27.◆体裁上はリベラリストでも中身は保守的な人なんてのはたくさんいて、そういうひとたちは、実際に自分がマイノリティーの立場に立つとコロッと意見を変える。本人達のためだ、とかいって結局自分が面倒なことに巻き込まれたくないのが本音。そんな心境をうまく描いていると思います。◆その気持ちも仕方がないとは思う。アメリカの南部にいたっては、黒人と白人が一緒に歩いていたら命の危険すらありうるのだから。◆作品のなかでは、だんだんとその気持ちが変わっていく。神父の言葉、母親の言葉、そして父と対決する息子。それぞれ話し合うことによって、その心が瓦解していく。◆差別と闘っていくには、並大抵の決意では駄目で、本当にお互い信じあっていかなければならない。差別している人たちを無知だとあざ笑っても本当の解決にはならない。その人たちと対話していかなければならない。◆日本にも、さまざまなマイノリティーがいて、差別がある。そんな差別にぶつかったときどうするのか、どうやってその差別と闘って行くのか。その一つの方法は「対話すること」なんだと教えられました。いい作品でした。9点を献上させていただきたい。 【もりたろう】さん [地上波(吹替)] 9点(2006-01-31 15:43:59) |
26.キャサリーン・ヘプバーンは、若い時よりある程度の年齢を経てからの演技が断然いい。毅然としていて、優雅で、ちょっとおちゃめで、情に厚い。私の理想とする大人の女性のひとり。この映画でも、娘を愛するが故にその結婚に揺れる複雑な心中を、少ないセリフで見事に現していた。この映画のカギは父でも娘でもなく「母」だと思う。対する「娘」。ちょっとはしゃぎすぎてて見ていてしんどい。あのキャラクターでないと。若干無理のあるストーリー運びが成り立たないとわかりつつも。でマイナス1点。 【Rei】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2006-01-03 19:01:04) |
25.父親は娘が黒人と結婚するからというより、リベラルだと信じてきた自分も結局内にはステロタイプ化された見方が潜在していて、このような状況に意図せずとも拒否感を感じることにこそショックを受けているように思える。単に白人黒人の人種差別ではなく、現在も過去も普遍的に社会に存在するそれこそこの作品の本当のテーマではないかと感じた。黒人であるメイドが誰よりも結婚に拒絶を示していることが彼女が育つ過程で取り巻かれてきた環境を表しているようで象徴的。 【Arufu】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-12-07 16:18:41) |
24.(つい長くなってしまった…) 公民権運動の熱が未だ冷めやらぬ時代に、超リベラルなテーマに挑み、それをよりにもよってロマンティック・ホーム・コメディとして提供した意欲作であり、現在に至るまで唯一無二(あくまでも私的なアメリカ映画での基準に於いてですけど…)の名作(何と現在、コテコテのコメディとしてリメイクされてる!)。「西海岸」の「リベラル派新聞社」の「社長令嬢」と、結婚暦があること(前妻とは死別)だけが欠点の「三高(死語?)エリート医師」。これだけの条件が揃っても、「アメリカでは」白人と黒人の結婚には障害がつきまとう。それぞれの父親が結婚に反対するのも、相手の人種の所為ではなく、結婚後に確実に訪れる「人種が原因となる苦難」を心配してのこと。黒人メイドにさえ、世話をしてきた白人令嬢を黒人には嫁がせたくないと思わせる社会。ここに差別・偏見の根本がある(それは現在でも余り変わってない様ですが…)。しかしそんな七面倒臭いことより、とにかく笑って泣けるヒューマン・コメディとして凄く完成度の高い作品だと思うので、これはどなたにもお薦めしたいですネ、8点献上。 【sayzin】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-04-19 00:04:55) (良:1票) |
23.シドニー・ポワチエって役者は、スマートですね。さりげなくドアを開ける仕草、少しの戸惑いと固い決意を感じさせる表情すべてがさまになっていて羨ましいです。紳士的だった、ポワチエが唯一激高する自分の父親を説得させるシーンはほんとに良かったです。前半は、反対していた彼女のお父さんの不安や迷いを、コミカルにしかしながら丁寧に描いているからこそ、後半に見られる彼女のお父さんの熱く優しい演説が生きてくるわけなんですね。ただ安っぽいセット(特に庭)などがこの映画の魅力を下げてしまっている様な気がしました。 【一番星☆桃太郎】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-03-22 02:16:18) |
