4.《ネタバレ》 イランはいわゆるイスラム原理主義の国だから、当然イスラムの色が濃いが、主人公の神学生にもその友達にも、それほど厳格さがないのにちょっと安心したのがまずひとつ。そして何より、考える主人公ハサンの姿が良かった。「誰も救えない」と絶望しても、絶望を理由に逃げていては、本当に何もできなくなる。それを悟ってジュージェのもとに行くハサン。神はどんな人のそばにもいるのだ、と言う優しい視線を感じた。神の存在がまず第一にある、「神の愛は母よりも深い」と言う台詞に象徴されるイスラムの考えが、日本人の価値観と合わないのが少し辛いが、なかなかの佳作。