12.《ネタバレ》 脚本から演出、そして一番は役者の演技・・完璧な映画です。
マイナス要素があるとすればジャンルがやはり合わないくらいです。
完璧な映画の他に評価したいのは、
シリアスで哲学的な作品をコミカルでもの哀しい作品にしたこと。
これを2次元で舞台劇にしているアイディアがいい。
純粋すぎて想像の旅に出るキホーテとサンチョ。
サンチョは現実をわかっていながらキホーテが好きだからついてゆく。
最期のシーンでは残酷にも自分が現実逃避のただの老人だったと気づくキホーテ。
もしかしたら年齢とか関係なく現実から逃れたくて夢に生きようとする人なら、
感動して共感か違和感を感じるかもしれません。
たとえ学生でもこの老人と自分は同じだと悟るかもしれないし、
本当の老人ならまさに自分もそうなりたいとさえ思うかもしれない。
ラストも秀悦で刑務所のシーンに戻り、
宗教裁判を受けるキホーテたちを受刑者たち(つまりこの劇の登場人物たち)が、
歌で見送るのですがそこで切るようにエンディングになりわれに返ります。
何が言いたいんだ・・それからかなり考えます。
夢を持った男の悲劇なら夢など持たずに現実に生きればいいじゃあないか。
でも最期の幸せそうな顔を見てごらん。
彼は現実の世界には生きられないんだ・・
お供のサンチョは現実をわかっていながらそんなキホーテについていった・・
この映画の表のあらすじの裏にある何かはわかるけれど、
共感し感動ができるような自分でもない・・
これは実際あらすじだけで解釈できる世界ではありません。
映画のあとで考えに浸りたいそんな気持ちのときもあるでしょう。
これから秋の夜長にぴったりな見やすいミュージカルです。
松本幸四郎さんが舞台記録を持つと説明しましたが、
つながりで「王様のレストラン」の三谷監督は同ドラマや他のドラマでも、
この映画の中でのあるシーンをナゾナゾとして使っています。
(向こうから頭の上に洗面器をかぶっている人がいます。なぜそんなものを?)
そんな感じのナゾナゾでしたが答えは次回とか言って教えてくれず・・
この映画の中に出てきますよ(苦笑)
なかなか三谷監督お茶目ですね。
気になっててたまらなかった方ぜひこの映画をお勧めします。