2.《ネタバレ》 地方の中学校に歴史教師として勤務している、ダン・デューン。若くてイケメンでお洒落で、しかも授業内容も楽しく生徒の面倒見もいい彼は、クラスの誰からも慕われていた。だが、彼は誰にも知られていない秘密があった。それは夜な夜なコカインを喫うのを止められないこと――。嫌なことがあると、ダンはどうしても薬に手が伸びてしまうのだ。元カノとのいざこざを抱えたダンは、その日、どうしても我慢できずに学校のトイレでドラッグを喫ってしまい酩酊状態となってしまう。そこに偶然やって来た貧しい母子家庭に育つ女子生徒ドレイに、その姿を見られてしまうのだった。そうして始まった二人の関係。かたやドラッグ中毒の中学教師、かたや麻薬の売人の兄を持つ貧しい女生徒。恋とも友情とも違う二人の淡い関係はやがて……。若き日のライアン・ゴズリングが主演を務めたという本作、これが丁寧な演出の力が光るヒューマン・ドラマの佳品に仕上がっておりました。特にドラマティックな展開があるわけでもなく、最後まで淡々と進んでゆくのですが、これが何故か最後までずっと観ていられたのは彼らの等身大の魅力によるところが大きい。特にライアン・ゴズリングのダメ男っぶりが非常に嵌まっておりました。人当たりも良く生徒からも人気なのに、元カノのことが忘れられず未練たらたらでドラッグを止められない彼。でも今にも犯罪者の仲間入りしそうなドレイのために一肌脱ごうと決意するけれどそれも中途半端な形に……。いやー、こういうダメ男ってよくいますよね~。なんだか他人事とは思えず、見ていて痛々しかったですわ(笑)。対する12歳のドレイも、そんな彼にほのかな恋心?を抱きながらも特にアピールするわけでもない。この二人の微妙な距離感が最後までとても心地良い。やがてコカインのやり過ぎで授業中にしばしば鼻血が出るようになり、教師の職を辞さざるを得なくなるダン。そんな彼とそれまで通りの距離感で接するドレイ。この後、彼らに特別な何かが起こるわけでもない。でも、こうやって誰の人生もだいたい続いてゆく。普通の登場人物たちが織りなす、そんな〝普通〟のドラマがとても切なかったです。うん、なかなかの掘り出し物でした。7点!