣けます。その後は予想通りの展開になる訳ですが、どこが真実でどこが創作なのか興味が尽きません。医師としてはセイヤー氏は少々無責任でやり過ぎたといえるシーンもありますが、それでも人として親身に行動しているという行動原理自体は正しかったのではないかと感じます。家族を大病で失いかけた経験がある方でしたらかなりの部分まで許容できるのではないかと感じましたし、またセイヤー医師の存在はかなりありがたいのではないかと思います。 映画としてもすこぶる綺麗にまとまっていて、名作の名にふさわしい手堅い作品です。 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 8点(2022-07-19 12:09:47) |
《改行表示》289.初見だが、今から30年ちょっと前にけっこう話題になった映画。 時代はさらにそれより20年前の話、そのころ流行ったゾンビーズの「二人のシーズン」懐かしー! かなり劇的な奇跡が起こるストーリーだけど、淡々と物語が進行していくのが味わい深い。 熱演、怪演のデ・ニーロはもちろん、どこか日本人的なシャイの医師役を演じたロビン・ウィリアムズも安心感があった。 それとポーラ、とてもアメリカ女性とは思えないようなエエ子だったなー。(←偏見) 【ハリーハウゼン】さん [地上波(字幕)] 7点(2022-04-12 16:27:18) |
《改行表示》288.《ネタバレ》 かつて一度鑑賞したことがあったが、職場で人と話題になりDVDを貸してくれるというので久しぶりに二度目の鑑賞。一回目の時にレビューもしていなかったようなので改めて記録も取ることにしました。 やはり少し記憶に残っていたようで、なんとなく全体に既視感を覚えながら鑑賞していました。不器用ながら患者のために尽くす医者役のロビン・ウィリアムズさんと、自分の人生の大半を病で過ごし、薬によって少年期の記憶のまま目覚めたレナード役を、もういい年したおっさんのロバート・デ・ニーロさんが見事に演じていました。おっさん顔なのに少年のような笑顔や泣き顔をするってかなり難しいと思うのですが、怪演でした。 医師のセイヤーは、研究畑で慢性神経症どころか臨床経験がほぼないという医者。あれよあれよという間に慢性神経症患者の臨床医となってしまうが、生来の真面目さからか、患者にしっかりと向き合い、やや向こう見ずに突っ走る傾向はありながらも患者のためにまっすぐ力を注ぎます。今でいうと「研究オタク」とでも揶揄されそうなセイヤー医師ですが、患者のために体を張れる、立派な医師だと感じました。そんな人間味あふれるセイヤー医師を、ロビン・ウィリアムズさんが完璧に演じています。いや、本物のセイヤー医師を知らないので完璧というと語弊があるかもしれませんが、不器用ながらも人としての優しさが滲み出ていて、患者たちに信頼される、そんな医者の役がピッタリはまっていたと感じました。 対してロバート・デ・ニーロさんと彼が演じるレナードについて。デ・ニーロさんは上述のように、あの歳にして少年の顔や表現ができる凄い俳優だと感じました。引き出しいっぱいあるんでしょうね。セイヤー医師によりようやく効く薬が見つかって、一晩で劇的に回復したレナード。これまで何十年も言葉すら交わせなかった相手が話しかけてくれたらそれはもう感動ですよね。ここで終わればただのハッピーエンドだったのですが、映画はその後の展開までしっかり描かれます。レナードはじめ他の回復した嗜眠性脳炎患者たちも、時間の経過や今の自分達の置かれてる立場に戸惑いを覚えるようになり、ついには「ここから出せ」「俺たちに自由を!」とデモを始めます。 久しぶりに鑑賞して、じゃあ自分が嗜眠性脳炎患者だったらということを考えてしまいます。段々と手がしびれるようになり、ふと全くの不意に自分が眠ってしまう。体のあちこちがカクカクとしか動かせなくなり、次第に全身の自由もきかず、その間何十年のことも記憶に無い。壮絶ですよね。そしてある日突然目覚めたらそこは病院の中。自分の姿や世の中の変化にも驚きながら、しかしそこで恋もする。