5.《ネタバレ》 本作の監督エドウィン・L・マリンという人はお初でしたが、メガホンをとった作品が少ないのか日本で公開された作品が少ないだけなのかは分かりませんが、いろいろと周到さが感じられる作品という印象でしたので、この人の作品をもっと観てみたいと思いました。
ストーリーは少々混み入ったところがあり複雑な話ではあるものの、トントン拍子で進んでいくような軽快さも兼ね備えた内容でしょう。
複雑なのは、牧場の利権問題に関する話が特にそうで、登場人物が多かった上に人間関係が把握できないまま手紙を読むシーンが出てきてしまったりして、最後の方は雰囲気で流れを読み取る感じになってしまいましたが、なかなかよく練られた形跡を感じ取ることができたと思います。その一方で、KC牧場へ急げ!みたいな感じで慌ただしく馬を走らすシーンや、牧場に着いた時にタイミングよく相続の話をしていたり、唐突にポーカーを始めたりといったテンポの良さというか荒削りな一面も感じられました。
また、画面作りの方もこれまたしっかりと計算されたところが見受けられたのですが、料理をサーブする時の指、ガラスや鏡を使った演出、馬車が勢いよく走り始めた時に手を窓枠に添える動き、馬車がUターンをする時の砂塵が舞うショットなど、どれも微妙なものばかりですが、ポーカーのシーンで階段を降りてくるジョン・ウェインの姿を目で追う鉄火娘の弟の表情と、ラストで目だけでキスシーンに誘うジョン・ウェインの演技が特に印象深く、目線に至るまでもしっかりと演技指導をしたエドウィン・L・マリンという監督には敬意を表したいと思います。