13.《ネタバレ》 作り物のような別世界のストーリーではなく、ナチュラルで身近に感じられる点が本作の良さではないか。
賞を狙って背伸びしてカッコつけるのではなく、ジュノたちのようにありのままの姿を自然体で描こうとしている点に好感がもてる。
本作には、映画やドラマにありがちな劇的な事件や劇的な変化があるわけでもない。
ただただ、それぞれの登場人物がゆっくりと前に向かって歩んでいこうとしているだけだ。
したがって、感じ方はなかなか難しいものとなっている。
つまらないと感じさせる部分は皆無だったが、「メチャクチャ感動した」「メチャクチャ面白い」「非常に共感した」というようなことはなかったのが正直の感想。
アカデミー賞で評価されるほどの作品かどうかはやや疑問だ。
ただ、男性と女性、又は年代(特にティーンかどうか)によって感じ方が異なる作品かもしれない。
個人的に強く感じたことは、人生においては失敗するということは何度もあるけれども、深く悲観する必要はないということではないか。
人生が完璧ということやパーフェクトということはあり得ない。
あの夫婦や、ジュノの父親も一度は失敗している。
失敗や何かを恐れて行動しないよりも、自分を偽らずにありのままの姿を晒して、自分らしく生きろということだろう。
あの夫婦のうち、夫の方はあきらかに自分を偽っていた。
そして、妻は夫に偽りの姿を演じさせることを強要していた。
自分らしく生きることができないと夫婦関係や恋人関係には歪みは生じるということなのだろう。
そんな欠点のある妻に、ジュノは自分の息子を託したのは、子どもを持ちたい・子どもを愛したいという彼女の気持ちには偽りがないとジュノは感じたからではないか。
彼女は子どもが欲しいという気持ちをありのままさらけ出していた。
分かりやすいコメディタッチの女子高生妊娠モノ映画と思われがちだが、演技・演出・脚本など、細かい部分を繊細に描かれているような気もする。
一般向けというよりも、やや玄人向けの映画と思われるので、自分には少々向かないところもあった。