好きなあの人と二人で出掛けたりと意識が外へ向かうが一人で外出する自由はレナードにはなく、不満が爆発し上述のようなデモに発展させてしまう。デモまで起こすかはわかりませんが、自分でも何か不満をいだいて不平を述べたりするでしょうね、きっと。脳炎患者たちが回復して各々自分の意志の向くままに動いたり喋ったりするのを見て、病棟の黒人医師が「前のほうが良かった」と冗談のようにぼやきますが、何もせずただそこにいるだけの人形のような患者より、自分の意志で動いて自分の意志を表現する人間のほうが相対する人間にとって面倒がかかるのはまあ当たり前ですよね。 やっと手に入れた自由を謳歌したい患者たちと、突然治った患者たちをいきなり単独で外の世界へ出せない病院のジレンマ、あと双方どちらの主張も理解できる自分に歯がゆさを覚えました。どっちの立場もわかる。なのでどっちの味方になることもできない。ましてレナードは症状の揺り戻しが始まっていた。あの状態で一人で外へ出せないという判断は病院として当然だとも思いました。 嗜眠性脳炎そのものや、誰かがそれを発症したときの周囲の人の気持ちに思いを馳せることができた映画でした。今ではほとんど姿を消した病気ということですが、実際にあったストーリーとしてそういうものを現代でも見られるということが映画の醍醐味ですね。 【TANTO】さん [DVD(字幕)] 8点(2021-07-07 17:46:13) |
287.《ネタバレ》 30年ぶりの再見。ロバート・デ・ニーロのキャリア中ベストアクトであるレナードの喜怒哀楽に息を吞みっぱなし。未承認薬使用の功罪を考えさせられる傑作。レナードの母の胸中を思うと胸が詰まる。 |
《改行表示》286.《ネタバレ》 全体的に演出は抑制ぎみな方に思うが、その静けさが残酷な現実をより際立たせている様にも思う。観終わって調べると、若干の脚色・演出はあるものの肝心なトコロは大体事実という超衝撃(世にも不思議な実話)。その意味でも、観る価値は確実に在る作品だろう。 抑え目とは言っても、終盤のダンスシーンなんかは正に号泣もの。昔いっとき通勤電車で映画観てた時期があって、そんなときに山手線で観てて不覚にも車内で大泣きしたのだよね(その後、電車で映画は観ていない)。あと、ロビン・ウィリアムズのこれも静かな演技も流石といってよい出来だが、更にデ・ニーロのは演技の域を軽く超えてしまっている、そのへんも必見。 【Yuki2Invy】さん [DVD(字幕)] 9点(2020-09-09 23:49:41) |
《改行表示》285.人間の尊厳とは何かを考えさせられる。 何の目的もなくただ漫然と生きるよりも、ほんの一瞬であっても最高の輝きを放った人生の方が素晴らしいと言えるのかもしれない。 「眠っているのは、君たちの方じゃないか」という言葉には、ハッさせられる。 主演2人の演技もまた素晴らしくて引き込まれる。 【アクアマリン】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2019-07-27 19:42:56) |
《改行表示》284.デニーロの迫真の演技にどんどん映画に引き込まれて、喜びも悲しみもともに体験した気になる。 素晴らしい。 余談ですが、ロビン・ウィリアムスはこういう役がぴったりですね。グッドウィルハンティングとかぶるかぶる。 【めたもん】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-05-05 22:08:47) |
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《改行表示》283.《ネタバレ》 全てはデニーロの演技の素晴らしさ。 映画は5点ですが、彼の凄ぇ演技にプラス2点献上。 ロビン・ウィリアムズなんか全然目立たなかった。 同じ病気ではないが、脳の病気のドキュメンタリーを親類の病気の関係上、勉強のためよく見る事がある。 脳みそはほんのちょっと、ほんのちょっぴりの傷や異変で恐ろしい症状を出す。 レナード達の病気は重度の脳炎で意識もなくなっている様でこれもまた怖い症状だ。 先生は人体実験に近い形で投薬をしてしまって、、、そこは『え?』と思いましたが そこからはまるで夢から醒めたように患者が眠りから覚める。 そこから終盤にかけては映画的なファンタジーになっている気がするが、 まぁ、それはそれで良しとします。ドキュメントではなく商業映画なので。 もともと実話ベースの映画はこういう問題もあり苦手で、たぶんこれも観てなかったのですが、 今回たまたま観る機会があり、でも観ておいて良かった。さすがのデニーロに改めて脱帽。 【movie海馬】さん [CS・衛星(吹替)] 7点(2019-02-25 20:27:18) |
