6.《ネタバレ》 聾唖者で自分の思いを言葉にすることができない、若かりし頃のアラン・アーキンが演じるシンガー。
アラン・アーキンは「リトル・ミス・サンシャイン」の偏屈じいさん役でで念願のオスカー初受賞となりましたが、
何故「リトル・ミス・サンシャイン」が初受賞だったのだろう?と思わざるを得ない素晴らしい演技でした。
彼と同じ障害を抱えるギリシャ系の親友。バーで出会った、仕事もせず酒を飲んでは客に絡む事しか出来なかった男。
彼が下宿していた家の娘。南部の地で白人を恨み続けて生きてきた黒人の医師。
事情は様々ですが、みんなシンガーによって心が救われてきた人たちです。
シンガーは彼らの話に親身になって耳を傾ける。そのアラン・アーキンの表情が見る者の胸を打ちます。
しかし1人また1人、彼の元を去っていく・・・。そんな彼の孤独は親友の死でピークに達してしまう。
ギリシャ系の親友とのやり取りなど、彼の手話に一切字幕をつけない。
途中は2人の表情や手話のやり取りから何となく読み取れているような気もしていましたが
2人はどんな話をしていたのだろう・・・?彼はどんな思いで人々の言葉に耳を傾けていたのだろう・・・?
鑑賞後は様々な思いが胸の中を交錯します。手話に字幕をつけないことで見る者に何かを問いかけ訴えかけているようです。
「愛すれど心さびしく」。シンガーの胸の内を見事なまでに表した素晴らしい邦題です。