349.《ネタバレ》 題材は違えど、日本の熾烈な労働環境に通じるものがある。閉鎖的で逆らえない上下関係に、普通の人間でも特別な力を持ってしまうと誰もがこうなりうる普遍さ。ムラ社会体質の少ないドイツなら、囚人役の感情が爆発してああいう結末になったかもしれないが(それでも非現実的)、日本ならもっと酷くなっていたはずだ。ショッキングな舞台装置の割に、御都合主義と、余計なエピソード(恋人の存在、研究員への強姦未遂)が目立つため佳作止まり。外の情報は一切断ち切って、ストイックに描いて欲しかった。 |
348.《ネタバレ》 この映画の存在を知ってから長いことスルーしていました。パッケージやポスターにデカデカと配置された主役の顔が苦手で「この顔と2時間付き合うの、気が向かないなー」というのと、顔ではないもう一つのデザインは、頭を抱え込んで孤独にうずくまる姿のやつで「なんだかウツにさせられそう…」と感じる病的な印象。白ベースを広くあけたデザインは「『SAW』と似たような感じなのかな?」とも感じてしまっていました。あらすじを知っていても、キャッチのビジュアルの印象ってやっぱりバカにできないものですね。直感的な印象が変わってしまう。しかし、ハリウッドのリメイク版を観て、あまりに重々しく陰鬱なだけにしか思ってなかった印象が変わったので「オリジナルを観てみようかな」という気になりました。観てみたら、リメイクの何倍もおもしろくてリアル! 結果リメイク版の出来の悪さに腹を立ててしまうほどでした。僕と同じような理由でこの映画をスルーしてる人がいたら、観てみてほしいと思います。決して主役1人だけがずっと画面を占領するわけではなく、群像劇なのでいろんなキャラの絡み合いを絵的にもストーリー的にも楽しめます。人間心理の闇を描いた作品なので、もちろんスリリングな意味でです。後味スッキリというわけにはいきませんでしたが、僕にとって、強烈に印象に残る忘れられない名作となりました。ポスターやパッケージのデザインもっと工夫されてたら、もっと観る人多いんじゃないかなって、それだけが本当に残念です。ノンフィクションと言えど映画が事実をそのまま描くとは限らないことは承知の上なのですが、他の方々のレビューを拝見して「実験と承知で短期にここまで狂うか? あり得ない」的な意見も結構あるんだなーというのが印象に残りました。「それはそうかもね」と思う反面、海外ではサッカー観戦ごときで暴徒になったり人殺しちゃったりもあるわけで、靴欲しいだけで銃で射ち殺しちゃう人もいるわけで、日本の震災で誰も暴徒になったりコンビニ強盗しないことを驚きの目で見てたりするわけで、日本人の当たり前感覚が、海を越えた国ではそうならないことって、あるんじゃないかなぁ…? 【だみお】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-04-05 18:50:13) |
347.《ネタバレ》 この実験最大の悪役が誰かと言えば、やはり主人公ですね。良い記事を書きたいばかりに無理矢理騒ぎを起こして事態をエスカレートさせていった責任は免れないでしょう。彼がいなければここまで騒ぎも大きくならず、現実の実験に即した結果に終わったのかもしれません。無責任な立ち位置から騒ぎを仰ぎ立てる傍観者。改めて考えてみればゴシップに群がって有名人をバッシングせずにいられない我々一般民の醜さを暗示しているのかとも思ったり。色々と考えさせられる映画です。 【kirie】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-03-01 23:09:57) |
346.《ネタバレ》 役割理論、人はある役割を与えられると、その役割に沿った行動をするようになる。これ、うろ覚えですが社会学で学んだような気がします。本作はそれが過剰に現れてしまった例ということですね。実際にあったというから凄い。 本作は社会学とか心理学とかの学問的な知識を付けてから改めて見たいところですが、とりあえず映画的な印象としては、もうちょっと役割に過剰に従うようになってしまうまでの掘り下げというか、説得力がほしかったです。これだけだと、悪ノリが度をすぎちゃった、あるいは、ある1人の応用の効かない糞真面目な人がぶっ飛んだ行動をしちゃった、というだけに思えてしまう。もし普通の人だったら自制心が働いてもっと合理的な選択をするんじゃないか、と思えてしまうので、逆に、自制心・合理性という大きな壁を突破してしまうキーとなるのはどういうものなのか、心理的に本作のようにならざるを得ないのはどういう理由からか、具体的にどういう行動が起因してそうなるのか、どういった条件が必要なのか、といったところを、説明的になってしまってもいいので強めに描いてほしかったです。 【53羽の孔雀】さん [DVD(字幕)] 7点(2015-11-04 01:59:13) |
345.《ネタバレ》 まず考えたのは、現実はここまでエスカレートすることはないだろう、ということ。終わった直後は、個人的な悪役として金髪の看守、全体の責任として教授、という印象を持つのだが、振り返って考えると、派手な記事を書きたかった主人公が最大の悪役だったことに気付いたりする。「どうにかして周りを出し抜いて上手い汁を吸いたい」という極々一部の人間の存在が全体に悪い状況をもたらしている、というのは現実社会の縮図のような感じがする。 【マー君】さん [DVD(吹替)] 6点(2015-08-30 12:10:29) (良:1票) |
