19.《ネタバレ》 無慈悲に射殺を続ける、濡れ衣であっても縛り首を受け入れる。トム・ホーンが見せる虚無感が闘病中のマックィーンに重なりやるせない。 彼を利用して手のひら返しで葬り去るご都合主義の正義感はかの国ならではか。胸糞の極み。 病を押しての出演でキレも華もないマックィーンを観るのが辛かった。 |
18.稀代のアクションスター、スティーヴ・マックイーンの最晩年の作品。 演じる役はかつて西部でその名を馳せた伝説の賞金稼ぎの男、トム・ホーン。 もう1人、牛泥棒対策に彼を雇う牧場主。演じるのはリチャード・ファーンズワース。 彼もまた、かつては西部劇を中心にスタントとして活躍した。 序盤、そんな2人が馬にまたがり雄大な西部を行く。2人の佇まいと作品の風景が実にいいのですが、 マックイーンの映画としてはあまり見返したくない作品です。 公開当時にマックイーンの事情も、結末も知らずに見たならば別の感想になったかもしれませんが、 トム・ホーンの人生最期のドラマに、残された時間が僅かであったマックイーンの人生が重なり、 遺作である「ハンター」と共に見ているのが辛い作品でもあります。 マックイーンは1980年に50歳でこの世を去りましたが、もしこんな病魔に侵されなかったら、 80年代、90年代以降と、その後どんな俳優人生を歩んだのだろう? 体が動かなかくなるギリギリまでアクションスターであり続けたのかな。 彼の映画を見ると、時々そんなことを考えたりします。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-02-13 13:08:04) |
17.かつてはアパッチ族とも戦った歴戦の強者のトム・ホーンは、牛泥棒に備える用心棒として、牧場に雇われた。牛泥棒を殺害していくホーンだったが、ある日、身に覚えのない殺人で疑いをかけられて…。 アクションもあるけど、それほど大掛かりではない。個々には印象的なシーンもあるものの、全体としてはインパクトに欠ける。 時代に取り残されたガンマンの悲哀が描かれている。そこに役者自身や西部劇そのものの境遇を、重ね合わせているのではないか。そんな諦念のようなものも感じられた。 【ao】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-02-04 16:13:24) |
16.《ネタバレ》 70年代末。ニューシネマの最期あたりなんでしょうか。 まさかこういう終わり方をするとは思いませんでした。 マックィーンも随分と老けたなぁなんて思いながら見てたんですが、なんと本作の翌年に癌で亡くなっているのですね。 というわけで、なおさらこのラストは重苦しく感じちゃいました。 西部劇だけども快活なアクションがあるわけでもなく、ただただ地味な一本。 彼女にも別れ告げられるし、楽しい思い出を思い起こす様がなんとも寂しい、、、。 なかなか評価に困るなというのが正直な気持ちなんですが、トム・ホーンという人がいたということを知れただけでも収穫なのかなと。 【あろえりーな】さん [地上波(字幕)] 6点(2017-02-06 22:11:43) |
15.往年の大スターが、こういう惨めでけっしてかっこ良くもない主人公を自ら演じようと思い立つ、その心意気がいい。しかしストーリーはひたすらネガティブで、気が滅入ります。アメリカ版「デルス・ウザーラ」といったところでしょうか。時代に乗り遅れた人間に、社会はどこまでも冷酷ですね。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-08-02 23:50:35) |
14.《ネタバレ》 史実はどうなのか知らないですが、地味な作品ではあります。死に際の作品だし、ラストの脱走劇はヨタヨタ走りで、『大脱走』とは大違い。老年化した姿は見ていると悲しくなります。でも、享年50なんですね。本作を通じて訴えたい事はいろいろあったのでしょうけど、どうしても主人公の物語というよりは主演俳優の物語に見えてしまいます。 |
