13.《ネタバレ》 R5(2023)年5月の上旬、何となくTVのチャンネルボタンを押していたときに、たまたま某ローカル局で放送されていたのが当作品。ちょうど、主人公二人がバスに乗って出かけるところでした。
「神木隆之介君が、まだ少年じゃないか!女の子は福田麻由子ちゃんだよね…TVシリーズの【女王の教室:2005年】では、志田未来ちゃんより麻由子ちゃんのほうが、自分にとっては印象に残ったんだよな…その後、麻由子ちゃんはTVシリーズの【白夜行‐TV版:2006年】で、綾瀬はるかさんの少女時代を演じていたっけ…」と懐かしい思いが沸いたのが第一印象。
次にTVの番組表の紹介を読んだら、いわゆる“難病もの”とわかり、襟を正して二人の行く末を見守りました。けっして目新しい題材ではなかったものの、短い生涯を懸命に生きた男の子とその憧れの女の子、そして男の子のご両親、病院スタッフ、患者さん達…というように、周りの人々の姿をも誠実に描いた作品として感じ入りました。
中途半端に観ただけでは作品に対して失礼と思い、あらためてDVDをレンタルして鑑賞、投稿させていただきました。
観直したところ、自身の思春期を振り返りつつ“親目線”で感情移入している自分に気づかされました。
特に、患者さんのお一人である結城さんとその息子の周平君を交えったエピソードでは、自分の少年時代を思い出し、以下のように自戒しちゃいました。「反抗期の頃は、自分もずいぶん、両親にひどい態度をとったよな…周平君のような、ちょっと年上のお兄さんから『レコードを買ってきてくれるなんて、いいお父さんじゃないか。邪険にするな』と、こんなふうに諭されたら、ハッとして、もっと早く素直になれたかも…」。
その太郎君の父親については、息子に反抗されて「親に向かってその態度はなんだ!」と高圧的に言い返してそれっきりこじれてしまう父子関係だって現実にはあるわけなので…ちゃんと自分の態度を改めた、このお父さんはやはり『いいお父さん』さんだと思います。
また、たまきちゃんに渡せなかった太郎君の手紙に目を通したときの“同じ男だからこそわかる息子の純情”に男泣きするシーンは、観直してみて、私も父親として涙しました。
それだけに、成長したたまきちゃんが、太郎君宅を訪問するシーンでは、お母さんだけでなく、お父さんにも登場してほしかったですね。
以上、父子関係に絞って書かせていただきましたが、母子関係も同様に“物語の中で描かれるもの”としては、いずれも“ありがち”なパターンであって、他のレビュアーさん達もおっしゃるようにステレオタイプなのかもしれません。しかし、その“ありがちさ”とは、観方を変えれば“親となった身であれば、誰しも同じような態度をとるであろう”という普遍的なものを、石黒賢さんと西田尚美さんが誠実に演じておられたのでは…と私は思っています。
このように親目線で観るかどうかは別として…白血病が以前に比べれば治療法が進んでいるとはいえ、現在でも、難病を抱えて奮闘しているお子さんやそのご両親は、けっして少なくはないでしょう。こうした作品は、もっと多くの人達に観てもらえたらと思います。
それなのに6月に入って、当作品に出演していた某役者さんがマスコミで“お騒がせ状態”になってしまい、観てもらえる機会が遠退いてしまったようで残念です。上述した某ローカル局での放送が5月上旬で、観ることができた私は幸運だったのかもしれません。
さて、採点ですが…目新しい題材ではないものの、かといって“既視感の打破をめざした作品”というわけでもないでしょう。私としては“命の尊さについて誠実に描いた佳作”ということで、当サイトの採点基準である【見た後、率直に面白かったぁ…って言える作品】として8点を献上します。
~備考~
近い将来、“お騒がせ”のほとぼりが冷めて、再び、多くの人達に観てもらえるよう願うばかりです。
ところで、ふと思ったのですが…当作品がロードショー公開されてから今年で16年。一方、劇中のたまきちゃんが大人になって、この物語を回想するのは、少女時代から15年後という設定…現在の福田麻由子さんの実年齢とほぼ合致します。いっそ、これを機に、大人の場面は、福田麻由子さんに演じ直してもらって差し替えてもいいのでは…そうすれば、再び、皆さんに観てもらえるようになるのでは…と思った次第です。ただし、後年に手直しされる大作映画の類の作品とは異なるので、それは無理なんでしょうけど…。
いずれにせよ、私にとっては、このまま埋もれさせたくない作品です。