189.《ネタバレ》 Kramer vs. Kramerという題名は、この映画が親権をめぐる男女の法廷劇だという先入観を与えてしまう。そのようにみるとこの映画は、子育てと仕事の両立を迫られる境遇に奮闘する夫が、子供をおいて出て行った妻に親権を奪われてしまうという、なんとも理不尽なストーリーのように思える。そうなると、最後にエレベーターの中で夫が妻にかけた「綺麗だよ」という言葉は、ただのお人よしの言葉にしか聞こえない。 しかし、この映画はどちらが親権を勝ち取ったかというようなことは問題としていない。この映画は、夫が夫として、また父親として成長していく物語であると思う。 仕事一辺倒の夫と暮らすなかで孤独を感じ、自分の好きなこともできずに子育てに疲れてしまっている妻の描写は、妻の友人との会話で垣間見えるものの、実際映像として出てこない。すると、まるで後半の法廷での妻の主張はただのわがままに見えてしまう。しかし、妻は夫が物語の中で経験するのと同じくらいの苦悩をすでに抱えていたのである。夫は仕事と子育てを両立に奮闘する中で、妻の苦悩に気付く。エレベーターの中での言葉は、夫婦が苦悩を共有できたからこそでてきた言葉だ。 また夫は子供との生活のなかで、父親としても成長していく。前半で「お母さんがいい!お母さんに会いたい!」と泣き叫んでいた子供が、公園で父親と離れ離れになってしまうことを聞いて涙流すのは、彼らの絆が以前にくらべ強くなっているからだ。 作品中に流れるテーマ曲はときに楽しげに、ときに悲しげに聞こえ、作品の雰囲気にとても合っていて印象深い。話の展開も、フレンチトーストを作るシーンだけでその間の苦労を描写してしまうなど、分かりやすく、ひとつひとつのシーンが心に残る。未だこの映画より好きな映画がないということで10点。 |
188.音楽やストーリーがいいのはもちろんだけど、最後の終わり方が好きだなぁ。 【夏目】さん 6点(2004-06-12 01:12:23) |
187.確か初めてこの映画を観たのは高校生の頃だったと思います。当時の感想は卑怯な母親・父親の中の母性(父性)本能。それから十数年経ちますが、何回か観ました。今は私もわかります。母親の孤独・寂しさが…。何度観ても涙をそそる物語です。子役の演技と音楽が素晴らしい。 |
186.男の子育て、女性の自立、養育権を巡る裁判、当時の社会には相当新鮮であったのではないか、ある意味意外と社会派の映画と言ってもいいかもしれない。 父と子が喧嘩した後、母親が出て行った理由をベッド脇で語るシーンが特に良かった。 作れなかったフレンチトーストを手際よく作れるようになった姿に二人で過ごした時間の苦労の重みを感じる。 メリルの型にはめられ、居場所をなくし精神的に追い詰められていった想いもよく描けているし、家庭を顧みなかったホフマンが息子と過ごす時間の大切さや息子を愛する気持ちを改めて知り、そして妻と向き合い、妻の苦悩を感じ、自分とも最終的に向き合うことができたのではないか。 裁判にはアメリカらしさを感じながらも、勝利者がいない不毛な争いにやりきれない思いを感じる。 ラストのメリルの心変わりには唐突な思いを感じたが、友人の女性がよりを戻したという前振りがあったから、将来的にあの三人が笑顔を取り戻して仲良く公園で遊べる日が来るかもしれないという希望も伝わった。 この映画で感じたことは、父親と母親の争いの一番苦しい思いをする被害者は子どもなんだなということだ。 |
185.現代社会の夫婦仲を先取りしたかの内容でした。ダスティン・ホフマンが仕事は出来るが、家事はまったくの不器用な父親を見事に演じ切ってます。これ演技じゃなくて、実際そうなんじゃないかと思う場面がいくつもあった程です。内容的にはそこまで素晴らしい作品とは言い難いです。 |
