22.自伝的小説が原作のようなので仕方ないのだが、話としてあまり盛り上がりもなく、心情描写もイマイチ。もうちょっと長尺でじっくり描けばよかったのに。役者もミスキャストなのか、年齢的な無理もあり苦労する女子学生の姉には見えないし、弟の演技はヒドイし。両親はまあまあかなという気はするが、姉弟の話が中心なので存在感がいまひとつ。 |
《改行表示》21.Japan SocietyにてのKON ICHIKAWA RESTORATIONS、3本中2本目。 幸田文の作品は読んだことがない。しかしながら映画化されたものとして成瀬巳喜男監督作品「流れる」(1956) が燦然と記憶の星の中に輝いている。あいにく鑑賞中にはどの作品だったかまではもつれた記憶の糸をほぐしきれなかったのであるが、本作の扱うテーマなどと比較するとなるほどの類似性で、人の内面をえぐるようなセリフ回しの数々が次々と溢れ出てくる。うーん、これまた原作か…。 田中絹代の憎まれ役というのは本来珍しい訳なのだが、自分にとってはもうそうでもなくなってきてしまっていることを改めて認識した。元となる既鑑賞作品は「春琴抄 お琴と佐助」(1935) だったり、「女優須磨子の恋」(1947) だったり、「夜の女たち」(1948) であったりするだろうか、どれも本作の頃よりは随分と若いころではあるけれど。 森雅之の老け役はまだ見慣れない。どうも本作が自分の既鑑賞群の中では再後年の作品らしく、自分の印象の大半を占める「雨月物語」(1953) 、「白痴 」(1951) 、「浮雲」(1955) 、「楊貴妃 」(1955) といった年代からは5〜10年の歳月が過ぎていることになる。ただだいぶん焦らしてからの第一声は十分聴き応えがあり「やっぱり森雅之だ。」と安心できた次第。 若かりし頃の岸恵子と初めて遭遇したのは小津作品「早春」(1956) であったが、今年に入って鑑賞した小林正樹監督作品「からみ合い」が1962年の作品で本作はその間に落ちる。実年齢と比べると本作撮影時は20代の後半で女学生役に挑戦してたこととなり若干無理があったかもしれないが、和装の似合い度も手伝って大正期の女学生の雰囲気は十分に出てたかと。ちなみにその先の印象といえば「男はつらいよ 私の寅さん」(1973) 、「細雪」(1983) とぽんぽーんと飛ぶこともあり、やっぱりこの60年前後が彼女の魅力が満開だったのかなと感じはするものの、結論は当たり役「君の名は」(1953) を観てから述べることとしましょうか。 【kei】さん [映画館(邦画)] 5点(2015-10-20 12:26:20) |
【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 5点(2014-10-13 14:33:08) |
19.《ネタバレ》 暗く・色彩の浅い映像は独特で、これが銀のこしという映像処理手法なのですね。初めて観ました、のちにいろいろな作品にも使われてるそうです。これが、どちらかといえば後ろ向きな内容と合い、淡々としたなかにある愛情を描くことに趣きを添えています。そんななか岸恵子は気丈な姉を演じますが、その美しさは独特の輝きを放っていて…イヤー綺麗です(チョット中山美穂似?)。ラスト、ふとんに寝かされて終わるかと思いきやカメラは動かない、、、(?どうなるんだ??)そしてムクっと(!!)突然起き上がる岸…実は結構ビックリしました;;。個人的にすごい終わり方と思ったけど、ただ慣れてないだけかな? ちょっと新鮮な終わり方がいい勉強にナリマシタ 【Kaname】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-10-17 17:07:22) |
《改行表示》18.映画の出来としては悪くないが、いかんせん全体的に後ろ向きすぎる。 デリケートな家族問題が暗すぎて、見ても楽しめないのである。 「この家はキチガイばかりだ」って、あんたが一番恨み嫉みを作り出してる張本人だからねぇ。 ストーカーまがいの男も存在意義が微妙。 でも、岸恵子の聡明できりりとした健気な美しさと、弟との丁々発止のやり取りは良かった。 昔の日本人家庭の雰囲気がよく出ていると感じた作品。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2012-10-15 16:13:44) |