【noji】さん [映画館(字幕)] 7点(2015-03-29 21:47:12) |
343.事実こんな実験が行われたというので面白いというと語弊があるが、人間の群集心理の恐ろしさを上手く見せてくれていると思う。 【movie海馬】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-02-20 18:01:09) |
342.いろいろ考えされられたので観てよかったが二度と観たくない。 【la_spagna】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-10-01 22:19:38) |
341.面白い。人間は失敗や実験を繰り返して未来に役立てるわけですよ。 ナチスドイツのユダヤ人に対する迫害だって現代医学に役立っている。 今回もルーツは似てるかもね、ドイツ映画だし。 |
340.《ネタバレ》 本当にあった話だからこそ価値のある映画 |
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339.《ネタバレ》 ホラーと違い、身近にコワイ映画。コメディ要素がない。 このドイツ映画、金で雇われた男たちが、シミュレーション的に「権力を持つ側と従う側」にグループ分けされ、両者とも狂ってしまう話。コワイ映画だった。 リーダーに指名されたら、早ければその日の内ににリーダーの顔になる。勤務先の辞令も同じで、昇格すればその顔になるし、降格すればその顔になってしまう(たまに定年退職した元部長が、なぜか会社に来て偉そうに振舞って受付で相手にされないらしいが)。 さてこの映画、アメリカでの実話が元らしいが、ここ『みんなのシネマ』の感想で「日本人なら無事に2週間が終わる」と書いてる人が複数いる。私は、アメリカより酷い結果になると思う。看守と囚人、無作為じゃなく在日と分けたら、初日に実験中止かもと思う(笑)。シャイと陰湿さって裏腹。日本人がやさしいは大嘘だ(こう書くと2ちゃんねるで在日認定する「単純馬鹿」がいて嫌になる)。 「人は猿と全く違う」と思いたい。 でも現実はモチベーションが「猿と全く同じ」。本当に全く同じ。 男の目的は「女と権力」で、女の目的は「男と権力」。得られるなら何でもするし、すぐに裏切る。 そんな悲しい嫌な現実に、なんとなく気付く映画。すごく面白かったが、また観たくはない。 【激辛カレーライス】さん [地上波(吹替)] 10点(2014-07-06 13:18:02) (良:1票) |
338.《ネタバレ》 私がドイツ映画に詳しくないからかも知れませんが、知っている俳優が皆無だったのが良かった。見ている間は当時者になりきり没頭することで人間の残酷な内面を見せられた気がします。やっぱり知っている俳優が出ているとどうしても「あの○○という俳優が大変な目に遭っている」と思っちゃって完全に感情移入できないんですよね。 【民朗】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-11-10 21:59:12) |
337.《ネタバレ》 実際に行なわれた心理学の実験を元にしているだけに、人間の心理がよくわかる。 映画では実験結果が誇張脚色されているが、戦争、権力者による弾圧、虐待、イジメなども原理は同じだろう。 ごく普通の人間が置かれた状況次第で簡単に狂気に走る。 しかも狂気だということを自覚していないので始末が悪い。 性悪説をとりたくなるような人間の負の部分が強調されるので、後味はきわめて悪い。 ワキガやアレルギーなど一番デリケートな部分に触れることで対立する立場の相手にダメージを与える。 屈辱を受けたほうは更なる屈辱を与えて報復することで、どんどんエスカレートしていく様子がリアル。 客観的にみれば虐待でも、当人は秩序の維持などを理由に自己正当化するので罪の意識は起きず抑制がきかない。 集団心理も自浄機能をマヒさせている。 例え良心の呵責に目覚めて異を唱えるものが出てきても、それは裏切り行為として糾弾されてしまう。 コントロール下に収めていると信じていた教授たちでさえ暴走は止められず、思い上がりに過ぎないことが露見した。 主人公の新聞記者が記事のためにあえて緊張状態を作り出したことも騒ぎの沈静化を妨げた。 こうしたメカニズムは、確かに貴重な研究材料となりうるのだろう。 心理学に興味があるなら、見て損はない。 【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 7点(2013-06-08 00:12:25) (良:2票) |
336.《ネタバレ》 こういう「人間の本性表れた」系映画(?)って 観るのがキツイですよね こんなようなコトが起こるかもれない と どこかで思ってる自分がいて そんな立場になったらどうなるんだ と 考えたりして 人間って怖い生き物だと しかし、後半は脚色なようなので、かなりホッとしましたよ だって こんな終わりはあまりに酷すぎるから ちょっとこのテのものは苦手デス 【Kaname】さん [DVD(字幕)] 3点(2011-11-16 10:18:34) |
