41.《ネタバレ》 原作のことはほとんど忘れてしまいました。 ホフマンの演技に沿うならば、カポーティというのはスノッブで軽薄なヤッピーを「演じている」成り上がりのゲイだった、ということになる。 彼は作品のためなら他人を平気で利用し、嘘をつき、必要なら賄賂も使い、出版社からも抜かりなく金を引き出す。作家としてプロとして完璧だ。 そんなカポは一家4人殺人犯という「極悪人」を「同じ家で育って裏口から出て行ったやつ」というふうに認識して会いに行くわけです 彼は「最悪の冷血」のなんたるかが知りたい。正体が見たい。そして、彼の目的は「スミスに事件の詳細と動機をしゃべらせること」となり、ひたすらその「お宝」に焦点をあててカポの人生は集束していくのです。 何年もの努力や嘘の甲斐あって、ついにスミスは語ります。「動機は金」「殺したのは相手も殺されると思って怯えていたから」。…。 この時点でカポの頭は点になってしまったでしょう。殺したのは、「すでに仲間と強盗に入ってしまった」という事実と「相手が怖がっている」「自分は凶器を手にしている」という「お膳立て」が揃っていたから、だというのです。何年も待ち望んだ答えが、「ゼロ回答」だったのだ。 というか、スミスという男は「悪魔」というほど立派なものでは全然なく、ヒコックもそうで、カポにとっては「お宝を求めて飛び込んだら、中心部は空洞だった」というようなもの。 「悪魔のような所業」が「ぜんぜんしょぼいチンピラ」によって「成り行き」で行われたという。それはどういうことなのか。4人も惨殺した犯人がそうでなかったのなら、ではカポの求めてきた「ホンモノの悪」「最悪の冷血」はいったいどこにいるというのか…。 そして「悪魔の正体」が見たくて今までカポがしてきた二枚舌外交はなんのためだったのか。それに騙されて「アミーゴ」と呼んで死んで行くスミスに対し、どんな落とし前がつけられるというのか。「僕の見込み違いだったよ。求めていたのはキミじゃなかった。」などと今さら言えない、死刑の前に。 目の前には、死刑を前にしてカポを気遣う「成り行きで死刑囚になったしょぼいチンピラ2名」、そうして、カポは情けなくてむなしくて泣くしかない…。 カポは最期まで嘘をつき、スミスたちは感謝したまま死ぬ。やつらこそ「冷血」のはずなのに、まるでこれではカポが糾弾されているように見える。…。 【パブロン中毒】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-12-03 20:13:22) (良:2票) |
40.「冷血」そのものではなくカポーティという人物に焦点をあてるドラマとその心理描写の妙に、シーモア・ホフマンの名演も相まって傑作です。原作を先に読んで、先に震えるような感動を味わっていればこの映画も同等の価値があります。原作をぜひ読んでから観てください。そうじゃないと駄作になるのかも。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-12-02 23:40:08) |
39.微妙。とういかカポーティが微妙。飽きずには見れましたが。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-10-23 16:21:27) |
38.真面目には創っているが、内容が退屈.. 主人公に感情移入出来ないし、心情も分からないことはないが、共感しづらい... 【コナンが一番】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-10-22 13:05:49) |
37.この映画を見る限りカポーティは犯人、中でもペリー・スミスに興味を持っているようにみえてしまうのだが、「冷血」を読むと、作者の興味は犯人ではなく事件そのものであり、事件にまつわる全てのことに異様な執着を持っていたことがうかがえる(ような気がした)。そうでなきゃ被害者の生前の描写や事件前と事件後の街の描写をあんなにも明確に(頭の中に画が浮かぶくらい)文章で魅せてしまうなんてことは不可能。そのあたりの私の思い込み(?)のせいで、「作家と犯人」という構図自体になんだかサイコスリラーものによくある「犯人に同化してゆく捜査官」みたいな安っぽさを感じてしまった。興味の的はともかく、たしかにカポーティのまるで子供のような、あるいは乙女チックな興味の抱き方は妙に納得。フィリップ・シーモア・ホフマンが実際どこまでカポーティにそっくりなのかは知らないし、似ていようが似ていまいが映画には関係の無いことではあるのだが、あの独特のしゃべり方が悲惨な殺人事件に興味を抱くという反倫理的な無邪気さを表現するのに一役買っていたのは間違いないと思う。迷作(私は好きですけど)『悪魔をやっつけろ』の撮影秘話は嬉しい反面、とってつけた感がありあり。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-08-08 17:56:50) |
