1.物語は火山の大噴火を目前に、島の奥深く逃げ遅れた子供たちを救出するべく、神父と共に立ち上がった三人の受刑者たちを中心に展開される。罪を軽くしてもらおうという動機は不純だが、他の島民たちに比べて極めて人間的で男気のある彼ら。どこでどう道を踏み誤ったか、真っ当に生きられなかった男たちが最後に見せた人間としての優しさと自己犠牲の精神。映画は、そんな彼らを慈しみを持って描かれていき、涙を誘う。迫り来る溶岩や今にも落ちそうな橋からの脱出劇は、昨今の作品にみられるスピード感溢れるスリリングさは希薄だが、いかにもこの当時のサスペンス重視の姿勢は十分伝わってくる。神父役のS・トレイシーはいかにもこの人に相応しい役柄だが、珍しく熱血漢ということもあって、やや一本調子の感があるのに対し、F・シナトラの若く颯爽とした無頼漢ぶりが出色だ。「いつかまた会おう」の最後の一言を残し、島は跡形も無く吹っ飛んで、映画は終わる。極めて男臭いドラマだ。