282.《ネタバレ》 全然映画を覚えてなかったので、20数年ぶりに本作見直しました。ロビン・ウィリアムズとロバート・デ・ニーロという超大物が主役ということということで、終始落ち着いたムードの作品。薬物投与による副作用は当然考えなければいけないが、この病気は不治の病。誰かが犠牲(モルモット)になってしまうのは、致し方ないことなのかなーと思った。しかし、デ・ニーロという俳優は本当にどの年代でも魅せられる俳優だ。ロビン・ウィリアムズの先生役は当然はまり役なのだが、デ・ニーロの演技で霞んでしまうほどである。実話であるが、十分な内容である。 【SUPISUTA】さん [DVD(字幕)] 8点(2018-03-28 12:19:46) |
《改行表示》281.《ネタバレ》 後半は法廷劇にでも発展するのかと邪推しましたが、さにあらず。中盤から終盤に至るロバート・デ・ニーロの演技は見事でした。とりわけヒロインとのダンスシーンは、美しさとせつなさが入り混じって、複雑な気分にさせてくれます。 まったく余談ながら、チョイ役でヴィン・ディーゼルが出ていたそうで。「ワイルドスピード」で主役を張るのは約10年後から。シリーズ化して製作総指揮まで務めるのはさらにその数年後から。よくある話ではありますが、出世魚の原石を見るのはなかなか楽しいものです。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-02-28 02:12:58) |
《改行表示》280.見てる間も、見終えた後も、なんともいえない気持ちになった。 こんな気持ちも時には、いいや人生には必要だと思う。 【がらんどう】さん [CS・衛星(吹替)] 6点(2018-02-11 19:15:08) |
《改行表示》279. 冒頭に実話を強調されると「ああそうですか」というしかない。あんなに劇的に患者が回復するだろうか?と素朴な感想。 治療の方法に疑問は残るが、セイヤー医師は研究医として全力で患者を救いたかったのだろう、と好意的に受け止める。結果的に一時回復→副作用→再発の流れになり、最善を尽くしても治療の結果は「神のみぞ知る」だ。 1969年の象徴として、アポロのポスターやゾンビーズ「ふたりのシーズン」は効果的。 序盤から中盤まではR・ウィリアムス、終盤はR・デ・ニーロが主役といった感じだ。題材の性格上、デ・ニーロの演技に注目が集まるのは自然なことだろう。歯磨き以降の場面は見ごたえのある演技だった。ある意味儲け役を好演だが、“特徴のある役(動きの大きな演技)は演りやすい 特徴のない役(静かな心理描写)は難しい”という思いも若干残る。 【風小僧】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-01-15 11:37:33) |
《改行表示》278.ロビン・ウィリアムズとロバート・デ・ニーロ、二人の暑苦しい演技合戦なんか見せられたらタマランな、と思うところですが、比較的抑制が効いた演出となっていて、好感が持てます。決してハッピーなお話ではないのですが、作品に盛り込まれたユーモアに救われます。ロビン・ウィリアムズのネクタイの結び方とかね。 奇病との戦いにおいて、病魔に侵される不幸、改善する幸せ、再発する不幸、ってのは当然ある訳ですが、その患者の様子を、悲惨なものとしてよりは、どこかユーモアを湛えた存在として描き、たとえそれがひとときの治癒に過ぎなくとも、病魔から自分を取り戻したその刹那の輝きを描く。 人生、皮肉もあれば希望もある、それを、押しつけがましく無く描いているのが、いいですね。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-12-30 10:45:14) |