22.何の予備知識も無く観たこと(観始めるまでヒッチコックかなんかのサスペンスものだと思っていた)が、殊更にシンプル且つ濃厚なこの物語の巧さに引き込まれる要因になった。突然帰郷した一人娘に異人種の婚約者を紹介され、当然驚きを隠せない両親。しかし若い二人の熱意と相手男性の文句の付けようの無い人柄にほだされて~と「おいおいこんなにすんなり事が進んで、後の展開どうするの?」と思わされていた時点で、ぼくはこの脚本の巧みさに魅了されていたのだと思う。そこから露わになってくる各々の建前と本音。センス溢れる台詞回しによる可笑しみを前面に出しつつ、描かれる深い社会の問題意識。昨今の映画は揃って極端な物語が多いが、今作のバランスの良さは素晴らしい。あくまで自然に、笑って、泣けて、考えさせる、本来娯楽という本分を背負っている“映画”というものはこうでなければならない。そういう往年のハリウッド映画の気概を感じさせる傑作だと思う。 【鉄腕麗人】さん 9点(2005-03-01 02:35:08) |
21.んっ(笑)?と思う部分もけっこうあったんですが(チョコレクターさんと同じです)やはり幸せな2人の門出を応援したい気持ちです。 【ジマイマ】さん 5点(2005-02-19 21:05:49) |
20.状況の設定が巧みで、役者の演技がうまければ、著名なコメディアンが出演していなくても、また、笑いを取りにいくようなおおげさなジェスチャーなどが使われなくても、極上のコメディができあがるということの見本のような映画。人は大勢の前になればなるほど、建前を言い、面と向かって一対一で話せる状況でなければなかなか本音をいわないものだが、そういう人間の特徴を巧みに衝いた脚本だった。登場人物が一堂に会して社交的な、あたりさわりのない、見ていてコミカルな会話をするリビングルームの場面と、シリアスな本音の交換をする書斎、テラスの場面をかわるがわるもってきたのが、非常にうまかった。特に、本音の交換をする空間として、議論の場としての閉塞空間たる書斎と、相互理解と説得の場としての開放空間たるテラスという対照的な2つが用意されていたところが、演出に立体感を与えていた。スペンサー・トレイシーが最後テラスからリビングルームに戻って行う大演説のなんといじらしいことか。自分の意見を変えるのに、いちいち格好をつけないと気がすまない男という生き物のもの哀しさを、見事に演じきっていた。 【南浦和で笑う三波】さん 9点(2005-02-17 23:25:34) (良:2票) |
19.別段泣くような作品ではないと思うのだけどキャサリンの母心に泣き、ポワチエの思いに泣け、スペンスの決意にまた泣けて、、と感動の涙がこぼれる。それくらい脇役まで含めて出演者たちの演技や丁寧に作られた脚本が素晴らしい。 時代が変わった今見ても親心に変わりはなく、それぞれの気持ちが分ってしみじみする。 帰ってきた娘の突然結婚話、それも再婚の黒人で半日そこそこで賛否を決断しなければならないという。申し分のない立派な人物ではあるが、大事をこんな性急に決めるなんてたとえ相手が誰であっても戸惑うだろう。 偏見なく一途に恋に突き進む娘に父は世間から受ける差別を憂慮するが、母はそんな娘を誇りに思い理解する。 ジョンは情熱をぐっと抑え相手の親子の絆を第一に尊重しようとする。 ジョンの両親やリベラルで気さくな神父もやってきて、父親同士、母親同士、ジョンと娘の父、母と娘、父と神父などの会話の中からそれぞれの思いが吐露され見事なドラマとなっている。人種差別も今よりずっと激しかった時代にこの堂々とした リベラルさは立派。作品も爽やかで後味がいい。スペンスはこの作品の完成後まもなく67年6月10日67歳で亡くなった。ずっと健康を損ねていて久々の出演ということで弱々しい感じはするものの、最後の見せ場の存在感はさすがだった。キャサリンにもポワチエにも改めて惚れぼれ。お勧めです。 【キリコ】さん 9点(2005-02-17 21:55:57) (良:1票) |
18.みなさん仰られているとおり人種差別モノとしてではなく「どこの家庭にも起こり得る普通の出来事」として見るとすごく共感できるし勉強になります。特にラストの娘方の父親の話には考えさせられます。 【ゆきむら】さん 9点(2005-02-17 18:17:25) |
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17.別段人種差別ものと割り切りきることなく敬遠せずに観てほしい作品です。特にラストのスペンサー・トレイシーの独演は絶対に観た方がいいです。素直に子を想う親の気持ちが分かり涙してしまいました。現在の感覚では昼メロより劣るかもしれないですけどこの作品が60年代に製作されたというのを配慮したら何もケチをつけるところがありません。ぜひ結婚間近の女性の方がいらっしゃるならご両親と一緒に観ることをお勧めします。 【tetsu78】さん 9点(2004-07-01 21:27:37) |
16.娘が出会って2週間しかたってない男と結婚するといったら相手が誰であっても親は反対するだろうし、それを1日で説得するというのはすごく無理があるけれども、演技のすばらしさには引き込まれた。親子、夫婦の愛と尊重を感じた。キャサリンヘップバンが部下(?)を家から追い出して解雇するときのせりふが痛快だった。 【HK】さん [DVD(字幕)] 10点(2004-06-13 10:18:52) |
