17.「エルム街の悪夢」の画期的な(のかもしれない)点とは、夢の中の殺人鬼、という設定により、超現実的なオカルトの「ワケのわからなさ」と、殺人鬼モノの素朴な「ワカリやすさ」とをうまくブレンドした点にあったのではないか、と。その点、この『ファンタズム』ではまだそういう融合は無く、あくまでオカルト路線そのものですが、夢で摩訶不思議を演出してみせるシーンには「エルム街」の先駆けのようなものも感じます。 何せオカルト、オハナシはちっとも要領を得ません。まあ、ホラー系の映画に出てくる「悪」なんてのは、「悪」そのものであって、そこには目的も何も無いのが普通、ではあるのでしょうが、この『ファンタズム』では、変な髪型のオッサンが出てきて、これが「悪」の存在らしいのだけど、何を狙っているのか、最後どうなればいいのか、まったく不明。凶暴な殺人鬼ならともかく、何しろただのオッサンなもんで。 といういかにもファジーな設定の中で、様々な得体の知れない事が起こり、こういうワケのわからなさ、何が起こるかワカラン感が、良いんですねえ。 あの謎の金属球。なんでこんなモノにこんな殺され方をしなければいけないのか。ワケはわからんけど、恐怖と残酷趣味とユーモアが一体になっていて。宙を飛ぶ凶器を側面から静止画で捉え、背景の映像を高速で流して見せる、なんてのは、よく見る演出ではありますが、もしかしてそのハシリなのかも。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-08-28 11:34:49) |
16.《ネタバレ》 心理系オカルトかと思いきや、肉体的苦痛のスプラッタ要素もあるし、SF風味もぶっこんでるしでジャンル分け不可のごった煮ホラーですな。なかなか独特の味わいはありますが監督が思うところの「怖い画」をずらずらと並べて喜んでいる感じで、今の時代ではシュールという表現がもっとも当てはまるのでは。 序盤の墓地までは不気味な雰囲気に多いに期待したんだけど、そこからがねえ。友人の祖母が占い師やってる館では箱が現われたり消えたり(何の意味が?)、フォーク内蔵の銀球がひゅーと飛んできたり(普通に危ない)、古い写真の男がこっち見たり(誰)、なんのこっちゃ、と思います。 ラストもなあ。監督のどや顔が見えるようなまさかの夢オチ。うーん怖くない。古くても73年のエクソシストは今でもちゃんと怖いんだけどねえ。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2019-08-13 23:24:36) |
15.《ネタバレ》 底抜け超大作ホラーが目白押しだった70年代、その掉尾を飾ったのがこの自主製作カルト・ホラー。監督のドン・コスカレリはこのときまだ22歳、本作を観た限りで言えることは、彼こそはまさに“才能はかなり劣るけど、頭の中はデヴィッド・リンチそのもの”と呼ぶに相応しい人、というか“ドン・コスカレリを天才にしたらデヴィッド・リンチになる”と言った方が正しいかも。ストーリーは冒頭から徹頭徹尾おかしいし、途中からソフトボール大のパチンコ玉が高速で飛んできて人を殺すしで、もう浅草花やしきのお化け屋敷状態です。挙句の果てには夢落ちですけど、これほど夢落ちが納得できた映画には初めて出会った気がします。どおりで13歳のガキがバイクやムスタングを運転できるわけだ。でもデヴィッド・リンチが割と好きな自分としては結構愉しめたかと思います。『エルム街の悪夢』の原点と言えるかもしれません。よく考えるとこの映画にはヒロインがいないんです、そんなホラー映画もちょっと珍しいかも。そのうえ主人公の少年が女の子かと思うほどの美少年、その兄と兄の親友の三人の関係がなんかヘンでBLっぽい雰囲気もあり腐女子には受けるかもしれません。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-06-27 22:37:07) |
14.内容は全く覚えてなかったのですが子供の頃見て面白かった覚えがあったので20年ぶりに見返してみました。だいぶスロースタートな感じなので最初は全然面白くなかったですが、銀の球が出てくる所からはオリジナリティの高い展開で面白いですね。今見てもこの独特な世界感はなかなか味があって楽しめました。 【映画大好きっ子】さん [DVD(吹替)] 7点(2013-01-21 22:44:10) |
