18.もう今から60年も前の映画なんだな。 市川雷蔵という主人公をめぐるストーリーがいまいち観客を置いてきぼりにする感はあるが、色あせない映像美と殺陣のときの迫力や間合いの見事さは素晴らしい。時間がやたら短いというのも評価できる。 個人的には、この映画のなかの藤村志保さんがとても印象的だったので、もう少しセリフなど登場場面を増やしてほしかった。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-12-14 20:16:16) |
17.《ネタバレ》 冒頭、いきなり藤村志保が短刀を抜いてご乱心、という場面から始まり、このシーンが何を意味するかは映画が進むに従って明らかになっていくのですが、それはともかく、彼女の役名が「ふじこ」。確か「男はつらいよ」に出演した際の役名も「ふじこ」でしたよね。いくら苗字が藤村だからって、誰か彼女にちゃんとした役名を考えてあげておくれ。 この作品、70分少々のコンパクトな作りで、歳月があれよあれよという間に過ぎていく。多少、置いて行かれた感も無きにしも非ずですが、とにかくそういう作品です。脚本は新藤兼人。この時点で多少なりとも警戒してしまいます。。。 作品の中に「樹木」が再三、登場するのが、目を引きます。主に登場するのが梅の木、梅の枝。年月が経ち、また新たな春を迎えた、ということでもあり、また主人公の思い出にも繋がるのでしょうが、この梅が、さまざまな形で登場します。場合によっては凶器(!)にすらなっちゃう。 しかし梅だけではなくって、藤村志保が処刑されるシーンでは朽ちた木がそばにあり、はたまた雷蔵が養父と妹の復讐を果たす場面では周囲を枯れ木が点々と取り囲み、人外境そのものといった光景。 あるいは、実の父・天知茂の隠遁生活を囲む、森の緑。 主人公の人生に影響を及ぼした3人の女性、そして「父」の存在、そういったものを交えつつ、剣に生きた主人公の生涯と運命を描くには、この作品の短さは物足りなく中途半端な印象もありますが、見どころは多く、何より、思いつめたような雷蔵の表情が、映画によくマッチしています。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2022-05-05 08:23:54) |
16.《ネタバレ》 序盤から光と影の使い方が効果的。深い影と強烈な光に浮かぶ暗殺前の藤子の肌の色。 足元を反射させる黒光りする床。俯瞰から入る妾の暗殺場面の生々しさと印象的な音楽。序盤との対比で入る、暗殺後の藤子の顔。 弟を逃がすために着物を脱いで戦う佐代の妖艶さ。胸元の汗と流れ落ちる真っ赤な血。この映画は女の描き方が妖艶で美しい。 必殺の“三絃の構え”は神秘的。だけどおそらく実用的な技ではなく、相手の戦意を奪う“はったり技”だったと解釈。 控室で襲い来る主水に、三絃の構えで梅の枝を故意に斬らせ、鋭利になった枝先で主水の胸を突く(この時の技は三絃の構えではない)。もちろん信吾の剣技実力は高く、この技がなくても強いけど。 殿を探す際、広い城中を駆け回る信吾。ここでも俯瞰撮影を多用していて見ごたえがある。 ただ父との再会や、新しい主君との関係、殿が命を狙われる理由、最後の切腹と、どうにもこの映画の目玉、伝えたいことが見えてこない。 序盤以降の、ほのぼのとした家族との暮らし。優しい養父とお殿様。お転婆な芳尾はこの映画の清涼剤だけに、この路線でずぅっと行ってほしかった。 時代を感じさせない映像の美しさはかなりのもの。上映時間の短い作品なので観易いと思う。 【K&K】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2021-11-17 01:42:05) |
15.《ネタバレ》 何とも不思議な作品。いろんなエピソードが継ぎ接ぎされているんだけど、継ぎ接ぎどころか、そもそもこのパートは完結しているのか?というレベルでさっさと先に行ってしまう。それでいてバラバラ感はなく、一応は一つのトーンでまとまっている(ように見える)。タイトルに反して爽快なチャンバラは見られない、じとっと濃い内容。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2021-11-07 18:23:52) |