15.派手なアクションもないし、推理シーンがあるわけじゃない。ただの会話がほとんど。それも家の中で。なのにぐいぐいひきつけられる。ジョーイが天真爛漫で、人種差別を正面から批判するところが爽やかである。家族の明るい台詞もさりげないジョークが入ってて聞いてて心地よいし、真面目な会話の時もしつこくなくて良い。まっすぐに心に入ってくる。見た後、爽快な気分になれる作品。 【うらわっこ】さん 9点(2004-01-31 20:58:24) |
14.時代を感じます。展開がなんか唐突過ぎて、どうもついていけなかった…。全体的に淡々としてるというか、盛上りが無くて、なんとなく物足りなさを感じてしまいました…。 【M・M】さん 5点(2004-01-06 20:44:44) |
13.人種問題をベースに親子や夫婦のあり方までも言及している点が作品を面白くしている。双方の父親がどう納得するのだろうか?という期待を持って見ていたが、白人父親の納得の仕方がちょっとあっさりしているのと、黒人父親は本当に納得したの?という不満が残る。黒人婿は優秀な人物という設定だが、初婚ではない・郵便配達員の子供という設定でバランスを取っているんだと思う。黒人のお手伝いの反感にはちょっと驚いたが、自分が白人娘を育ててきたという母親的な愛情が自分が黒人であるが故の困難さへの理解によって反感となって表出したのでは?と思った。また、途中で白人男が黒人女と楽しそうにする場面があるが、逆パターンは認知されているという事を暗に伝えているのだろうか?と思ったがどうなんでしょう? |
12.アメリカという国の健全さがここにある。自国の暗部を、こんな爽やかなホームドラマにしてハミングでもしてるように見せてしまう。しかも差別への怒り、人間は平等なんだというメッセージはちゃんと伝わってくる。出てる俳優がみんないい。こういうところが日本は敵わないね。見習うべきだと思うね。この精神。 【ひろみつ】さん 8点(2003-12-19 03:06:11) |
★11.《ネタバレ》 人種差別問題をホームドラマとして丁寧に描いた秀作だと思います。人種差別に反対していても、いざ自分の身内の問題となると別になる人間の心理をよく描いていると思います。スペンサー・トレーシーとキャサリン・ヘプバーンの演技も見事です。がしかし、やはり古い感覚の映画だなと思います。あらすじは「離れて住んでいた娘が恋人を連れて突然帰宅し、結婚するという。相手のジョンは十数歳年上の超著名な医者だが黒人。娘の父は超リベラルな新聞王だが、この結婚に大反対。ジョンの父親も大反対。しかし娘の父の気持ちもやがて賛成へ」というものだ。娘の母は最初は戸惑ったが、二人が愛し合っているし、ジョンが立派な人物だから娘の味方になる。しかし、もしジョンが娘と同年代の若者で、何一つ業績がない男だったら、それでも母親は賛成したのだろうか。そして娘はジョンに恋をしたのだろうか。そして父親も賛成しただろうか。相手の黒人男性がもっと平凡な人物だった場合はどうなるかを見たかった。黒人でも業績のある人物なら白人と結婚してもオッケー、そんな差別意識が裏にあるように見えた。しかし当時の映画としてはこれが限界だったのかも。 【チョコレクター】さん 6点(2003-12-06 13:58:17) (良:2票) |
10.自分の子供が結婚するつもりの相手を連れて来た時、どんな人でもとまどうだろうし、一人娘の父親の心境としては、とても複雑なんだろうな。二人が愛し合っていれば、どんなことも乗り越えられると思いがちだが、やはり結婚って家同士の問題なのだとつくづく。スペンサー・トレーシー、キャサリン・ヘプバーンの二人の演技に引き込まれた。これは娘をお持ちの若いお父さん、一度見ていて損はないと思いますよ。 【fujico】さん 7点(2003-12-01 18:35:22) |
9.こんなことを偉そうにいうのはナンですが、すごく丁寧に作られた話だなあ、と思いました。無邪気で天真爛漫な白人の娘・ジョアンナと、年上で現実の難しさをわきまえている黒人の男・ジョン。それに娘の決断に戸惑いながらも応援しようとする母親と、本音と建前の間で苦しむ父親(司教の「我が事となれば錦の御旗の下から本音がのぞく」という台詞は、それこそ自分に引き寄せて考えるとドキリとさせられる)という対比が実に上手くて、ドラマにふくらみを持たせています。それぞれの登場人物の心境(の変化)が会話を通して描かれる中、ジョンの両親を交えた夕食はどうなるのか?という物語の盛り上げ方も見事でした。欲を言えば、同じ黒人でありながらジョンに対して反感を抱くメイドの考えも、もっと描いて欲しかった。 【ぐるぐる】さん 7点(2003-08-26 15:55:13) (良:2票) |
8.人種差別問題を扱った作品ですが、全体的にほのぼの系。舞台は家の居間を中心とした、ホームコメディ調(と言ったら失礼かな)の雰囲気は親しみやすいと思います。 【ちちょりーな】さん 7点(2003-06-29 17:01:14) |