13.《ネタバレ》 大人になった今鑑賞すると何てことないですけど、初見の時は怖かったです、こんなんでも(笑) 子供目線だと、ただデカいだけに見えるトールマンも、やっぱり怖いです。 子供の頃って訳わからん怖い夢を見て冷や汗かいて目覚めることあるじゃないですか・・・ そんなのを上手く映像化していると思います。 鉄球飛来は強烈に印象に残る名シーンのひとつです(というか、今回改めて鑑賞するまで内容は曖昧だったけど、飛んでくる鉄球とドアに挟まった指から黄色い血というのだけは覚えていたので・・・) 【ぐうたらパパ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2012-03-20 06:37:07) |
【たきたて】さん [DVD(字幕)] 1点(2012-03-12 07:28:40) |
11.《ネタバレ》 徹底的に意味不明な悪夢的恐怖演出(と言っても全然怖くない)の垂れ流し。いったい何とたたかっているのかもわからん。なんで鉄球ドリルがとんでくるのかもわからん。繰り返される音楽が素敵な不思議ちゃん映画。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-06-12 09:27:49) |
10.あの鉄球は生理的にくるものがあってナイス! ドン・コスカレリって人はたしか『ボーイズ・ボーイズ』って映画で注目を集めたはず。内容は興味なくて知らないけど、スケボー少年たちのお話じゃなかったろうか? そして次に出したのがこの作品だったような。まるで違うジャンル作ってくるんだと思った記憶があります。この映画も結局1度しか観てないので、内容覚えてないけど、両親を失った少年のナイーブな内面がどうのこうのっていう、実は繊細なところを隠し味にしてる作品だったような??? でも、その辺は全然印象として残してはいなくて、僕が劇場で観た当時スゴく感心したのは、トールマンがあの鉄球で死んだ時、おしっこが漏れてくるのを映像にしていることでした。知識として、人は死ぬとウンチやおしっこを垂れ流すとは本で読んで知っていたけれど、それを映画で見せようとした作品はこれが初めてでした。その後も他には観ていません。 【だみお】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-06-11 03:18:36) |
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9.《ネタバレ》 この不思議な恐怖感がいい。奇妙な世界観が面白い。 変な球体とか、葬儀屋の怪しいおっさんとか、不気味なドワーフの存在がとてもいい。 血が黄色かったりするのは不思議だ。 ホラー映画で、とてもスケールの小さい話だと思っていたのに、実は次元を超えていた話だったりすると、ちょっと興奮する。 少年が少し美少年だったので、最後が少し妖しかった。 ちょっと古いホラーの雰囲気や音楽がとてもいい。 どこまでが夢でどこまでが日常かの境目の曖昧さが心地よい。 何より米ホラーといえば、ゾンビか悪魔憑きか殺人鬼に恐怖感を依存する場合が多いのに、 ほぼ未開のもので恐怖演出を切り開こうとしたのが凄い。 恐怖演出が、サスペリアやジェイソンなみに成功している感がある。 そしてB級ながらに本格臭がするホラー映画だ。 美女が葬儀屋のオッサンに変わる場面は、リンチに迫る映像魔術だと思えた。 これは某オークションで低価格でDVD-BOXを落札していて正解だった。 実は1ヶ月ぶりに封を開けた、、、それまでほとんど放置プレイ状態でした。 球体から刃物が出て血がチョロチョロと流れ出る場面は多くの人に見て欲しいですね。 【ゴシックヘッド】さん [DVD(吹替)] 8点(2011-05-08 23:26:30) |
8.《ネタバレ》 この映画は、肉親の死を受け入れられない孤独な少年の内的宇宙を描いた一種のファンタジー。少年の夢(=悪夢)をありのままに映像化しているため、劇中「?」なシーンが連発するのも頷ける。夢には連続性や一貫性などはないから。不気味な葬儀屋、小人たち、銀の玉、謎の美女、と少年の妄想が生み出した悪夢のキーワード。ラスト、トールマンを崖に封じ込めてガッツポーズを決める兄が、実は既に死んでいたことが判明するに至り、物語は切なさを増す。ああ、この少年は子供時代の僕自身の姿だったのだと知り、涙が出た。 【フライボーイ】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-04-01 10:51:08) |