14.《ネタバレ》 ある意味「女に翻弄」されてしまう主人公ではあるが、ラストは理不尽ながらも壮絶に死んでいく女達に比べて、簡単に自刃を選んでしまう男の弱さに気が付いて、つらくとも生きていく選択をしたという事だろうか。時代は幕末なんだが、幕末感がないのが難点。 |
13.70分ほどの短い映画。 幼い頃にテレビで観た雷蔵版『眠狂四郎』が妖艶でエロかったため幼心に怖くて雷蔵さん自体が苦手でした。 で、この作品で何十年ぶりに雷蔵時代劇を観ましたが、凄くカッコ良かった。 物語は退屈でスピーディーだが、ある不運の侍のドラマチックな一生をダイジェストで! として観ればよきよき。 その代わり映像はとても美しく映像芸術作品としては素晴らしかった。 【movie海馬】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2021-11-03 22:47:28) |
12.話は何がいいたいのかよく分からん、っていうかつまらんのですが、映像が放つ緊張感にはつい息を呑みます。剣を構え合う動きのない場面でもその迫力には釘付けにされました。肌の白さや空の青が冴える映像美も印象的で、スローモーションの演出も非常に効果的。こうなってくると話のツマラナサがいよいよ心残り。 |
11.《ネタバレ》 三年や二十年があっという間に経過する驚くべきスピーディーな映画。上映時間71分ではまあ致し方ないでしょうが、その分様式美に凝りまくった映像に集中出来て良かったかと思います。「人間が縦に真っ二つ」という衝撃シーンがあります、といううたい文句ですが、遠景でしかも一瞬のカットですからなんてことはない。流麗な雷蔵の殺陣が見どころなのに、このシーンだけは妙に浮いてしまっているので監督の意図はちょっと?ではあります。三隅研次は後年に『子連れ狼』シリーズで人体破壊殺陣をさんざんやっているので、もうこれは彼の趣味の問題としか言いようがないでしょう。この当時はすでに黒澤明が殺陣に斬撃音をとりいれていましたが、こういう斬撃音のないチャンバラはかえって新鮮な感じがするのが不思議です。どっちがリアルなんでしょうかね。 【S&S】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-04-12 19:33:39) |
10.《ネタバレ》 もうこの時代にここまで完成された映像の時代劇があったのか、というのが正直な感想。姉弟の二人のエピソードが凄い。姉の弟を救うためにとった行動が特に・・。後に弟と出逢ったときに、もうちょっと弟との感情の交流があればなぁとも思ったが。でも市川雷蔵の時代劇は、丁寧な感情の流れというより、非情な時代の秘剣モノというとこが見所みたいね。面白い! 【トント】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-01-02 02:30:03) |
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9.《ネタバレ》 良いのは市川雷蔵と映像美。良くないのは支離滅裂な展開。信吾は三年の放浪で、どのようにして必殺の剣を身につけたのか? その描写が一切無いのが残念。タイトルが内容にマッチしていないと思うのだが。 【ジャッカルの目】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2007-12-31 11:44:33) |
8.《ネタバレ》 冒頭のただならぬシーンから一気に惹きこまれ最後まで画面に釘付けとなりました。実の両親、旅で出会った女性の非情な最期に潔く臨む姿に心打たれてしまいます。出生の秘密を知り、慈愛に満ちた養父の仇を斬った時点から信吾の最期が予感され、養父と同じく慈愛に満ちた大目付が謀に倒れる一連のシーンでのウグイスの鳴き声にいよいよかと覚悟してしまいました。信吾が懸命に大目付を探す城内の無人で異様な静けさにこの上ない非情さを感じました。「わが剣を破る者があれば、剣とともにわたくしも滅びたい」の願いが叶わぬとも潔く果てた姿に感服しました。 |