335.《ネタバレ》 インシテミルのレビューアーの投稿を観て、鑑賞。 面白い。これは面白いよ。 主人公のバカ騒ぎは思慮が無さ過ぎるという感もあるが、人間性が出て怖いねぇ。カルトってこんな空間で、道徳やら常識が湾曲していくんだろうなと思いました。 【トメ吉】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-11-15 09:56:12) |
334.CUBEのような集団心理の流れの恐ろしい緊迫感が味わえる衝撃的な心理ゲーム。プリズンブレイクの原点はここに 【Arufu】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-10-03 02:11:20) |
333.《ネタバレ》 観賞後にノンフィクションだと知ったときの驚きは・・・。それにしても凄い話だ。改めて人権というものの歴史の浅さを知る。この映画を見る限り、受刑者側より看守側に大きな変化があった。やはり人間という生き物は環境(この場合は看守側の任務と責任)に大きく左右される。鑑賞中は「なぜこんな酷いことができるのか?」と言えた。だが同じ環境に置かれたら?私は大丈夫と自信を持って言えるが、結果がそうなるのかどうかわからないということがこの実験で証明されている。面白いし、心理学の勉強にもなった。素晴らしい映画に出会えた。 【あるまーぬ】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-09-04 02:01:33) |
332.1971年に行なわれた、ある心理実験をモデルに制作された映画。 実際のフィルム映像をテレビで観た記憶があるが、確か実験は途中で中止になったと思う。 それでも集団心理の怖さは生の迫力で伝わっていたため、映画のインパクトは弱まってしまった。 また本作自体ではかなりの脚色がされており、ストーリー展開に限って言えば、 "あのまま実験が続いていたら、きっとこうなっていたかも"という、 誰もが想像でき得る範囲の域を脱していない。そのため後味の悪さばかりが残ってしまう。 せっかくドラマ仕立ての映画にしているのだから、ドキュメントタッチでは表現できない、 何かもう一つ心に訴えるものが欲しかったような気がする。 【MAHITO】さん [地上波(字幕)] 4点(2011-07-28 04:04:38) |
★331.人間の可能性というのは上下左右どこにでも 無限大なのだと改めて痛感させられる 実験内容でした。まさに、 惨たらしい実験をまじまじと見せつけられ、 うずうずする思いを ひたすら鑑賞中抱かされました。 プラスでポジティブシンキングな 可能性、変化、成長というのは、 王道パターンであり、 むしろそれこそ映画の流れではありますが、 やはり本当の人間の姿を描くとなると マイナスなネガティブな印象を受ける 可能性、豹変、狂気と化していく様の方が、 人間を観た気にとってもなるもんです。 実験を実験として、その中しか見せないところもまた、 その臨場感、現実味を強く抱かされた要因の一つに あったように思います。 とにかく、グッと引き込まれるその引力は、 豹変の見事さ、残酷さ、えげつなさが、 あまりにも自然体で説得力に溢れ、 新鮮で納得せずにいられなかったからだと思いました。 人間とは、美しい生き物だ!なんて綺麗事を 軽はずみに言えなくなり、価値観さえも 変えてしまう驚異的な傑作だと思います。
【ボビー】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-06-03 23:59:30) |
330.《ネタバレ》 この監督さんはやっぱりうまい、物凄く面白かったです。抑圧シーンのイヤ~な空気や、逆襲に転じる場面のカタルシスなど観客の心を揺さぶることにはことごとく成功していて、かなり見応えのある作品でした。ワキガをバカにされたことから地味で陰気な男ベルスの心にスイッチが入り、最初は穏やかだった他の看守役達もそれにつられて暴力的になっていくという過程には妙に説得力があって、人間心理の一端をうまく映像化できていると思いました。本作の前半部分はスタンフォード監獄実験において観察された結果をうまく拾ってきているようで、囚人役に消火剤を浴びせたり、素手でトイレ掃除をさせるといった行為は現実に発生したようです。さらには、辞退を申し出た被験者の離脱を許可しなかったり、禁止事項であるはずの暴力行為が発生するに至っても被験者の安全より研究対象への関心を優先して実験を中止しなかったなど、教授側のマッドな行為も事実に基づくようです。看守役の被験者もさることながら、実験場という閉鎖空間において神の如き権力を持つ教授もまた、その疑似的な権力によって公正な判断力を失ってしまったようです。後半に入ると映画独自の展開を辿りはじめるのですが、ここから本作の評価は難しくなります。状況がより逼迫することで映画としては俄然面白さを増すのですが、これが実際の実験によるものではなくフィクションの物語であることから、「人間はここまで怖くなるんですよ」という恐怖感に歯止めをかける結果となっています。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 7点(2011-05-17 21:24:00) |