36.結局こういう人がいたんだなーぐらいで、内容は面白みがなかった。抜けてるキャラでこそホフマンは光る。 【オニール大佐】さん [DVD(字幕)] 3点(2008-07-23 18:03:34) |
【kaneko】さん [DVD(字幕)] 3点(2008-07-22 18:25:15) |
34.フィリップ・シーモア・ホフマンのなりきりぶりが素晴らしい。以上。内容は、期待が大き過ぎた分… 【エムラ兄妹】さん [映画館(字幕)] 4点(2008-06-22 03:37:21) |
33.繊細な冷血漢でありながら人間臭いペリー・スミスと、傲慢な情熱家でありながら人間嫌いのカポーティ。「何よりも君の死を恐れ、誰よりも君の死を望む」のキャッチコピー通りに、どこか重なりそうで結局はすれ違う二人。理不尽に殺されたクラター一家に合掌。 【Q兵衛】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-04-03 14:21:40) |
★32.《ネタバレ》 フィリップ・シーモア・ホフマンのカポーティは「おおっ!」という感じで面白かったけど、それに慣れてくると凡庸な作品なので辛いものがある。 【omut】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-03-16 03:32:35) |
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31.《ネタバレ》 役者に救われている映画。最後まで全てが消化不良に終わるのだが、皆いい演技をしており、退屈はしなかった。シーモア・ホフマンのアカデミー賞受賞にも納得がいく。 しかし、それにしても映画の持つメッセージがはっきりしない。おそらく、あえて不明瞭な感じに作ったのではないか?でも、なぜ? 天才肌で不可解なカポーティの心象風景をハーパー・リーやジャックのナビゲーションで旅するというわけでもないし、カポーティとペリー・スミスのやりとりから劇的な何かが生まれるというわけでもない。全てはただ淡々と描かれるのみ。警句を振りまき、セレブにちやほやされて喜ぶ俗っぽいカポーティもいれば、本を出版するために二人の死刑を望む嫌らしいカポーティもいる。かと思えば、鋭い才気で死刑囚の心に切り込み、その心中を鮮やかに描き出す大作家の面目躍如たるカポーティもいれば、二人に会いに行くことにおびえ、彼らが死刑になってしまうことに対して心底済まないと感じるナイーブなカポーティもいる。彼がホモだということは、その声や仕種から暗示されるものの最後まで明らかにはならない。 この映画の面白さは、彼の多面性を描きつつも、そんな彼に同情し、共感することを許さない厳しい姿勢にあるのではないか。もやもやした後味の悪い映画だが、人間ましてや天才なんてそんなに簡単には描ききれんのよとでも言いたげな監督の姿勢は理解できた(?)気がする。 でも、本当にそうなのか?あああああああああ、もやもや。本当はどんな人だったんだろう?「冷血」を読むところから始めてみようと思う。 【枕流】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-02-29 02:06:35) |
30.《ネタバレ》 結局は欺いて情報収集。早く亡くなって欲しかったはずなのに涙も良く分かりませんでした。 【お好み焼きは広島風】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2008-02-24 10:11:39) |
29.主人公の行動を単純に追うことに終始しすぎていて、ドラマを見ているのか、よくできた再現フィルムを見ているのか、途中で分からなくなってしまいます。なぜ彼はこの題材を追い始めるに至ったのか、その背景にはどのような人生があったのか、途中でどのように変化したのか、といった点について、もっと深く掘り下げてほしいところでした。ホフマンの演技も、今ひとつ細部の表現に乏しく単調であり、モノマネの域を脱しているとはいえません。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-02-07 03:27:47) |
28.《ネタバレ》 最後までしっかりみることができたが、最後までトルーマンが犯人に心から寄り添えなかったところを、もう少し描いて欲しかったような気がする。雰囲気は出ていたがどっちつかず?何と何がどっちかよくわからんが。 【nextto500】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-01-20 09:06:09) |
