4.《ネタバレ》 TSUTAYAで何気なく手に取ったのですが、これが滅法面白くて驚きました。傑作の類ではありませんが、映画に通常要求される水準は軽く超えています。。。
不良同士の些細なトラブルがいくつかの偶然や勘違い、無知ゆえの思い込みによって凄惨な殺人事件へと発展していくという物語なのですが、ニック・カサヴェテスによる脚色が抜群に優れています。通常であれば殺人に手を染めた青年に的を絞るべき題材にあって、この人物をあえて本筋から外しているのです。ほのぼのとした友情物語に上映時間の大半を費やしておいて、ラストになって突如、殺気だった殺人者を送り込んでくる。このコントラストの付け方は非常に効果的でした。同時に、殺人者となる青年が殺人を犯すに至った心理的背景も手短ながらきっちりと描かれていて、相当に計算された脚本だと思います。。。
俳優の使い方もうまくて、ジェスティン・ティンバーレイク、エミール・ハーシュ、アントン・イェルチン、ベン・フォスター、オリヴィア・ワイルドら伸び盛りの若手を大挙して出演させ、その脇をブルース・ウィリスとシャロン・ストーンで固めるという抜かりのない布陣となっています。ティンバーレイクの気の良い不良ぶりは完璧なキャスティングだったし、神経質な母親を演じたシャロン・ストーンには「この人、こんなに演技力あったの?」と驚かされました。「フェイス/オフ」以来10年ぶりに見たドミニク・スウェインは相変わらず美人で、オスカー・ワイルドはおっぱいを出しています。まさに充実の映画ではありませんか。。。
問題に感じたのはこの映画の売られ方で、「実話を描いた衝撃のクライムサスペンス!」「史上最年少のFBI最重要指名手配犯!」という宣伝文句は作品の本質をまるで表していないどころか、観る者にあらぬ期待を抱かせて鑑賞後の満足度を引き下げる結果にもつながっています。良い映画なのだから、もう少し丁寧に扱ってほしいものです。