3.《ネタバレ》 いやあー何これ面白い!二回続けて観ちゃった。二度観てわかったけど、これ笑っていいやつだった。同系のキレるオヤジもの「96時間」がマジ物件なのと違ってコメディなんだね。ちなみにリメイク版はやっぱりL・ニーソンだとか。
テンポが素晴らしいじゃありませんか。わかりきった説明は一切省き、どんどん進む。さくさく悪い奴が死ぬ。死人が出るたび、ぽっと表示される墓標。宗教によって十字架等の種類もちゃんと変えている凝りよう。クールだなあ。
話はガンガン進むのに、末端キャラに至るまでなんでかやけにしっかり存在感がある。おかげで全員の顔が覚えられます。ノルウェー組織の構成員が「福祉国家は寒い国ばかり」と”福祉か日差しか”と社会福祉論に切り込んでみせたかと思うと、セルビアギャングはノルウェーの刑務所における人権意識の高さに国民性の違いを見るのであった。なにこの描写。「無駄話」がこんなに活きているのはタランティーノ以来の衝撃。
あまりに早い日系殺し屋の退場っぷり、ドライすぎる中国人の嫁、雪ではしゃいでしまうセルビア人、等ふふっと笑わせたかと思えば「重機カタログの本読み」で爆笑させられたり。
ニルス、ウィングマン、ブルーノ・ガンツら渋い顔のオヤジ(じいさん)らがやたらかっこ良い。
息子を殺された同士ゆえか、なぜか心通じ銃を収めるラストシーン。ぐっときそうになったところへ、まさかあんなトコからもう一人分十字架追加とは(!)
いやあ参った。シュールでありつつ、脚本は良く整理されているし。桁違いに大量の雪景色と巨大重機の画にも圧倒されるしで。おそるべき珠玉の北欧映画であります。
オリジナルタイトルはスウェーデン語で「大馬鹿野郎」だそうで、いや馬鹿はたくさん出てくるのですが。やはり親の家督を継いだだけのボンボン、器の小さいこと、判断の正しくないこと、部下に売られる末路、と伯爵こそがタイトルにふさわしい馬鹿ですね。