13.《ネタバレ》 地味な映画は好きな私ですが、さすがにこれだけ地味で淡々としていると、あまり高く評価できません。演出もたまにスローモーションや引きを使ったりしていますが、おおむね「見たまま」を映しているだけ。リアルというより、芸がないのではないか。ただ、マックイーンは役に合っていたと思います。本人もかなり力を入れていたようで、ホーンと自分を重ね合わせていたのかもしれません。『タワーリング・インフェルノ』でアクションを脱し、『民衆の敵』(残念ながら未見)でドラマに取り組んだわけですが、本作ではその両方がうまく解け合っています。あくまでもドラマのためのアクション。自分に期待されるものと自分がやりたいものとの折り合いをつけた結果でしょうか。 ホーンの絞首刑までキッチリと描いたラストが、1970年代の幕を引いたようにも思えてきます。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-08-25 15:58:39) |
★12.《ネタバレ》 西部劇ヒーローの“干物”みたいなもんですね。度胸や銃の扱いはヒーローのそれではあるけれど、年老いて体は動かない、主人公トム・ホーン。そして何より、周囲が彼を受け入れられない。彼もまた周囲を受け入れない。決して埋まることの無い溝。元々は牛泥棒に悩まされる“周囲”の方こそ、彼を求めたハズだったのに。元々は、人殺しを好まない彼に対して、牛泥棒の殺害を望んだのは“周囲”の方だったハズなのに。しかし、その牛泥棒ですら、「そんな悪い人間じゃない」との見方をする者もいて、つまりどこかに理解しあえる共通性を持っているのに対して、トム・ホーンのような共通性の無い人間、これほど危険な存在は無い。いや、人間というよりもはや、捕えられた野性のオオカミみたいなもんですな、煮詰まるととりあえず遠くの山々を眺める(よし、私も今度やってみよう)。彼も無理に周囲を理解しようとしないし、理解を求めることもしない。彼は我々を見ていない(めったに表情を見せない彼が笑顔を見せる数少ないシーンの一つが、荒馬を相手にしているシーンだったりする)。彼は我々を無視し、ただ、遠くの山々を見つめる彼の後姿だけを見せる。脱獄にも失敗する彼はもはや実効的に無力であるけれど、それでも処刑台で最期を迎える彼はヒーローらしいセリフを吐いてみせる。この、「遠い山々に視線をやって我々を無視しながらも、ヒーローであり続けて見せる」ということ。周囲に流され変節を繰り返していることにすら気付かない我々に対する、何と重い告発であることか。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-04-17 13:27:47) |
11.《ネタバレ》 「許されざる者」よりも10年以上前にこんな作品があったんですね。マックイーンは何かの覚悟を持ってこの役に挑んだのかもしれませんが、いかんせん演技が力弱く、また終盤に至るまでさしたる盛り上がりもなく進むので、インパクトに欠けます。ただし、最後の処刑シーンは、そこで幕を閉じてしまう点も含めてこだわりが感じられました。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2011-04-03 22:38:00) |
|
10.《ネタバレ》 病気を患っているマックイーンとトムホーンが重なって見えて悲しく寂しい気持ちになる。とはいえマックイーンは体調が良ければ、まだまだ名作を残したであろう。トムホーンと同じように、私にとってスティーヴマックイーンは伝説です。 【さわき】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-02-28 20:18:23) |
9.マックィーン作品で、西部劇、これを見逃す手はないはずなのですが、公開時に映画館に行くことはありませんでした。面白くなさそう、という匂いをを嗅ぎ取ったからでした。ずいぶん月日が経ってからDVDでの鑑賞となりましたが、直感は正しかったようです。史実をベースにしているにしても、エンターテインメントとして足りていない部分がたくさんあります。 【ジャッカルの目】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-01-30 02:29:10) |
