14.飛行機が一日遅れることになり家に帰った夫と、家出から戻った妻が一緒にお茶漬けを食らう。「夫婦とはお茶漬けの味なんだよ」という名言にはコメントを控えるとして、一緒に台所に入って、出て行くときにはスリッパを脱ぎ散らかすところとか、小津はつくづく目がいいなと思う。 ラスト30分の緊張感はそこらのサスペンス映画どころではない。ラストのお惚気シーンには緊張感こそないが、妻の着物が急に質素になっている所とか、カットが変わって、妻の腕の組み方が上下入れ替わっていて時間経過を感じさせる所とか、全てに心を配る小津映画らしさがよく現れている。そういった細かなディテールへの心配りのおかげで何度見ても何らかの発見がある。そういったところが、なんとなく宮崎アニメに通じてるなと思う。 |
13.夫婦二人が仲睦まじく延々とお茶漬けを作るシーンがこの映画のハイライトでしょうが、これを観た外国の人はさぞやお茶漬けが食べたくなっただろうなあ。あぁ~、お茶漬けが食べられる国に生まれて良かった! 【かんたーた】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-10 00:08:46) |
12.カロリー軒の看板が可愛い(笑)。鶴田浩二はうまい店をいっぱい知ってるね。笠智衆もいい味出してる。夫婦二人でご飯の準備をするシーンが丁寧に描かれてていいですね。 【ゆうろう】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-08-20 21:32:55) |
11.《ネタバレ》 小津の作品の中でもかなりコメディ色の強いものではないでしょうか。 映画がかなり淡々と進行しているので気付き難いけど、登場人物の行動パターンはかなり極端。急に思いついて旦那に嘘ついて温泉に行っちゃう奥様方。相手云々じゃなく見合いそのものが気に入らないとドタキャンしてしまう娘。いずれも「良家の子女にあるまじき」行動であり、今でもなかなかやんないよ~。 で、そんな中、存在感を放っているのが佐分利信さんが演じる旦那ですね。自分の奥さんから「鈍感さん」呼ばわりされ、あらゆることにケチを付けられながらも、卑屈になることもなく泰然自若と生き、最後は「夫婦はお茶漬けの味だよ」の一言で超自己中奥さんを改心させてします(もしかしたら本当に鈍感なだけかもしれないが)。これは、今の時代を生きる亭主にとっても鏡となるものでしょうね。「あ~、こんな旦那になれたらいいな」とは思うけど、自分では・・・・無理です。 【東京サンダ】さん [地上波(字幕)] 7点(2005-07-12 11:15:46) |
10.能や歌舞伎の型のような、確立した様式美が土台にあるからこそ、 役者の演技やストーリーに豊かさとユーモアが生まれるのだろう。 「カロリー軒」は笑った。 【michell】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-06-21 00:33:25) |
9.「淑女は何を忘れたか」に続く倦怠夫婦リフレッシュもの第二弾。「淑女は・・・・・・・」に比べるとだいぶ無駄を削ぎ落とし洗練され、より奇妙な滑稽味を湛えている。「リフレッシュ」と言ったのは、この作品がこの夫婦間に於ける問題が根本的に解決されぬまま、単なる仕切り直しで終ってしまっているからだ。また性懲りも無く同様の馬鹿馬鹿しいトラブルがコレからも繰り返されてゆくであろうと、小津の目は絶望的なまでに冷徹だが、ここには冷笑的な皮肉は無い。滑稽があるだけだ。この妻の不満、というか不安は、気儘放題が許されているが故に根本的な所では夫から放ったらかしにされている事から発生しているのだが、夫の方では、自分は十分に妻を愛しており、このすれ違いは単なる趣味嗜好、或るいは育ちの違いからくるのだと暢気に考えている。そして、何故、もっと気安い打ち解けた関係になれないのかと訝しんでいる。この夫婦に欠けている物は何か?それは、深夜に二人が普段滅多に入らない台所に入りお茶漬けを食べる為の支度をするシーンに示唆されている。ぎこちない二人だけの共同作業に於いて二人が新鮮で初々しい幸福感を得る感動的なシーンである。しかし、この事の意味は二人に明確に自覚されていないので改善の契機とはならず、従って相も変わらずすれ違った儘だ。にも拘らず夫は自らの理想の夫婦像が妻にやっと理解されとばかりに「夫婦はお茶漬けの味なんだ」とか言ってご満悦だし、妻の方は妻のほうで可愛い妻に成れた積りで周りにおのろけを言って喜んでおる。なんて高級な洗練されたユーモアーであろうか。お茶漬けの気安い味わい深さは、こうした滑稽なすれ違いのくり返しの上に於いて醸し出されるのであり、夫婦は常に滑稽な危うさに満ちている。その辺を小津は意味深に暗示はせずに爽やかに描いている。しかも馬鹿馬鹿しいまでのオチで不気味ですらある。そして映画は新たな、これまた妙にちぐはぐな若いカップルの誕生を暗示して終る。またもや「くり返し」である。 【水島寒月】さん 7点(2004-05-19 12:32:05) (良:2票) |