17.《ネタバレ》 弟との関係はもちろんだが、クリスチャンでリウマチの継母との関係がなかなか興味深い。継母は典型的イヤミおばさんかと思いきや、決して悪い人ではなかった。自身が晩婚で苦労したため、げんには若いうちに嫁に行ってほしいと思っているし、碧郎の更生を願う気持ちにも嘘はない。入院した碧郎に入信を勧めるつもりでいたが、もう、その必要はないと涙を流した場面では、はっきりと愛情を感じた。田中絹代の力も大きいんだろうけど、一癖あるから面白い。げんもげんで個性的。当時28歳の岸惠子が女学生を演じているため、演技に不自然なところがあるが、その不自然さが個性?。訛りなのか何なのかよく分からないけど、言葉遣いがたまに独特な感じになるのも良かった。幸田文の自伝的作品だと知ると、やはりぐっとくるものはある。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-10-03 21:43:14) |
16.《ネタバレ》 文芸作品らししい色彩、映像は見事だし、岸恵子の気丈で弟思いの姉の演技も素晴らしい。 姉弟の心理描写と父親との関係性はすんなり入ってきた。 しかし、継母との関係性の背景、心理描写が今ひとつ。 継母が体が悪いにしても家事を何もせず娘がやって当然ですって態度で、父親もそれで当然と思っているところで、姉弟の境遇を憐れむ気持ちよりも継母に対する腹立たしさのほうが先に立ってしまう。 前半は継母が姉弟を憎んでいる思っていたので、終盤で心配して優しくなって悲しむべき背景を自分で想像して納得するしかなく、このあたりののエピソードやプロセスをもう少し描写して欲しかった。 田中絹代という配役だけで、芯は悪い人ではないだろう納得させてしまったかにも思える。 【nobo7】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-01-23 18:54:01) |
15.岸恵子が本当に綺麗だと思った。演じた姉も優しくて健気で頼りになるようなならないような人物で魅力があった。弟との仲の良さも確かに感じます。ただそんな姉のがいるからこそ弟は馬鹿なことばかりするのかなと。映画全体としては、面白い割にそれほど胸を打つようなところはなかったように思いました。姉弟の話より継母の方が面白そうな存在でした。 【さわき】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-07-22 01:15:17) |
14.《ネタバレ》 崑てモダンなんだけど、日本の家の暗さを描くと一流なんだ。日本の家屋の古さにモダンを見ている。描かれていることは陰湿と言ってもいいのに、観ている印象から言うと、湿り気が感じられない。田中絹代の母が、一家のあまりの「背教的態度」に、ああーと絶望の声を上げるとこなんか、陰湿さであるはずのものが客観的な笑いを生んでいる。この距離感が、崑のモダンたるところ。暗い話を、監督は一緒に閉じ籠もって暗く見てはいなく、外から見ている。田中・岸田がひっそりと話し合ってるあたりに漂うユーモア。弟の内面をほのめかすシーン、死なせた馬が可哀想と繰り返したり、アイスクリームで人に伝染させちゃいけないと言う場面などでは、常に姉を立ちあわせている。姉の目を通した弟にしている。そんなに悪い子じゃないのよ、って。姉にだけにはそう見せたい弟の甘えでもあるのか。そういうとこに、この二人だけの親密さが漂う。あるいは鍋焼きうどんで姉を試そうとするあたりも。外の人間に向かわない自分たち姉弟だけで閉じている親密さを、これじゃつまんないな、と弟が病床で述懐するところが切ない(これがけっきょく彼の最期の言葉になったのか)。日本映画では、ラストをピタッと決めるのがうまく出来ないのが多いんだけど、崑はうまいね。パッと断ち切る鮮やかさ。俳優では暗い田中絹代が素晴らしく、彼女の長い俳優歴のなかでも異色の代表作と言っていいだろう。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-06-30 12:15:48) |
13.《ネタバレ》 岸恵子は、芯の強さや細やかな愛情を頑張って表現していると思うのだが、全体の筋が何とも後ろ向きで暗すぎる。それならそれで現実の生活の厳しさを実感させる方向でまとめればよいと思うのだが、その辺も中途半端。結局、病気の部分のファクターによりかかってしまっている。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-06-25 02:34:45) |