8.《ネタバレ》 トム・ホーンと云う人は実在した西部開拓時代の賞金稼ぎらしい。作中ではすでに伝説に近い存在だが、マックィーンが描きたかったのは時代の流れに付いて行けなかった人物像。無法がまかり通った開拓時代を生きたライフルの達人も、需要が無くなると居場所も無くなる。本作の放牧牛の見張り番のように特技を活かせる仕事もあるのだが、やり方が時代に適合しないことを証明するのが本作のストーリー。その視点が残酷だ。決して凶悪な人物ではないが、怒りに任せると絶命した者にも銃弾を撃ち込み続ける描写に本質が顔を覗かせる。このあたりの「感覚のズレ」の演出は上手い。やがて無実の罪で牢屋に繋がれる。そこから遠望する山並みに何かを感じて脱獄を計るのだが、それは「パピヨン」が目指した自由とは全く異質の解放への希求だった。彼は何かを目指して逃げたのではなく、規律と道徳が整い始めた「西部」から逃げたのだ。逃走は敢え無く失敗に終わるが、観ている側に失望感はない。それが前方に目的を持たない逃走だから。そして、本人もそのことを自覚していたと思える。裁判や絞首刑に臨む態度には時代への諦観がありありと浮かぶ。戦国時代に遅刻したのが宮本武蔵なら、西部開拓時代に取り残されたのがトム・ホーン。武蔵は多くの人の助けを得て剣を筆に持ち替えたが、トム・ホーンを助けてくれる人はいなかった。一世を風靡しながらも、廃れて行った男の哀れが滲む。「タワーリング・インフェルノ」以降、本作と「民衆の敵」「ハンター」の三作にしか出ていないマックイーン。Wikiには「カッコーの巣の上で」「遠すぎた橋」「未知との遭遇」「地獄の黙示録」などの主演オファーを断ったと書かれている。出演した作品と断った作品のを並べると、彼の心情が見える気がする。映画の魅力のひとつであるスペクタクル感を捨て、じっくりと「人」を演じようとした。稀代のアクションスターは、次のスタイルを確立する前に世を去った。 【アンドレ・タカシ】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2010-12-15 22:38:00) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 貫禄がありすぎて逆に怖いマックィーンですが、やはりガンが体を蝕んでいたんでしょうか、アクションはかんなり抑え目です。実際のトム・ホーンは怒ったら自分を抑えられないようでそれを上手くマックィーンが演じてました。別に盛り上がりとかもないので彼の映画としては物足りなさがあるしすんなりと死刑を受け入れるのもなんか納得いかないけど最後にお守りを写すショットがとても印象的でした。 |
6.《ネタバレ》 トム・ホーンがバリバリ活躍していた頃のエピソードが全く無く「彼がかの伝説の・・・」と説明だけで見せられても、何だかピンときませんでした。少しでも活躍してた頃の回想があれば良かったかなと思いました。それと下の方も仰ってますが、法というものに全く無縁の所にいた男が、濡れ衣で罰せられそうになった所のトム・ホーンの心理描写はもう少し丁寧に描いて欲しかったです。尺も短いし、これだと単に「やりすぎた殺し屋が逆らわずに命を落としただけ」って感じで心に残るものが薄いです。 マックイーンも確かにくたびれた感じは否めませんが、トム・ホーンという、バリバリやってた人間がその腕を見込まれて雇われるキャラクター設定と違和感が無かったので、むしろ平坦な展開(脚本)と演出面に問題があったのかな?と思いました。 |
5.冒頭からラストまで映画全体を寂寥感が包んでいる。いかにライフルをぶっ放そうとそれは変わらず。とても地味な作りだが、それが逆に良い。 【MARK25】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-05-05 19:55:03) |
4.初めて観賞。昔ながらの好きな演出。派手さは無いが一つ一つの演出に主人公の性格、強さ、弱さが滲み出ている。実在の人物らしいが西部のガンマンの魂を感じる。でも漂うのは荒涼とした寂しさ・・。歳かな・・。 ウィリアム・ウィヤード監督はこれ一作のみ? 他のも観たいものだ 【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-04-27 19:13:29) |
