73.《ネタバレ》 この作品はまず原作を読んでから映画とセットでご覧になられたほうがわかりやすいです。 原作は戯曲で210ページほどなので簡単に読めます。 映画は原作では描かれていないシーンがあります。 当時はヘイズコードという表現の規制がありました。 原作では、ブランチが10代の頃に結婚していた亭主(青年)がホモだったという告白が、映画では曖昧な表現でミッチに告白しているので、その後、ブランチが精神不安定に陥る理由に説得力がありません。 それから原作では、ラスト、スタンリーに向かって、割れたビール瓶で抵抗するブランチが、力尽くでベッドへ連れて行かれるという描写が、映画では、鏡に映るブランチとスタンリーのシーンでストップモーションがかかり次のシーンへ行くので、映画だけ見た方にとっては、ブランチがレイプされたという意味が伝わらないかもしれません。 ラストが原作と映画では全く違います。 原作では、ステラは「もしブランチの言うことが正しければ、私はスタンリーとは一緒にいられない」と言っていますが、映画の字幕スーパーでは、「もしそれが本当なら」という簡潔な表現のため、読み飛ばしてしまうかもしれません。 ブランチが精神病院から医者と看護婦に連れて行かれた後、原作では、それを見守るステラにスタンリーは膝まづくところで終わりますが、原作では、ステラは、スタンリーの呼び声に「もうスタンリーのところへ戻らないわ」と言い、2階へ駆け込むところで終わります。 私は今回、ディレクターズカットと呼ばれる、公開時にカットされていたシーンを追加したオリジナルバージョンのDVDを観ました。 それに付属されたプロダクションノートを読むと、公開時、レイプシーン(実際には暗喩)のカットと、レイプしたスタンリーに何のお咎めもないラストの描写を変更しろという、上からの命令があったそうで、監督は相当苦労されたそうです。 実際、映画でステラがスタンリーのところに戻らない決心をするのは、そういった意図があったからだと想像できます。 【クロエ】さん [DVD(字幕)] 8点(2021-03-18 17:08:38) |
72.《ネタバレ》 すごく久しぶりに鑑賞。ヴィヴィアン・リーの舞台調と、マーロン・ブランドのメソッド演技が、ぎりぎりの均衡を保って・・・いませんね。いま観るとヴィヴィアン・リーが浮いているような。当時はこちらが評価されたんですね。ブランドはいまも新鮮。過渡期の作品、なのかも。 【Gioachino】さん [DVD(字幕)] 6点(2017-12-11 18:52:25) |
71.もうなにも、マーロン・ブランドと、ヴィヴィアン・リーがすごい、なんというか本当に演技か?といわせるような怪演が記憶に残ってしまう。素場らしい。 【min】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-11-12 21:15:10) |
70.舞台か、なるほど。ヴィヴィアンリーのイタい演技が素晴らしすぎる。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-07-25 00:02:24) |
69.ヴィヴィアン・リーとマーロン・ブランドの演技合戦が、最大の見所の作品。 マーロンもいいけど、ヴィヴィアンの鬼気迫る演技は驚きのひと言。 ストーリーは序盤から中盤でオチまで読めてしまうけど、舞台劇を観ているような構成が、 こちらの緊張感をラストまで引っ張ってくれます。ストーリーを楽しむ映画というよりは、 完全に役者を鑑賞する映画。アカデミー主演女優賞も納得。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-02-26 02:27:06) |
68.《ネタバレ》 俳優座(栗原小巻主演)の演劇と前後してDVDで見ました。演劇も大変素晴らしかったが、映画もまた非常に良かった。 タイトルはユニークで鮮烈な名前です。冒頭で、「欲望という名の電車に乗って、墓場という電車に乗り換えて、六つ目の角で下りるようにいわれたのだけれど、ここが極楽通りかしら・・・」と主人公ブランチが言うところから始まる。 いかにもお芝居的で、演劇ファンでもある私にとっては、冒頭からたまらなく惹きつけられます。 アカデミー賞はヴィヴィアン・リーらが取って、マーロン・ブランドは逃したが、私にはゴッド・ファーザー同様に存在感が感じられた。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-02-07 20:33:41) |
★67.《ネタバレ》 テネシー・ウィリアムズの戯曲はとにかくタブーに塗れているので、映画化にあたっていかにそのタブーを隠し、いかにそのタブーを想像させるかがポイントになろうかと。でもやっぱりこの時代、間接的な、あるいは比喩的な描写でも許されなかったのだろう。『熱いトタン屋根の猫』の親友の同性愛の末の自殺が親友の自殺に改変されたように、夫の同性愛の末の自殺は夫の自殺に改変される。それでも小出しにしか言及されない女の過去という謎めかしとヴィヴィアン・リーの最初からどこか線が切れたような演技も相まって、何かが彼女の過去にあったのだということはなんとなく想像できるようになっている。脚本もテネシー・ウィリアムズらしいが、映画の制約の中ではほぼパーフェクトな脚色だったのかもしれない。それでも『熱いトタン屋根の猫』のほうが好きかもと思うのは色気の差か。濃厚な演技ばかりが前に出ている。 【R&A】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-11-12 13:26:15) |