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《改行表示》12.前半は姉弟の関係を中心に。後半は弟が病に倒れることで、家族が変化していく様を描いています。が、どうも地味ですね。比較的地味な映画が好きな私が見ても、あまり引き込まれません。日本映画にありがちな「芸術的な映画にしてやろう」というのが出ていて、好感が持てません。芥川也寸志の音楽も、現代音楽丸出しで雰囲気ぶちこわし。岸惠子は前半あまりきれいには見えませんが、弟が病気になると美しくなってくる。これはどういうこっちゃ。田中絹代と森雅之の両親は素晴らしい。やはり肝心の川口浩がウィーク・ポイントでしょうか。 製作当時の「銀残し」を再現したという触れ込みの放送で鑑賞しました。この色はなかなかよかったのですが。もう少し近づきやすい内容にしてもらいたかったです。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-01-04 11:29:25) |
11.《ネタバレ》 姉というより母だ。父母それぞれの事情により姉が母とならざるを得ない状況が映される。その環境は同時に弟をわがまま放題の子供にしてゆく。姉はいっそう母になる。説明するほどのこともないから説明しない。状況の描写が的確にされているから説明がいらない。こういうことを普通にするのが巨匠といわれる人。しかし市川崑ゆえか岸恵子ゆえか、はたまた原作ものゆえか、姉が母ではなく女を見せるシーンがあるのだが、全く色気がないってのがどうも・・。映画的には弟への愛にエロティックさが現れても面白いかも。でもそれ以前に色気がなさすぎる。ラストの悲しい流れを断ち切るようなきりりとした動きは意表つかれました。弟がいなくてももう母でいることに慣れた自分を捨てられないってことなのか。 【R&A】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-02-23 17:26:01) |
《改行表示》10.《ネタバレ》 本来、人が死んでいく話を主体にした作品は好きではないのだが、本作については例外的に心を打たれた。 人は日々の生活の中で何かに追われ、良心を持っていながらもそれを外に出せない状況に置かれることがしばしばある。 仕事にしてもそうだ。 仕事に忙殺されたり、人間関係の煩雑さにより、いがみあったりしてしまう。 しかし、人はそれぞれ心の奥底に良心というものを必ず持っており、それらは極限の状況、本作で言えば誰かが死に直面するという状況の中で、それぞれが心の奥底に持っていた良心というものが、なんのつかえもなくすんなり出てくる。 そういった状況でこそ、心を打ち明けあい、互いを理解することができるようになるのだ。 本作はそういう意味で、単に死の悲劇を嘆いただけの作品ではなく、人間の奥底に眠る良心というものを、鋭くえぐり出し描写することによって、人間の本質を表現している。 そこに私は心を打たれた。 そう考えると、そういった極限の状況に置かれる前に、人は相手に対して理解する気持ちを持ち、寛容な気持ちで持って相手に接すること、それが何より重要であると感じる。 相手のことを理解し、お互いを信頼できる関係を築き上げる為には、日頃からそういった他人への接し方を心がけることが何より大事である。 憎まれ口ばかりたたいている人がいても、その人間がどんな悩みを抱えているのか。 どうしたらそれを理解し、お互いの信頼関係を築けるか。 本作を観て、これらについてとても考えさせられた。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2009-01-07 21:50:26) |
《改行表示》9.家族の問題を長女が背負って立ってしまうことは、よくありますね。 父親も母親も罪悪感はありつつも頼りきってしまって、娘も「私がこの家を出たら家族が崩壊する」ことを身にしみて解っている。 さらに自分の「女性としての賞味期限」をこの家族のために犠牲にしていることも自覚している。 今も昔もこういう長女っていますよね。。 水木洋子の脚本も上手いんだけど、イマイチ、その長女の苦悩が伝わりにくいのは岸恵子が長女役だからだろうか・・? 公開時には「28歳の岸恵子」は「女性としての賞味期限を犠牲にする長女」としてリアリティもあったんだろうが・・ 現在ではまだまだ(あくまでも女性の側からですが・・)現役・適齢期な年頃なので、その悲壮感にリアリティがないのかなと思う。 しかも岸恵子・・あんなに綺麗だし、問題が解決したらさくっと結婚できそうだと思っちゃうから。 これがもう少し外見的に地味な女優が演じていたら、リアルな悲壮感が出て永遠の名作になったような気がする。 水木洋子脚本は庶民性とリアリティがよさなので、「キクとイサム」のように適切なキャスティングが必要なんだと思う。 一方、市川監督は綺麗な女優さんが好きなので、ココが壁なんだろうか。。 【グレース】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-04-10 10:11:46) |
