1.《ネタバレ》 見るまで、かつてレーザーディスクで発売されていた、舞台収録版かと思っていた。そういえば、昔、『ぴあ』で深作版とは違う、と解説されていた版があったのを思い出す。
冒頭導入部の舞台スタッフや、楽器演奏・歌唱の描写を見ると、彼らの舞台人としての矜持を見る思いだ。劇中の演奏も完璧にうまいわけではなく、それがリアルな「ライブ感」で好感度高し。その一方で、始まってすぐあたりのカメラの動かなさ、カットの具合を見て、映画として大丈夫なのか?と、ちょっと心配したが、杞憂だった。もともと物語に面白さがあるから、そんな事はすぐに気にならなくなる。
四朗のアヘン中毒の描写は、原作舞台でも厳しいシーンだが、この映画版は万人向けにソフト。同時に深作版で描かれたような、自虐的反戦部分も無いので、反戦というよりは厭戦。微妙な事ではあるが、主題をバンスキングから戦争へ持っていってしまうような事はない。
私には不思議な事だったが、マドンナと四朗の(かなり一方的ではあるが)、愛の物語として、受け入れられた。うまく言えないが、「セントルイス」でのシーンがあまり華やかでない為に、ジャズメンの主役感が薄いためなのではないか、と感じている。
また同時に、だからこそ、エンドクレジット以降にでも、あの終演後のミニコンサートのような部分を入れて欲しかったとも思う