【よしふみ】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-07-31 13:31:21) (笑:1票) |
6.落語のようによくできたストーリーであり、また、心理劇として秀逸。飯場仕事の手配師を追い込んだときに、財布の中身を全部取らずに、200ドルだけ抜き取って、酒場にも迷惑料を置いていく金にきっちりした男としてドブズを描いていたのが後半の展開を考えると非常に巧い。ただ、私にとってこの映画で一番印象に残るのは、いい味を出している爺さんでも、大金を手にし人間が変わっていくドブズでもなく、ドブズが落盤事故にあったときに、すぐに助けに行くと思いきや、一瞬事故現場に背中を向けてしばし思考をめぐらした後に、きびすを返したカーティンの場面。あのほんの少しの間に、彼は一体何を考えていたのだろうか。「ここで助けにいかなければ、一人減って自分の取り分が多くなる」と考えたに違いないと私は思っているが、映画はその部分は何も説明せず、完全に観客の想像にゆだねている。あの場面でカーティンをすぐ助けにはいる善玉一辺倒の人物として描かなかったことが、この作品にいろいろな余韻を与えているように思える。 【南浦和で笑う三波】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-04-29 01:13:50) (良:1票) |
5.今回のボギーは、バカでマヌケなアメリカ白人なんです。しかしそこが素晴らしい!黄金が見つかった途端、真っ先に疑いの目を仲間達に向け睨んだり、怯えたりその表情から見えてくる人間の強欲さ愚かさにはボギーの脂の乗り切った演技と絶妙に合わさってえも知れぬ極上の映画を味あわせてくれます。ラストも何だか虚しくなぜか滑稽でまるで映画を見るというより古典落語を見た様な感じを受けました。 【一番星☆桃太郎】さん [DVD(字幕)] 10点(2004-12-07 22:25:49) |
4.《ネタバレ》 ハワード爺さんは酸いも甘いも知り尽くしているのでしょう。器の大きさが違います。ラストの高笑いは「降り出しに戻っても、生きていればいいんだよ」と言っているように感じます。茫然自失のカーティンがつられて笑い出したのには思わず頷いてしまいました。ハワードのように年を重ねた、上司、先輩、師匠が居てくれれば心強い事この上なしです。大金の誘惑に狂ってしまったドブスはハワードに言わせると正直者だからそうなったという事ですが、自分は大金に変わってしまう人間と大金にも変わらない人間の違いは人に対する優しさがある、なしの違いに思います。手に汗握る展開、三人の名演技。見応えのある作品でした。 |
3.ストーリーに驚く程の緊張感と緊迫感があった。自分の幸せを求める余り、今まで信頼しあった相棒すら信用できなくなってしまった男の、行動や言動には怒りを感じずにはいられなかった。ラストの終り方によってなんとか暗い気持ちにならずにすんだ。そして観賞後の今は、何故か不思議な爽快感と軽い吐き気を感じています。 【ボビー】さん 8点(2004-09-23 22:47:07) (良:1票) |
2.映像技術の進歩は、昔の映画を相対的に色あせたものにしてしまいます。しかしこの『黄金』のような、緊迫感溢れる人間ドラマは別。白黒映像は、砂金の輝きを表現することは出来ませんが、溶岩のように湧き上がる人間の欲望を、余計に生々しく表現しています。「金は人を変える」というテーマが、ドブズ個人的な問題になってしまっているのはちょっと残念(このシナリオもかなり好きですが)。余談ながら、作中で出てくる「バカの黄金」は黄鉄鉱。英語ではそのままfool's goldといって、金と勘違いして喜んだ鉱夫たちの逸話が語源になっています。 【円盤人】さん 7点(2004-02-17 01:59:03) (良:1票) |
★1.《ネタバレ》 呉々も「カサブランカ」や「マルタの鷹」「三つ数えろ」などのニヒルで粋なボガートを期待して観てはいけません。本作で彼が演じるドッブスという男は猜疑心の強い貪欲で自己中な最低の男です。しかし、ボギーが演じているだけに強烈なインパクトで迫ります。クルーゾーの「恐怖の報酬」にも通じることですが、本作でもメキシコはタンピコでのボギーとティム・ホルトのどん底吹き溜まり生活が前半で丹念に描かれているが故に山師のジイさん(J・ヒューストン監督の父にして名優のウォルター・ヒューストン!)に乗せられて一攫千金を夢見る展開にも抜群の説得力を生んでいると思います。ラストのどんでん返しについては実際に御覧になって確かめて頂きたいですが、後年に至るまでJ・ヒューストン監督の得意技となる「つかみかけた夢が儚く水の泡」の最も優秀な実例であることは確か。砂金を目の当たりにしてもタダの砂としか認識できないヴァカな山賊共は、恰も「見る目のない評論家&観客」を揶揄しているかのよう…と言ったら深読みし過ぎ?J・ヒューストンは本作でオスカー監督賞と脚本賞をゲットしていますが、骨太で豪快な作風が抜群にマッチしている点で個人的にも彼のベストとして推したいですね。しかし、最大の功労者は助演男優賞にも輝いたお父っつぁんウォルターでしょう。余りに皮肉な幕切れに破顔大笑するラストを支える貫禄は流石!!息子孝行?評価は満点にしたいトコロですが、ティム・ホルト演じるカーティンがオイシイ役どころの割に今イチ魅力に乏しいのが難点なので…マイナス1点。でもオススメ!! 【へちょちょ】さん 9点(2003-07-06 00:29:09) (良:1票) |