66.ほとんどが狭いアパートの中でありながら、四人の役者が次々に表情を変えながら演技しているのが素晴らしいと思いました。ひとりにも感情移入できなかったのが残念ですが。 【色鉛筆】さん [地上波(字幕)] 6点(2010-10-16 22:04:25) |
65.《ネタバレ》 夫を自殺で亡くしたショックから、色情狂になり、幻聴・幻覚・妄想状態に陥った姉。 それをあくまで温かく包容し、味方の立場を貫き続ける妹。 乱暴ものながら、妹を愛し、あくまで家族を守りたいと思う不器用な妹の夫。 そして、姉に翻弄され騙されるみじめな中年男。 これらの主要人物のキャラクターはそれぞれはっきりと描かれており、それが複雑で哀しい人間ドラマを盛り立てる。 姉は自分が老けて醜くなっていくのをひたすら恐れている。 これは女性だからこその心理かもしれないが、人間なんてものはやがては老いて朽ち果てて、最後には死んでいくのが当然であり、そんなことにこだわり狂気する姉は愚かだとしか思えなかった。 この作品を女性が観た場合と男性が観た場合とでは、この姉に対する感情移入の度合いが異なってくるかもしれない。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-31 23:31:50) |
64.怪演が光るヴィヴィアン・リー、よりも、マーロン・ブランドが印象的!!!でも自分にはステラが不憫でならなかった。狂姉と夫と赤ん坊を一人で世話するのは無理! 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-07 13:13:14) |
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63.《ネタバレ》 ステラを抱きしめながらブランチに「おれの勝ちだ」と言うように笑ってみせるスタンリーが印象的。心理戦がメインな映画だと思うが、その駆け引きの中心にあったのは、「どちらがステラを自分の側につけるか」だったと思う。結局はスタンリーの勝ち?もう出ていくというステラの最後の台詞を信じればそうではないかもしれないが、僕は彼女がスタンリーの元へ戻ることになるだろうと思う。重い話に一抹の救いみたいなものを感じさせる台詞なのに、信じられないからもっと後味が悪くなる。それにしても、この映画のマーロン・ブランドは男前。二階にわめくところがかっこいい。あと、猫の鳴きまねうますぎ。吹き替えだろうか? 【ジェイムズ・ギャッツ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-04-29 22:49:59) (良:1票) |
62.《ネタバレ》 最初から最後まで、同じようなテンションで罵り合いが延々と続くので、見ていて疲れる。ただし、最後の10分間はやはりインパクトが強かったので、+1点。「精神病院への収容」というたった1つの場面をここまでドラマチックに描いた例は、他にないと思う。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-04-27 03:44:07) |
61.「"まっすぐ"ですって?線路や道路ならともかく、人間の心なのよ」。ここだけよかった。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(字幕)] 4点(2010-02-25 20:52:04) |
60.《ネタバレ》 ブランチがなんで最後にああなってしまったのか、よくわからないんですけど。それ以前に情緒不安定なところもあったし、新聞集金人を誘惑したりしているわけですが、それにしてもあれはねぇ……。不可解といえば、ブランチの過去も今ひとつわかりづらい。当時ははっきり言うのが憚られたのか、あるいは言わなくても理解されたのか? いずれにせよ、私は前の町でブランチが「頭がおかしいことで有名」だった理由がよくわかりません。そこが肝心なところだと思うんですけど。主役4人はそれぞれ個性がよく出ていていい芝居をしているだけに残念です。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-02-08 19:08:09) |
59.下品で乱暴なスタンレーがブランチの下劣な本性を容赦なく暴き立てる。アクの強い二人と他者を思いやれるステラとミッチが織り成す物語の不快指数は徐々に高まり、結末で100%となりました。身勝手さの果てに壊れそうになった者。壊れそうな者を無慈悲に木っ端微塵に叩き壊した者。共に強烈です。 |
58.《ネタバレ》 確かに他人に勧められないこともないくらいにはおもしろいと思う。 演技やオチもよく作られている。 けど、プロットが分からん。省略しすぎ。想像が及ばない。 画面からの情報量だと、同性愛者の夫を自殺に追い込んでしまったことや、17歳の少年に性的依存していたことが明るみになって、地元にいられなくなったこととか全く分からん。 プロット的に重要なエピソードだと思う。ここが欠落してしまうと、確かに筋は全然変わらないし、見かけ上は全然たいしたことではないけど、心情的な部分の補完ができない。 説明がないことや伏線が張れてないものはどうやっても思いつかない。これらのことは、ブランチがイカレ過ぎててよく分からないからと、調べて分かったことだ。 でも、この映画の場合は舞台劇のファンが映画フォーマットで見るためのファン向けの豪華版みたいなものの様な気がするから、そういうところは気にしないでおく。