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南京!南京!

[ナンキンナンキン]
Nanjing! Nanjing!
(City of Life and Death)
2009年上映時間:132分
平均点:7.50 / 10(Review 2人) (点数分布表示)
ドラマ戦争ものモノクロ映画歴史もの実話もの
新規登録(2011-08-28)【ぐるぐる】さん
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監督ルー・チューアン
キャスト中泉英雄(男優)角川
脚本ルー・チューアン
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2.本作の序盤はとにかく凄いの一言です。作り込まれたオープンセットの説得力や、モブシーンの迫力、戦闘シーンのテンションの高さには息を飲みました。南京市を守っていた国民党軍が一目散に逃げていき、代わって共産党ゲリラが圧倒的多数の日本軍相手にかっこよく奮闘するという現在の政治事情への配慮が多分に含まれた実に分かってらっしゃる描写には「やれやれ」という感じでしたが、それでもこの手の反日映画では、日本映画界では絶対に不可能である「圧倒的に強い日本軍」という珍しいものを見ることができるため、その辺りの倒錯した感覚が楽しかったりもします。また、日本人が聞き取れない日本語を話す日本兵は一切登場せず、日本人役にはちゃんと日本人俳優が当てられるという丁寧な仕事にも好感が持てました。80年代90年代に香港で量産されていた粗悪な反日エクスプロイテーションを見てきた私としては、ここまで素晴らしいものを作っていただいて有り難うという気持ちにすらなりました。
ただし、本編に入ると一気につまらなくなります。南京事件の史実としての信ぴょう性という議論を度外視し、中国側の主張を全面的に受け入れた上で鑑賞しても、これがまったく面白くないのです。本作には日本軍・南京市民・南京に駐在していた欧米人という3つの立場の人々が登場しますが、日本人が悪でその他の人々は善という単純な色分けとなっており、登場人物全員が歴史を語る上で必要な持ち場を守っているだけでその感情や行動にリアリティが伴っていないため、誰にも感情移入ができないのです。
例によって日本軍は大暴れしますが、仮に当時の日本軍が非道な集団だったと仮定しても、各自が乱暴に振る舞った結果、気が付けば30万人もの人間が死んでいたという結果にはなりません。30万人も殺すという大仕事ともなれば組織立って動く必要があり、かつ、軍隊のような官僚組織を動かすためにはある程度の合理的な説明が必要となるはずであり、こじつけでもいいからそうした組織論や意思決定論的な切り口で日本軍を描いてくれれば見ごたえがあったのに、「とりあえず日本人は悪かった」という描き方しかないため、見ていて全然面白くありませんでした。
これは安全区の責任者であるドイツ人・ジョン・ラーベにも言えることで、彼は徹頭徹尾善意の人であり、そこに何の理由付けもありません。その結果、善人すぎて何を考えているのかサッパリ分からない人になっています。しかも本作では彼の立場や権限に関する説明すら一切なく、予備知識を持たない人にとっては「このおじさん、一体誰?」としかならないため、映画としてお粗末だったと思います。ちなみに彼が何者であるかを説明すると、南京市の発電所に発電機を設置していたジーメンス社の中国支社長であり、かつ、ナチス南京支部副部長であり、南京在住歴が長かったことから南京安全区国際委員会委員長というパブリックな肩書も持っていたことから、彼は日本軍と交渉していたのです。彼はしばしば「南京のシンドラー」などと言って持ち上げられますが、彼自身が記した日記には虐殺を直接見たという記述が一切なく(「郊外で5~6万人くらい殺されたらしい」という伝聞のみ)、それどころか安全区国際委員会委員長として日本軍に「安全区に攻撃を加えなかったことに感謝します」と感謝状まで書いており、本作で描かれたような体を張ってまで市民を守り抜いた偉人とはまるで異なった人物像でした。事実の捻じ曲げも、ここまでくると凄いなと思います。
さらに南京の一般大衆についても、逼迫した脅威として死が迫っている状況下で、逃げることも抵抗することもせず、ただいたぶられているだけなので、感覚的に理解ができない人々の集まりとなっています。この点についても、こじつけでもいいから理解可能な理由付け、逃げるに逃げられない事情があればドラマに集中できたのですが。