8.市川崑監督の映画に岸恵子が初めて出演した作品。市川監督の映画としても代表作の一本ということで、市川監督の作品を本格的に見始めた頃よりずっと見たかった映画だ。この映画で編み出された「銀残し」と言われる撮影技法は市川監督の最近作「かあちゃん」でも使われてるけれど、独特の渋い映像が美しく、宮川一夫の腕も冴える。映画の完成度ももちろん高く名作と言われてるだけのことはある。でも、今まで見た市川監督の映画の中ではちょっと湿っぽすぎる印象もある。和田夏十でなく、水木洋子が脚本を書いているのが関係してるのかな。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-10-30 03:07:54) |
《改行表示》7.《ネタバレ》 芥川の音楽と川口の演技が、台無しにしている。 28歳の岸が、10代を演じているのも厳しいなあ。 【みんな嫌い】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2007-09-16 18:49:47) |
6.これが噂に聞いていた銀残してやつですか!相変わらず市川崑監督の描く女性は美しく、また宮川一夫カメラマンの映像も素晴らしい。岸恵子の気の強い姉と川口浩のどうしようもなくだらしのない弟が繰り出すオーラ、ドラマとしての完成度も高いことは認める上で、敢えて言わせてもらうと市川崑監督の素晴らしい作品の中にあって、特別傑作だとは思えず、だからと言って悪くはない。おとうというこのタイトル、何か複雑な気持ちにならなくもないが、姉の立場から見た弟と弟の立場から見た姉、心の揺れ具合を描くことに関してさすが名監督!この二人の心の揺れに比べたらやたら好評の「ゆれる」なんてゴミみたいなものです。まあ、比べるのは間違ってるけど、いずれにしても単なる文芸作品ではない見応えのある作品であることだけは間違いないと思う。それにしてもこの映画の岸恵子の美しさときたら、今の日本映画の女優にはない何か一味も二味も違う美しさを感じます。 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2007-07-29 16:34:39) |
5.この映画を観るまで岸恵子という女優さんには、「巴里のおば様!」(←「赤い疑惑」)というイメージが自分の中で既に出来上がっていたけど、この名作を観た時に180度変換しましたね。か細いけれど芯が強くて、大正時代の袴が似合う日本的で闊達な女性というイメージに。声が舌ったらずのようなキャンディボイス、後年のハスキーで物憂い感じとはまた違い素敵なんです!自分にも三歳違いの姉がいるんで、この姉弟の気持ちの揺れ動きは良く理解出来ました。家庭生活の責任を放棄してるかのような父親(森雅之)、足が悪い事で世をすねている母親(田中絹代)がしじゅう家の中でぶつぶつ呟いてる描写も秀逸。クライマックスの病室で二人が紐で手を縛って眠るシーン、海外の評論家からは別の変な意味に誤解されたみたいだけど、どう考えても彼らの解釈の仕方の方がおかしいですよね。湿っぽくないさらっとした幕切れも好き。おとうとの名前が碧郎(へきろう)なんてインパクト大のおかしな名前だったんで、この映画を昔姉貴と観た後いきなり後頭部をどつかれ、あんたは絶壁郎君だね、なんてからかわれたっけなあ・・・。 【放浪紳士チャーリー】さん [地上波(邦画)] 8点(2007-04-01 14:51:04) |
4.原作がとてもよかったけど、映画の方も良かった。銀残しの映像も。自分の弟とだぶった。しみじみきた。 【Michael.K】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2007-02-25 16:19:52) |
《改行表示》3.↓褪せたようなカラーだと思ったらこれが話に聞く銀のこしでしたか。17歳で反抗的な弟を母代わりの愛情で世話するしっかり者の姉。次々問題を起こす弟は唯一この姉には心を許し甘えている。リウマチで日常生活もままならない母は神にすがって愚痴を言うばかりだし、文筆家の父は放任のような大らかさ。ぎくしゃくしていた父母と弟の間だが彼が病気になって気持ちがほぐれ通い合っていく。このあたりは泣ける。けなげな姉役の岸恵子が生き生きしててとてもよかった。目の辺りが誰かに似てる、、と思ったら田中美里だった。父の森は幸田露伴・というより森鴎外といった雰囲気、田中は良妻賢母のイメージだがここではちょっと嫌味な母親。いずれも渋くていいです。あ、これじゃへちょちょさんのパクリだわ。語彙に乏しいのでお許しを、、、 【キリコ】さん 8点(2004-05-16 16:38:34) |