8.疲れて帰った日はお茶漬けがうまいんだよねえ、毎日お茶漬けでもいいくらい好きだからなあ、ブッカケ飯もうまいんだよなあ、禁止されたら困っちゃうよ、ホント。前半はコミカルで小津作品の中でも一番面白かった。一転、結婚何十年目にして始めてお互いをぶつけ合い本当の夫婦になる二人。見合いとか恋愛とか関係なく、ぶつかりながらも人間として相手をいかに尊重しパートナーとして生きてゆけるか、年をとっても愛のある夫婦ってのは理想ですね。ただこの夫婦、子供いないし、裕福だから説得力が無いかも。 【亜流派 十五郎】さん 9点(2004-02-18 02:54:57) |
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7.戦後の小津作品の中では人気が無い方だが、僕は一番好きだ。なんと言っても左分利信!淡々として表情を全く変えず、何も考えていないように見せて実は全てを了解している。渋い。最後仲直りした二人が黙って向かい合ってお茶漬をすする有名なシーンは小津の全フィルムの中でも珠玉のカット。もう一つ僕の好きなカットは、修善寺の温泉宿で、画面の手前左側に急須を置き、四人の女性が奥行きを使って絶妙に配置する場面。後ろの障子に映る庭池に反射した光の揺れといい、あの画面構成は完璧。パチンコ、競輪など、小津の戦後作品としてはかなり通俗的な要素を扱っているためかあまり評価されないが、もっと語られるべき作品。 【藤村】さん 8点(2004-02-12 20:28:12) (良:1票) |
6.いくらなんでも、お茶漬け食べて、はい仲直りっていうのは安易すぎるだろー。ところで、笠智衆の登場の仕方にはビックリしたなあ。これは見てのお楽しみ。そして、彼が営む○○屋の名前が「甘辛人生教室」・・・うまいこと言うもんだなあ。 |
5.上流階級家庭とはいえこの設定には違和感がある。会社の重役といってもサラリーマン家庭の子供なし、仕事なしの主婦が女中をやとって遊び暮らしている。夫には嘘をつきわがままのし放題。大邸宅の台所でもないのに調度品のありかも分からない。時に男優位が見える小津作品には珍しく女性が強いがこれでは共感を得る女性像ではない。なんだかんだの末、物分りのいい夫と夜中にお茶漬けで仲直り、なんて話はあまりに嘘くさくて共感できなかった。小暮三千代、淡島千景など女優は魅力的。 【キリコ】さん 5点(2004-02-07 16:36:17) |
★4.《ネタバレ》 恥ずかしながらこれまで小津作品をあたまからしっぽまで見続ける根性・根気なかったため、本作が初めてレビューできる作品と相成りました。山の手のざーます言葉って、子どもの頃からチョ~苦手で、かえってかっこわるいじゃーん、と思っていたものですが、ここまでレトロになると、笑ってゆるせるから、不思議です。「あーた、いつもそうやって召し上がっていらっしゃるの」でだんなを困惑させて間髪を入れずに女中さんに向かってまた「○○や、そうなの?」と聞くところで、爆笑。女中さんの演技がこれまたドンピシャでおかしかったです。ただねえ・・こんなふうに夫婦の間柄を「お茶漬け」というあいまいな味に決め付けてそれでいいんだよ、としてきた国民性もゆえんして、この国じゃ男と女の成熟した関係作りが難しかったんじゃないかと思うと、ただアハアハと笑ってだけもいられませんでした。やっぱり思っちゃうなあ・・小津ってそんなにいいかしら? 何気ない場面なのにシチュエーション作りはうまいなあとは思いますが。野球場のシーンを見て、TVドラマ「男女七人秋物語」で、シナリオの鎌田敏夫さんめ、パクッてたな、と気づきました。「七人の侍」→「武蔵」だけじゃなかったっつうことですよ。ほんとに失礼なヤツ!・・言葉が悪くなっちゃった・・でもすごくうまい人!と思って好きだった脚本家なのに、かなりガッカリです。 【おばちゃん】さん 6点(2004-02-01 17:26:27) |
3.全編を貫くユーモアとラストの情感が非常に良い。見始めてから何度も腹の底から笑った。木暮実千代は今まで歳がいったアネゴ姿しか見たことがなかったのが、こんなに若いとさすがにいい女だと惚れ惚れとして見た。また、笠智衆が主役の小津作品はもう一つ得手でないが、佐分利信はこんな男になりたいとあこがれる男性像で、それも良かった。 【きりひと】さん 10点(2004-01-28 16:47:23) |
2.小津映画の中で上流ものって好きです。全体的にとてもおもしろい。木暮実千代いいです。高飛車な感じがいい。淡島千景もいい感じですね。最後のお茶漬おいしそうに食べてます。そういえばお茶漬って食べた記憶があまりないなぁ。夫婦はお茶漬の味かぁ。 【バカ王子】さん 9点(2004-01-17 23:49:02) |
【STYX21】さん 6点(2003-11-19 01:11:17) |