1.154分。全編苫小牧でのロケだったようですが、この監督の作品はほとんどが固定カメラで撮影されています。台詞も少ないしそういった意味では非常に「静かな」映画で。殺された女性のバラバラ死体(切り刻んだ)等が映るせいで「R-15指定」なのでしょうか。しかし主演の2人。香川さんと田辺誠一さんの持ち味も活きててとても「静かだけど激しい」映画だと思います。音楽も必要以上な味付けは無くシンプルでありながら心に残るものとなっております。
勿論田辺誠一演じる滑川が、先輩を連れてこの仕事に北海道に向かう事にも大きな理由があるわけなのです。そしてそこで出会う色々な人。地元の刑事。大塚寧々演じる謎の女。まるでサブリミナルのように現われる安藤希など。現地の悪徳刑事(ケタケタ笑う奴)が俺には「えぐら開運堂」の江原さんに見えてしまった・・・(涙)。
酒に飲まれる主人公という設定もあり、虚構と現実、夢うつつが入り混じった、「結局どれが本当の答えなの?」という映画ではありますが、ラストではそれらしい答えを導きます。「夢オチはファムファタールで充分だぞ~!?」とか、どうしてもこれだけ映画を見てると構えてしまうのですが、この監督の作る独特の味がいい雰囲気を醸し出しております。例え低予算でも、信念をぶつけた作品からは何かメッセージ性を感じるなあと嬉しくなった作品との出会いでした。