《改行表示》277.毎日をしっかり生きることの尊さを痛感させられる。コミュニケーションが取れない人も生きているということは周囲も理解しているだろうが、その人の感情までをも理解しているのだろうかと問いかけられた気持ちになった。 さらに、門外漢の医師ゆえに気付きがあった点にも注目したい。物事を軽んじることがどれほど罪になり得るかを、患者を治そうと思うことを無駄のように考えていた医師を見て、自戒する思いになる。思いやりのある人になりたいと思うと、作中にあったセイヤー医師の笑顔が目に浮かぶ。 【さわき】さん [地上波(字幕)] 8点(2016-12-17 18:32:52) |
《改行表示》276.映画はよく奇跡を描く。 極限からの生還や幾重にも連なった偶然の果ての出会い、魔法にいたるまで、 この映画では起きた奇跡は医者が試行錯誤の末にたどりついた境地と呼ぶべきもので、 それは普段映画で描かれる奇跡とはまるで違うものである。 しかし、眠れる人々が起き上がり再開を果たすシーンでは、 事実が故の重みもあいまって非常に胸を打つ。 映画としては演技とこの事実の重み、彼らの心情などなど見所が多く、 佳作といえるが、正直言って辛気臭さがはなにつく。 もう少し大人になったら再鑑賞したい。 【病気の犬】さん [DVD(字幕)] 6点(2015-11-11 19:34:40) |
《改行表示》275.《ネタバレ》 難しいですね。何が正しくて、何が間違っているのか。効果も副作用も不明な新薬を、独断で増量投薬する。まるで実験台じゃないか・・もし自分が医師だったらとても真似できません。したくありません。しかし、そうして目覚めたレナードの喜び、世界の輝き。何物にも代えがたいはずです。レナードが目覚めた最初の夜、「僕は起きている」と笑うシーン。母親を認めて腕を広げるシーン。ほかの患者にも投薬治療をし、皆が次々とベッドから起き上がるシーン。あの喜びと輝きに満ちた、鮮やかな場面は、全ての批判を跳ね返す力があります。もちろん結果論です。成功したから肯定できる。見方を変えれば彼をマッドサイエンティスト(?)と呼ぶこともできるでしょう。彼は間違っています。しかし、レナードにとって彼は救世主で、かけがえのない主治医で、友人でした。やがてレナードに再びゆるやかな死が迫り、お互いに苦悩し、心を分かつ場面もありましたが、しかし最後まで二人は努力を続ける戦友であり続けました。何が正しくて、何が間違っているのか。外野がとやかく言える問題ではありません。ラストシーン、セイヤーは、たどたどしい口調で看護師エレノアをコーヒーに誘います。正しいも間違いも存在しない。人は成功と挫折の中で一生かけて学びつづけ、自分が最善だと信じる方へ進み続けるしかないのだと思います。 レナードとポーラのダンスシーン。文句なく素晴らしい、まさしく名場面です。そして、あの奇跡のひと夏が終わりを告げ、患者はすべて元のような人形に戻ってしまいますが、あの「髪を染めたいわ、私の髪は黒髪なの」と気恥ずかしそうに笑ったおばあちゃんの髪が変わらず黒く染められ、化粧を受けているシーン!ぐっときますね。セイヤーは「自分のしたことはひどく残酷なことではないか」と悩みますが、果たしてそうでしょうか。あのおばあちゃんの黒髪は、ひどく救いに満ちていると感じました。(私が女だからでしょうか・・) 【デルモゾールG軟膏】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2015-07-29 02:19:25) |
274.さすがデニーロ。患者役まで演じ切る、さすがではあるが反面、拳銃慣れした強いデニーロが焼付きすぎて「こんなデニーロみたくない」と感じちゃう。内容はノンフィクションなのでうまいドラマでは無いのはわかってるけど特に。患者が治ってない状況でセイヤーの恋はいらなかった。 |