なお、本作はNetflixにしれっとアップされていたので鑑賞できたのですが、劇場公開もソフト化も目途が立っていません。表現の自由のある日本において、抗議活動で映画が上映できない状況を作り出すクレーマーの人たちって、一体どうなのよと思います。
芸術作品はその時代や社会の影響を受けるものであり、特に多くの人々の協力の元で作られる映画ともなればその傾向は顕著となるため、中国社会においていわゆる抗日映画が作られることに私は違和感を覚えないし、その存在も否定しません。特に本作が制作された頃にはチャン・イーモウ監督・クリスチャン・ベール主演の”Flowers of War”や中独合作の『ジョン・ラーベ/南京のシンドラー』などが連続して制作されており、「なるほど、そういう時期だったんだな」としか思わないのですが。
ザ・チャンバラさん [インターネット(字幕)] 5点(2017-08-17 12:52:33)
1.非常に優れた戦争映画であり、また南京虐殺という(日中国民にとっては特別な意味を持つ)史実を扱った作品としても突出していると思う。冒頭では南京城から逃げ出そうとする中国兵士とそれを阻止しようとする中国(国民党)兵士の衝突が描かれ、(日本人と中国人の戦いが描かれるのであろうという)観客の予想を裏切ってくる。戦闘シーン(この作品ではそれほど多いわけではない)の描き方も派手ではないが非常にリアルだ。当時の武器や兵器に詳しいわけではないが、かなり忠実に再現したのではないだろうか。またこの映画についての情報でよく言われたことだが、日本兵の描き方が、同種の中国映画にありがちな「日本鬼子」的ではなく、非常に「人間的」に描かれている点もこの作品の質を高めている。戦友たちと無邪気に笑い合い、時に現地の子供に優しさをも示す、「普通の人間」すなわち、戦争がなければ市井の庶民として穏やかに暮らしていたであろう兵士たちが、なぜ残虐な行為に手を染めたか、という部分に焦点を当てている。また中国人側の描き方も非常に良かった。怒り・悲しみ・絶望の(そして、多くはないが喜びや希望の)表情が、主要キャストだけでなくエキストラに近い登場人物たちに満ち溢れているが、ともすれば扇情的になりがちな話をモノクロの画面で抑制的に描くことでよりいっそう胸に残るものになっている。この作品が世界各国で高い評価を受けたのは、単に南京事件というエキセントリックな題材だからではなく、それを通じて「人間(特に英題にもある、人間の“生と死”)」が描かれており、ゆえに一史実の映画という枠を超えた普遍性を獲得したからだと思う。■ちなみに自分はこの作品を有志による上映会で観ることが出来たが、今の所日本での劇場公開の予定はない。南京事件絡みの映画では、過去にスクリーン切り裂き事件なども起こっており、配給会社が躊躇するのも無理はないようにも思えるが、残念でならない。日本人として、過去の汚点から目を逸らすべきではないべきではない、というのもあるが、同時にこのような素晴らしい作品が国内で観ることが出来ない、というのは大きな「損失」と思うから。■<付記>これは直接映画とは関係ないが、日本では南京事件(南京大虐殺)について「中国(連合国)の捏造」とか「二十万人しかいない都市で三十万人も殺せるはずがない」といった否定論がネットなどでも溢れている。南京事件(あるいは南京事件否定論)自体について関心を持たれた方は、非常に優れたサイト(「南京事件-日中戦争・小さな資料集」http://www.geocities.jp/yu77799/)があるので、参照して頂きたい。
ぐるぐるさん [映画館(邦画)] 10点(2011-08-28 12:39:17)
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【点数情報】

Review人数 2人
平均点数 7.50点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
5150.00%
600.00%
700.00%
800.00%
900.00%
10150.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 Review0人
2 ストーリー評価 10.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 10.00点 Review1人
4 音楽評価 Review0人
5 感泣評価 Review0人
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