184.この夫婦は二人とも自分の主張はしているけど子供のことを考えていたのだろうか。テッドは仕事が一番というときは家庭をかえりみなかった。ジョアンナはそういうテッドに愛想つかして出ていった。それぞれ言い訳はあると思うけどこの二人に翻弄されたビリーが一番かわいそうでした。 【tetsu78】さん 7点(2004-06-09 22:42:16) |
183.わたしはこの映画を見てバスタオルがびっしょりになるくらい泣いた。友人に泣ける映画ない~?と聞かれたらこの映画を真っ先に挙げる。役者がみんなうまいし、特に子役が泣かせます。見た当時は高校生でメリル・ストリープが憎らしく思ったなぁ。でも今思うと奥さんの気持ちもわからなくもないんだ。女性の社会進出が顕著になってきた時代に作られた映画ですけど、それから25年経っても『僕と彼女~』みたいに見事にぱくったドラマがつくられ、人々を感動させてるってどうなのかなぁ。家庭における女性への意識って変わってないってことすよねぇ。そんなことより映画は素晴らしいです。はい。 【ぼんてん】さん 9点(2004-05-23 23:41:14) |
★182.ドラマの「僕と彼女と~」がこの作品をかなりパクっているのは 誰でも判ることなんですけど、ぼくはあのドラマを毎週、欠かす事無く 観ていました。毎週号泣して感動していました。 で、この作品でもビリーを思う、父テッドの強さや優しさが感動的で、 あんな父親になりたいという憧れも生まれました。 家族は結局崩壊してはいけない、子供の為にも自分達の為にも、 相手の事や子供の事を大切に想い、愛していれば、みんな幸せに なれると思う。いや、そうあって欲しい。 【ボビー】さん 9点(2004-05-16 10:41:38) |
181.自分が父親になったばかりなのでとても興味深く見ることができた。自分も自分の息子にあれほどの愛情を注ぎたいと思わさせるいい作品 【MS】さん 9点(2004-05-15 01:03:48) |
180.子供の幸せを一番に考えるのは当たり前のことなのですが、親が自分の幸せの為に子供を引き取りたいと思うことはごく自然な感情だと思います。 子育てってかなり自分を犠牲にしないと出来ない。でも本来は犠牲と思うこと自体がおかしい。妻に当たり前のようにすべてを押しつけた為に妻は感じなくてもよい”犠牲”を感じてしまった。これは当然夫の責任。ただ、頭ではわかってても実際はねえ..。私も気を付けねば。ラストは子供のことを一番に考えるという当たり前のことをしただけなのに、なんかホッとする。昨今、子供に対する親の虐待の記事を毎日のように目にするせいだろうか。当たり前のことがどんどん難しくなってきたのかもしれません。 【R&A】さん 7点(2004-05-06 12:11:41) (良:1票) |
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179.ぺんさんのコメントとほぼ同意見。カミさんいなくなってパニックになっている父親役をうまく演じていると思います。この頃のメリル・ストリーブが透明感があってとても好き。 |
178.子供の頃観た映画なので今観たらまた違う感想なのかもしれない。しかしその当時子供心にも泣いていました。なぜだろう。息子に対する父親の愛情をこの映画から感じたのかもしれない。フレンチトーストのシーン、怪我した息子を抱えて走るシーン、そしてあのテンポの良いBGM。未だに鮮明に覚えています。 【ぺん】さん 9点(2004-05-03 00:14:54) |
177.俺は人生において経験してみたいことがまだまだたくさんある。その中の一つが「子供を持つ」って経験。どうも周囲を見渡すとですね、親の子に対する愛情ってのは世界共通らしいんですよ。しかもその愛情は半端じゃないらしい。全てに代えても守りたくなるらしい。すげーぞ、そんな気持ちまだ俺は味わったことない。一体どんな気持ちになるんだ?そんなワケで子供を持つのはなかなか楽しみでございます。 クレイマー、クレイマー。確かにテンポも良いし、子供は可愛いし、名作と呼ばれるのもわかる…ような気がしますが、この映画はまだ俺には早かった。ここの皆さんのレビューを見て、この作品の本当の良さを知るのはもっとずっと後なんだろうなと思った。いつか俺に子供ができたらもう一回見るぞー。だから、誰か嫁に来てください。マジで。 【コバ香具師】さん 6点(2004-04-29 17:38:09) (良:1票)(笑:2票) |
