1.初っ端から真田広之が銃弾の嵐を受けるように、登場人物の死も数限りない。
死臭漂う作品でありながら、一方ではコミカルなギャグも満載であるという辺り、
まさに出鱈目である。
が、そうした渾身の荒唐無稽こそが鈴木則文の魅力だ。
延々と続く追走、追走がまるで退屈にならないのは街中に
飛び込んだ大胆なゲリラ的ロケ撮影に漲るパワーと意欲ゆえである。
国内外、豊富な雑踏ロケーションでのアクション撮影には大胆さだけでなく
綿密な準備と段取りが必要なことだろう。
高層ビルの合間を素手とロープで昇り降りし、塀を飛び越え、断崖からジャンプする。
映画は様々な高低の装置を創り出し、垂直のアクションを展開する。
その個々のアイデアから積み上げられた逃走シークエンスであるがゆえに
観る者を飽かさず、俳優達がそのアクションを命懸けでこなすがゆえに
感動的でもある。
真田広之の運動神経、反射神経の素晴らしさ。それらは今現在の彼の活躍を
大いに納得させる。
断崖から落ち、波間に浮かぶ志穂美悦子の亡骸。
彼女を包む鮮血の「本物らしくない」鮮紅色。映画の赤である。
千葉真一の見せ場作りも抜かりない。