3.《ネタバレ》 東映実録ヤクザ映画の一本で殺しの軍団と異名を取るヤクザ組織を描いた作品だが、ややドラマとしての盛り上がりに欠け、印象は「仁義なき戦い」などと比べるとかなり普通。小林旭扮する主人公が朝鮮人である設定はもっと生かすことができたのではないかという気がするし、組織に利用されるだけされて結局は使い捨てにされるという主人公を描いているのだが、あまり掘り下げられているとは言えず、深みは感じられない。山下耕作監督の実録ものは初めて見たが、深作欣二監督の演出と違ってやはり落ち着いているが、小林旭や梅宮辰夫、成田三樹夫、金子信雄など「仁義なき戦い」シリーズで印象に残っている俳優が多数出ているからか、(ナレーターも同じ人だし。)その延長線上で見てしまい、もう少し勢いがほしいところだった。しかし、同じ山下監督の晩年作「極道の妻たち 最後の戦い」でかたせ梨乃が殺されるシーンが印象に残っているのだが、この映画でも梅宮辰夫が殺されるシーンは同じように山下監督らしい演出でとても印象に残るものとなっている。