7.ストーリーはわかりづらく、話にはほとんど入っていけません。 しかしながら、雷蔵は痺れるほどかっこよいです! そして、多人数を相手にしての流れる様な殺陣は、今までに観たことのない流麗なる殺陣で惚れ惚れしました。 雷蔵にしかできない動き、そしてこれを演出した三隅監督には敬服します。 最後はそれほど良くもないですが、まあそれなりには納得できました。 雷蔵ファンなら観ても損はない作品だと思います。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2007-11-05 19:53:40) |
6.剣三部作の第一弾。大映時代劇、三隅研次、市川雷蔵の魅力いっぱいの作品。ストーリーはどうってことないけど(ってかよくわかんない)、71分という時間でこの濃さは凄い。三隅の映像美に、惚れ直すほどかっこいい雷蔵、伊達三郎が出てきた時点で怪しい展開wとか万里昌代のハラリ、雷蔵と同い年の天知が親子!とかもういっぱいいっぱい。 【バカ王子】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-11-08 23:30:52) |
5.まずまず楽しめました。 梅の木を使うあたりは特に・・・ |
4.《ネタバレ》 三隅研次監督による雷蔵主演の「剣三部作」の第1作。昔見たときは期待しすぎたのか、映像は良かったものの、ストーリーが分かりづらく、それで退屈し、全体的にもつまらない映画という印象があったのだが、久しぶりに見てみると、そこまでつまらなくはなく、むしろ傑作だと思った。確かに新藤兼人監督が担当した脚本は支離滅裂な感じで、ドラマにはあまり魅力を感じることはできないし、時代があっという間に経つのもダイジェストを見ている感じがして、雷蔵演じる主人公がいかにして剣の達人になったのかというわりと重要な部分がすっぱ抜けているのは中でもとくに残念。しかしやはり三隅監督の映像美は今見ても冴えわたっていて、冒頭の藤村志保の登場シーンから引き込まれ、話の分かりにくさがそんなに気にならないくらい見入ってしまった。とにかく昔見たときよりも三隅監督の凝った映像の数々に魅力を感じることができ、映画の評価は決して脚本だけで決まるものではないとあらためて感じることができた。冒頭のシーンから藤村志保が処刑される一連のシーンの流れも印象に残るのだが、雷蔵の殺陣の美しさはやはり時代劇らしい様式美が感じられて良い。クライマックスのウグイスの鳴き声の使い方もそうだが、やはり美しい梅の枝を使った殺陣は梅の美しさとその枝で行う壮絶な殺陣というのが非常に相反するものを感じることができ、とても印象的だった。そして、主人公が主人の大目付(柳永二郎)を懸命に探すラスト近くも異様な静けさが独特の緊張感と非情さを漂わせていて、見ていてゾクゾクとさせられる。万里昌代演じる姉が弟を救うためにとる行動はなかなかインパクトがあるが、そのシーンも美しく演出されていて印象に残った。それに、柴田錬三郎原作ということもあってか、このシーンはなんか「眠狂四郎」っぽさもある。(2021年7月17日更新) 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2005-03-05 02:06:27) |
★3.その映像美と華麗に見せる殺陣だけでも見る価値はあったと思っております。しかし、前半の展開は信吾の悲劇の命運という感じで話もわかるのだが、後半は何か話を付け足したような別の展開になっており、目的も無く、正直なんの話なのかわからなくなってきた。最後も梅の枝を使うところなどは、素直にカッコイイと思ったが、その後の展開がどうも納得がいかないのでした。 【カズゥー柔術】さん 5点(2005-01-25 03:03:07) |
2.三隅研次の陰影を浮き立たす映像美は流石に素晴らしい。が、なんなんだこの脚本は。陳腐な台詞まわし、滅裂な展開、随所に見られる映像の秀逸さを覆い隠して余りある酷さだった。主人公は何をもって行動しているのかがまったく描かれていない。娯楽なのか、ドラマなのか、物語の真意が何もつかめない展開に苦痛を伴う。 【鉄腕麗人】さん 2点(2005-01-24 15:32:01) |
1.緻密に、徹底して計算され尽くした様式美を感じる。冒頭、スタッフクレジットのバックの暗殺場面、全裸の白い女が刀を振り回すシーン、草原に舞う白い紙。スローモーションが美しく、静けさの中、非情な運命を背負った一人の侍の哀しき一生が虚しく果てる。これぞ武士道 【紅蓮天国】さん 7点(2003-11-24 13:17:02) |