7.《ネタバレ》 確かに「キリシマ」の映像は美しかったが、あとは退屈なだけの映画だった。主人公?の少年が、友人を見捨てて逃げたことを悔いて見せていたが、その思いが伝わってこないどころか、むしろ他人の手を借りて死のうとするところに強い甘えを感じて呆れた。亭主が戦死した女が、息子という労働力を持ち、地主に地代を免除してもらっているにもかかわらず、男をくわえ込んでいる有り様には、呆れるばかりだった。亭主が実は生きていると分かった後、子供のことを考えもせずに自分勝手に死のうとしたり、帰ってくるだろう亭主の家に放火して逃げ出したり、その身勝手さには心底、呆れ果てた。キリスト教のゴッド、八百万の神、現人神、いずれも「かみ」という言葉を使うが、意味するところは同じではあるまい。それを故意か過失か不勉強のせいか混同しているところにも、私は真に呆れ果てた。 【駆けてゆく雲】さん 3点(2004-11-22 21:01:53) |
6.主人公の叔母の花柄のワンピースが素敵だった。ああいうの着てみたい。 【paraben】さん 6点(2004-11-19 15:09:23) |
★5.黒木和雄監督のライフワークとも言える反戦をテーマに描かれた本作は、終戦を間際に控えた霧島を舞台にした群像劇である。監督自身の体験に基づいて描かれただけに、その意気込みには並々ならぬものを感じる作品だ。戦争映画とは言え日常化した戦闘機の編隊飛行があるという程度で、戦闘シーンなどと言ったドラマチックな場面がある訳もなく、むしろこの土地に住む名も無き人々の様々なエピソードを積み重ねていく事で、ドラマを確立していくというスタイルを採っている。そして彼らの日々の営みや慣習、戦時中のやり場の無い閉塞感といったディテ-ルがしっかりと描かれているからこその説得力が、ここにはある。出演者たちそれぞれの達者な演技が作品を支えてもいるのだが、その中でも生きていくことに彷徨する柄本佑と小田エリカの純真さには、まさにこの時代に生きている若者像を見事に体現してみせた。本作は“反戦!”と声高に叫ぶものではなく、その語り口はひたすら静謐であり続ける。それだけ余計心に染みるのだが、しかし、だからこそ戦争未亡人を兵士が慰めるという生々しいシチュエーションには、やはり違和感を覚えてしまうし、また監督の戦争に対する思い入れの強さが、果たしてどれほど戦争を知らない世代に普遍性を感じさせたかにも疑問が残ってしまう。 【ドラえもん】さん 7点(2004-08-24 18:43:45) |
4.監督の実体験がもとになっているというこの映画のテーマは、そのまま「鎮魂」である。自分が助けなかったことによって死んだ級友を、どうやって弔ったらいいのかという、本当にストレートで重い問いかけだ。死んだ級友は決して戻ってこないし、恨み言を言ったりもしない。だからといって級友のことを忘れることもできない。自分を責めつづけ、級友への負い目を感じながらこれからの毎日を過ごさなくてはならない。この負い目は米兵に殺されるという、級友と同じ死に方によってしか解消されない。しかし、終戦を迎え、少年の願いはかなわないまま。結局この映画では、級友の弔い方について何の解決もなされていない。しかし、答えの出ていない問いに対しては、その問いを叫ぶ(問いつづける)という態度で臨んでいくしかないのだ。この至極単純な人類の経験則が見事に描出されている。 |
3.黒木和雄の泥臭~い世界を覚悟していったんだけど、ありゃま意外にクールな展開。それでいてどのおハナシにもひねりが効いてて面白いじゃないか。こりゃ脚本の勝利だなと思ってエンドロールを見ると松田正隆。納得。方言に集中するためか演技に余計なものが出ないのもいい。少年が自分を「殺せ」と連呼するのは、浪花節とは判っていても胸に迫る。 【イツジ】さん 8点(2004-02-20 00:24:26) |
2.決して悪くはないしいいとは思うけれど、これがキネ旬1位というのはちょっとピンとこない。しかし監督が真摯にこの映画を作ったという姿勢や熱意は評価したい。終戦当時の戦争とは無縁の田舎が舞台だが、平和な田舎にも等しく戦争の陰鬱な日常があったことをいろんなエピソードで丁寧に描いている。親友を死なせてしまったトラウマ・自責の念に苛まれる少年を演じた柄本佑君が自然でいい、ナイーブな気持ちが伝わってくる。固める脇役がベテランの原田芳雄や石田えり、左時枝、香川照之などだから安定感がある。一番感心したのは風景描写。田舎でも60年近く経って終戦当時とはまるで様子が違っているだろうに、田舎道でもどこでも今を感じさせる絵がなかったこと。何気ない田園風景や霧島の遠景などの描写で、そいう昔を再現するのはさぞ大変だったのではないか。 【キリコ】さん 6点(2004-02-19 23:57:31) |
1. 作品の上映前、この日は初日でもないのに偶然、監督の黒木和雄氏が岩波ホールに来ていて、予期せぬ舞台挨拶を聞くことができました。この映画は監督さんの体験を元にした作品なんだなぁって思いました(映画の内容を仕込まずに観に行ったので)。これは戦争の映画です。でも戦闘シーンは1回も出てこない。それなのに100%戦争の映画。1945年8月の宮崎県霧島に住む少年の視点から、戦争を捉えた映画です。少年(つまり監督)の戦争に対する複雑な思いがとってもよく表されています。しっかし、この主役の少年がほんとに演技が上手いんだ・・・なんでかなと思って、上映中にチラッと売店で買ったパンフレットを見てみたら「柄本佑」と書いてありました。「あ、柄本明の息子かぁ」と納得(『偶然にも最悪な少年』にも出てましたね)。これは年配の人向けの映画なんですかね(観客も殆どご年配方でした)。そんなことないと僕は思ったんですけど・・・。ドンパチの戦争映画も確かに考えさせられることは多いですが、やっぱりこういう映画も観ないとダメですよ。とくに僕らみたいな戦争の「せ」の字も知らない若い世代が観て「戦争って怖いな」とかそういうことを感じる以前に、とにかく観ないとダメです。とってもお勧めの映画です。 【ひろすけ】さん 7点(2004-02-19 00:27:18) |