176.母親に対する「何をいまさら……」との思いから、父親に対して激しく肩入れしてしまうわけですが、ふと、当の息子が不在の状況で話が進んでいることに気が付いたと同時に、父親だろうが母親だろうがどっちでもいい、とてつもないもの悲しさを覚えました。いい父親になったダスティ・ホフマンと、取り返そうとするメリル・ストリープ、そしてジャスティン・ヘンリーが素晴らしいということなのでしょう。オーラス後、なんとか息子にとっていい結末が迎えられていることを願わずにいられません。そして、その「願わずにいられない」と思わせるオーラスであったことが、「6点か7点」で7点を付けた理由であります。 【まつもとしんや】さん 7点(2004-03-31 23:43:45) |
【kasumi】さん 7点(2004-03-29 11:28:41) |
174.《ネタバレ》 夫婦間(家庭)に関する問題というのは“明確な答えの無い”永遠のテーマであり、特に男女(夫と妻)の生き方や価値観の相違から発せられる争いは、子供をも巻き込んでしまう小型ハルマゲドンといった様相を呈するほどの破壊力が有る。 同じ男として、どうしてもテッド(ダスティン・ホフマン)に肩入れしてしまうのだが、女性ならジョアンナ(メリル・スロリーブ)寄りになるのではないでしょうか? 男と女・・・、本当に難しいです。こんな難しいテーマに敢然と挑んだ制作者側の勇気を称えたい。 離婚後、テッドは会社をクビになるのですが、“家庭”を守る筈の人物が1人が欠けてしまうと、何もかも上手くいかなくなっていまうものですね。両親が揃っていることの重要性(幸せ)を再認識させられます。 ラストは見る人によって“この家族のその後”を想像できるような形で終わっています。そこがまた良いんですね。 |
173.朝食を食べながらホフマンと息子が同じ事やってる(片方は新聞を読んで、片方は雑誌を読んでる姿)のがすごく印象深かった。内容は結構シビアなんだけど終わり方が良かったせいかそう感じさせないものがこの作品にはあった。 【ゆきむら】さん 8点(2004-03-21 13:28:42) |
172.子どもの親権を前妻と争いながら、これはテッド対テッド、前の自分対今の自分との闘いではなかろうか。焦げたフレンチトースト対出来のいいフレンチトーストとの闘いと言いかえるとどこかチャーミング。 【彦馬】さん 7点(2004-03-12 19:49:54) |
171.《ネタバレ》 フレンチトーストのシーンをはじめ、身近な一コマで登場人物の状況や心情を痛いほど伝えられるのはすばらしい。【2009年3月に再鑑賞】裁判で、結婚に失敗したのはおまえのせいかと責められるジョアンナになんとかメッセージを送ろうとするテッド、そしてラストシーンでジョアンナに投げかける一言。このとき、二人は、はじめて心を開いてちゃんと向き合ったんだと思う。はにかみながら笑ったジョアンナに、テッドの人間的な成長が伝わったのだと心から信じたい。 【ころりさん】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2004-03-12 14:13:09) |
170.父親を視点にして書いてるからこの映画を好きな人は男に多いんじゃないかと思う。 私は女だから母親の気持ちも凄く分かって(確かに身勝手だけど)、両方に感情移入してしまった。 だから父親の悪い所をちゃんと書いてないことを忘れないでほしい。 【ヒョー$】さん 7点(2004-03-12 12:43:30) |