忠臣蔵とかアーサー王とか、分かってる悲劇を楽しむたぐいのものの一種として脳内で片付けてしまうことにした。 そう割り切ってしまって見直してみると、おもしろい。いろんな背景とかを照らし合わせながら見た方が圧倒的に楽だしおもしろい。作ってる方もそれ前提な気すらする。とたんに役者たちの演技が電波を発しだし、まともな人間のいなさっていうのがさらに恐怖感に似た居心地の悪さを引き出してくれる。 こういう楽しませ方って意外と今っぽい様な気がする。昭和26年にこれを作りますか(原作の舞台劇は22年)。この国はいったい何を根拠にこんなに文明の進んだ国を暴力でねじ伏せようと思ったんだろうか、正気の沙汰ではない。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2009-09-23 10:33:16) |
57.《ネタバレ》 王子様系(例えば「サヨナラ」)がぴったりなのにと私が勝手に思い込んでいるマーロン・ブランドの、体臭が画面から立ちこめるような粗野なスタンレーの演技に監督を恨んだのは私だけではないようです。ヴィヴィアン・リーもスタンレーに「カナリア」と揶揄されているうちは「Tomorrow is another day!」のスカーレット・オハラを髣髴とさせてよかったのですが、ミッチにふられそうになり、困惑を隠すためかしゃべりまくるシーンでは正体がばればれで「一体あなたには自尊心というものはないのか・・・。」と目を覆いたくなる始末でした。唯一の救いはニューオーリンズのそこここにみられる「鉄のレース」と形容される例の瀟洒な住宅の装飾でした。これはニューオーリンズに行ったことがある人にしわからない美かもしれません。ニューオーリンズに観光客として行ってもカメラを駆使するのは誰でも多分昼間だけ、夜のバーボン・ストリートでジャズを楽しんでもスポットの外にでればホテルに急ぐだけのよそ者が見落とす夜のニューオーリンズの陰影の美しさがこの作品には溢れています。とは言うものの、空港から市内に行くバスの中から垣間見た墓地の光景(海抜マイナス地域にあるため、浸水しないように棺は地面から一定以上の高さの石台に安置しなければならず、ニューオーリンズでは死ぬのに金がかかる)のせいで、私はマルディグラの狂奔を見てもニューオーリンズという街を死の影と切り離して観光することはできず、この映画のストーリーと美学も死の影と無縁に見ることはできません。晩年の太ったマーロン・ブランドがジョニー・デップとの協演で精神科医を演じて「彼(ジョニー・デップ)の明るく愉快な色情狂は伝染性・・・。」と言いながら踊るシーンがある「ドン・ファン・デ・マルコ」でも見て口直しをしましょう。 【かわまり】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-03-29 12:58:51) |
56.《ネタバレ》 この映画を初めて観たのは、まだ小学生か中学生の頃で、当然ながら隠喩的な表現などはよく理解できなかった。しかし、うまく説明できないが、当時から大きな魅力をこの作品に対して感じていた。登場人物たちの性格描写がとても鮮やかで、そこに惹きつけられたのだろう。時を経て、このたび改めて鑑賞したが、自分が成長して、ストーリーの背後にある欲望や醜い感情の蠢きが良く見えるようになっているだけに、鑑賞後は重い気持ちになった。 本来のラストは、ステラがスタンリーの下に戻るものだったとか。倫理的な圧力によって、ステラが「二度と戻らない」と独言するラストに変えられているが、そのつぶやきにリアリティを感じないのは私だけではないだろう。むしろ彼女にそうつぶやかせることで、更に彼女の複雑な心情が表されている。彼女は結局スタンリーの下に戻るはずだ。それを言外に表した表現の素晴らしさは賞賛に値する。 【枕流】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-03-08 02:16:14) |
55.《ネタバレ》 高慢で嘘吐きで惨めな三十路(四十路?)鬱女を鬼畜男が徹底的に追い詰めるという昼ドラ展開な滅入る映画。役者の熱量は半端ないですが二時間以上かけて罵声につぐ罵声と右肩上がりの鬱をみせられるのは流石にきつい。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-10-23 14:50:34) (良:1票) |
54.登場人物四人それぞれに共感、同情できる部分があるのだが、みんな、ずるくて弱いところがある。正反対のブランチとスタンレーが互いに欠点を暴きあうコワさ。若さや美貌が失われていくブランチの苦しみが痛々しい。男性にしてみたら、ただの醜い悪あがきかもしれませんけど、女性はブランチの苦しみが、多少理解できるのではないでしょうか。 そしてこの映画、マーロン・ブランドがめちゃくちゃかっこいい。『地獄の黙示録』あたりでは、妖怪に近いかんじになっちゃってますから。美しいブランドをみると、とても同一人物とは思えません。 人物の描かれ方が、ブランチだけにかたよればスタンレーがただの獣だし、スタンレーだけにかたよれば、ブランチがただの嫌な女になってしまうところを、どちらか一方だけに同情させないようにしていると思う。見方を決められていないので、色々な見方ができる。だから重苦しい映画なのに、何度観ても引き込まれてしまう。 【きむねぇ】さん [DVD(字幕)] 10点(2008-06-27 00:53:16) |