3.《ネタバレ》 ハリウッドやスティーブマックイーンの名前自体、このころすでに、”伝説”(しかもあまり価値のない)になっていた気がする。タワーリングを最後にした、長期の休眠と時代は、彼を普通の”男”にしてしまった。作品は、ほぼ9割以上彼の”監督作”といってもいいだろう。その、虚飾や演出を欠いた(というか知らない)平凡、単調なつくりは、マックイーンとはいえ目を覆うものがある。むかし、かのスーパースターだった”マックイーン”はこの作品にはもういない。ここに出演している老ガンマン”トムホーン”を演じるひとは、むかし、”スティーブマックイーン!”だった、肺を深く病んだ、老人だ。そしてここに、老人は、この作品で、主人公を絞首刑にて殺すと共に、みずからの俳優人生に別れを告げる。そして彼は示した。この作品で、マックイーンがライフルを撃つ、多くのシーン、それだけで、、、、ただそれだけで、これから生まれてくる、数十数百のどんな男性俳優たちも、絶対にマックイーンにはかなわない!ということを必然的に決定している。もうマックイーンはいないのだ。 氷山が消えてゆくがごとく、ある種の”才能”も当然!消えてゆく運命なのだ。 代わりに今は、”アレキサンダーマックイーン”と”メジロマックイーン”がいる。(いません!) 追加!これの制作過程のハナシを知ったので書く。マックイーンの構想によれば、この作品は、3時間を超えてしまう、大河ドラマになってしまう物だったそうだ。しかし、出資側との折り合いがつかず、前半、ジェロニモを捕える戦いのくだりや、若かりし頃の話をすべて吹っ飛ばしたらしい。それでこういう作品にしあがった。それでわたしとしては、納得できたのでした。この作品はトムホーンの後半生で、しかもカットしすぎである。観客としては、絞首刑だけみせられてもしょうがないのである。(いくら、マックイーンフリークでもね)しかし、これ考えてみりゃ70年代の作品なんだよなあ。同じ年のイーストウッドがずいぶんと、若くみえてしょうがない。ブランド、ディーン、ニューマンそしてマックイーンと比べてイーストウッドはだいぶん落ちる。だからこそ、監督業をやったのだ。 いくら”ダーティーハリー”がおもしろくて、非常に優れていても、スティーブマックイーン”ブリット”にはかなわないのだ! 【男ザンパノ】さん [映画館(字幕)] 10点(2006-08-22 00:56:57) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 私がリアルタイムで劇場鑑賞できたマックィーンは、既にガンに冒されていたというこの作品と遺作となった『ハンター』だけである。映画に目覚めたのが遅すぎたことを悔やむと同時に渾身の2作品に間に合ったことを感謝したい。しかし、マックィーン自信が製作総指揮を兼ね、西部開拓史上最後の賞金稼ぎといわれたトム・ホーンを演じた今作の当時の印象は、まだ子供だった頃の浅い映画観のせいでお世辞にも良かったとは言えなかった。とにかく主人公の処刑で終わるというのがひっかかっていたのだと思う。でもその後、テレビやビデオで見ているうちに、イーストウッドの『許されざる者』よりも先に人殺しが正当化された西部劇においてその罪を描いていることに気づいた時、この作品は私の中で輝きだした。『ブリット』以降のマックィーン流リアリズムはアクション映画を地味にしているところがあるが、だからこそ主人公の動きのひとつひとつが重みを増し、作品に深みを与えているところもある。そして『ハンター』同様に、主人公の生き様がマックィーンと被る。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-11-01 16:15:02) (良:1票) |
1.トム・ホーンの仕事っぷりは確かにやりすぎでしたね。死んだ人間を何回も撃つのはちょっと... 【ケンジ】さん 5点(2003-03-28 00:56:51) |