7.異界の住人トールマンと少年の攻防を描いた映画やねんけど、監督が自分の夢をそのまま映画にしたからか、なんで?って場面が多すぎてイマイチやったです。そーゆーの苦手なんもあるけど、例えばなんの打ち合わせもしてないのに弟が落とし穴の位置がわかるってのとか。古臭いのもあるので当時としては斬新な映像や恐怖も今の時代感覚ではチャチく感じてしまったし。ただ、なんで?ってシーンも気にしなくてリアルさとか全然なくても雰囲気ではまれる人は結構くるもんがあるかもしれへん。小人とかは不気味やし。でもあの小人、スターウォーズのくず鉄集めのエイリアンに似てへん? 【なにわ君】さん 3点(2005-03-05 22:53:45) |
6.いかにもB級のホラー映画って感じなんだけど、断片的にかもしれないが後々の映画に結構アイデアを提供してるんじゃないかな?、フライトナイト、クリッター、そしてあのキューブとかもね。 【眼力王】さん 5点(2004-06-09 15:44:06) |
5.決して面白い映画ではないんだけど・・・70年代ホラーはさんざん観たけど、中でも強烈にコワかったのはコレ。ストーリーをほとんど覚えていないということから考えても、たぶん大した話ではなかったんだろう。覚えているのはもう、とにかくコワかったこと。スプラッターが流行り始める前のあの手この手の中でも最後のオカルト映画という感じだったが、悪魔を持って来なかったところに創意工夫が感じられる。関係ないけどこの映画、同じドン・コスカレリ監督、マイケル・ボールドウィン主演だからと言って「ボーイズ・ボーイズ」との2本立てはいくらなんでも無理がありすぎたと思う。おかげで当時10歳だった弟は不眠症に苦しみ、連れてった私は両親からこっぴどく叱られる羽目になった。10歳にもなって、ホラー映画ごときで眠れなくなる弟も弟だったと思うのだが。 【anemone】さん 7点(2003-12-20 04:16:33) |
4.前々から観たい作品であった。予告で銀の玉が飛んできて途中で爪のようなものが”シャキン”と出る。そして男の額に刺さってグリグリ穴を空ける。たしか玉の後ろの穴から血が吹き出ていた。当時小学生だったわたしにはコレだけで”観たい度100%であった。それから数年後、テレビでやっと観ることが出来た。良くわからない作品である。何か現実なのか夢なのか、なんとも変な感覚に襲われる映画だ。そのせいか、場面、場面は記憶にあるのに繋がりが良く思い出せない。どんな話と聞かれても説明しづらい事この上ない。そして現在ハッキリ覚えているのは”銀の玉が飛んできて途中で爪のようなものが”シャキン”と出る。そして男の額に刺さってグリグリ穴を空ける。たしか玉の後ろの穴から血が吹き出ていた”事・・・あれっ?観る前と同じだな。 【カズゥー柔術】さん 6点(2003-12-20 03:48:12) |
★3. 何か如何にもB(C?)級ホラーといった安っぽさ。ナイフの付いた球体が宙を舞い主人公の少年を襲う!が、それがどうした?生理的不快感はあっても恐怖感は無いぞ。監督が「悪夢を再現」とかコメントしてたけど、おハナシの支離滅裂さは確かに夢を連想させなくも無い。だが、ブニュエルの「アンダルシアの犬」を観た後では余りに陳腐かつ底が浅過ぎ。70年代は駄作ホラーの宝庫(いや掃き溜め?)…だな。5点! 【へちょちょ】さん 5点(2003-07-31 02:21:38) |
2.題名に引かれて見たんだけど、見終わって、微妙なコメントしか浮かばなかったというのが本当のところ。前半部分までは、不気味な葬儀屋や死墓場で戯れる死人達と、オカルトのような内容なんだけど、後半になるにつれてSF路線に切り替わる。それにそもそもホラーとは、生理的嫌悪感や不快感を伴う恐怖のことを指すんだが、この作品に至っては微塵も感じられない。結局、この作品の題名PHANTASM(幻影、幽霊)って、何の事を指しているんだ? |
1.当時としては随分新しいホラーだったなあ。八名信夫みたいなトールマンが出てきて銀の玉びゅんびゅん。結局延々凡庸な続編を作りつづける羽目になった監督・・・。悲しい。 【GO】さん 7点(2003-06-20 23:36:44) |