27.伝記物というのは、人間臭さを見せたいのか、影の部分ばかりを前面に押し出す傾向にありますね。まあ、そうでないと映画にならないのでしょうけれど。あの甲高い声がとても耳障りでした。 【カタログ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-01-06 23:59:41) |
【ジダン】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-12-29 16:31:01) |
25.最近のアカデミー賞はそっくりさん大賞が最優秀男優賞を取るようだ、この作品の前年作品レイのジェイミー・フォックス、この作品の次の年のアミン大統領を演じたフォレスト・ウィッテカーと3年連続実在の人物を演じた俳優が受賞した。ある意味実在の人物を演じた方が観てる方も比較しやすいし、似てれば上手いとなる訳で、なんだか映画の内容よりも似てればいいみたいな感じがした。この作品もそれ程面白いとは思わなかった。 【みんてん】さん [DVD(字幕)] 4点(2007-10-23 15:47:47) |
24.《ネタバレ》 絵は綺麗です。音楽も静かなピアノが絵とマッチして素敵です。主演男優賞の演技も見事です。・・・・・ただ、『冷血』についてのある程度の予備情報がないと、特に最初の部分の断片的な展開など、理解に苦しむと思われます。・・・・・更に、この映画は、何について表現したかったのだろうか、と見終えて、思いました。カポーティが事件に接したアンヴィバレントな態度なのだろうか。(→犯人に示した共鳴敵部分と、作品完成のために犯人の処刑を待つような部分との矛盾など)・・・・例えば「アラバマ物語」に対してカポーティが示す無関心は、彼がヒューマニストで無いことをアピールしています。・・・・だけど、猟奇的な事件だから取材を開始した最初から、そんなこと自明なことではないだろうか。・・・・・僕は、カポーティは、事件と深く関わるうちに、想像から仮設されるフィクションよりも、現実の出来事の方が圧倒的に劇的であることに心を奪われていったのではないかと思う。そして作品を完成させた後、これよりも劇的な作品をどうやって創作できるかに腐心し、もがいていったのではないかと思う。だとすると、処刑直前の犯人と面接するカポーティはああいう乱れ方にはならないんじゃないの、と思うし、処刑に立ち会ったカポーティは、そのある種の劇的さにエクスタシーを感じたに違いないと思う。・・・・・処刑直前の犯人たちの演技が、表情とか平板でした。 【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-10-14 10:11:26) |
23.《ネタバレ》 自分がトルーマン・カポーティについてあらかじめ知っていた情報。「ティファニーで朝食を」の原作者、早くからの文壇デビュー、ゲイで有る事、この三点くらい。迂闊でしたね、これは「冷血」をちゃんと読んだあと観るべき映画でした。当時最先端の流行作家であった彼の驕り、虚栄心、自己愛、苦悩が地味だけれどじっくり描かれていて、これはかなりの見ごたえ。好きな種類の映画ではないけれど、自分は興味深く鑑賞出来ました。欲を言えば、映画版オードリー主演「ティファニー」を観た時に、あまりの原作改悪ぶりに椅子からズリ落ちたとかいう、まことしやかな有名エピソードをちょこっとでも描いてもらいたかったかなあ。ラスト、幼馴染の女性(キャサリン・キーナー)に「(犯人たちを)救うつもりなんか初めっからなかったのよ」という一言がキツかったですね。(←でも彼にはいい薬)結果的に彼の嗜好?で一人の犯人だけにしか取材しなかったのはノンフィクション作者としては片手落ちなのでは?という疑問も残る。この映画の登場人物、一番の「冷血」漢はカポーティ本人だったという苦い苦い後味。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-10-12 12:17:41) |
22.常に脳の中で世界を創造し完結する作業を繰り返している小説家って、ときにしっかりとした現実の手応えが欲しくなってノンフィクションに挑むのではないか。恐ろしいものに直面するとホッとする、って。ただし現実世界は当然こちらの思い通りには運営できず、早く作品を仕上げたくても死刑執行は何度も延期される。せっかく外の世界に材を求めたのに、それが脳の中の予定表に従わないことにイライラさせられる。そこらへんの苦い皮肉が本作の味わい。被告ペリーに人間として親しみたいという感情よりも、作品の素材としての興味のほうが最後には優先されてしまうのだ。固く締まった小人のようなペリーとブヨブヨした子どものようなカポーティ、いいコンビになれそうなのに、二人の孤独はすれ違ってしまう。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-09-15 12:20:19) |