★6.いや素晴らしい。この映画に減点要素があるとしたら、鶴田浩二の髪型が何となく変、ってことくらいじゃないでしょうか。 任侠映画の嚆矢とも言われる作品ですが、東映時代劇路線からの橋渡しのような作品でもあり、趣きがあります。暗めの映像、雨や雪、岩に砕ける波。そして随所で用いられるクレーン撮影、画面がビシっとキマります。 さらには何と言っても印象的な、鶴田浩二の横顔。やっぱり髪型が何となく変。ってのはどうでもよくって、耐える男の横顔が、いい。 健さんが若い。後の作品のような寡黙な役どころではなく、一本気の若者を熱演して、健さんらしからぬあんなことまで・・・。 月形龍之介がまた、いいんです。元・侠客の吉良常。定年後のサラリーマンみたいですが。飛車角の漢気に惚れる彼もまた、充分に惚れられる存在となっています。 ラストの坂は、任侠映画屈指の名シーンでもあり、任侠映画の型がまだなかった初期作品ならでは、とも言えそうです。 【鱗歌】さん [インターネット(邦画)] 8点(2023-02-12 10:13:59) |
5.《ネタバレ》 健さんつながりで観てみました。このテのものは詳しくわからないのですが、超若い健さんが新鮮、かつ今現在の雰囲気がおそらく固まってない(どうもまだブレーク前みたいらしいです)貴重なお姿を拝見できました。またこのカテゴリー?のものを観てみようとオモイマスハイ 【Kaname】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-03-03 19:54:23) |
4.《ネタバレ》 以前に永島敏行主演の同じ原作の映画は見ているが、やはり飛車角を主人公にしている本作のほうが面白いし、東映がその後、任侠映画で一世を風靡することになるその原点の映画であることにも感慨深さを感じる。沢島忠監督は錦之助や美空ひばり主演の明るい時代劇の印象が強いので、見る前はどうかなと思う部分もあったが、こういう題材でもそつなくこなしていて安心して見ていられる。本作から既にのちのパターンは出来上がっている感じだが、東映最初の任侠映画であることもあってか、まだその色は全面には出ず、どちらかと言えば文芸メロドラマのような感じ(沢島監督もメロドラマのつもりでやっていたと語っている。)で、東映任侠映画を見慣れていると、物足りなさも多少あるかもしれないが、その分、見やすさもあり、また格調の高い作品に仕上がっている。飛車角を演じる鶴田浩二はもちろんカッコイイのだが、月形龍之助演じる吉良常がそれを上回る存在感を放っており、カッコよさも飛車角以上で、この前見た「組織暴力」での悪役も印象的だったが、一線を退いた老客という設定が晩年の月形龍之助本人と被るところもあるのか、この映画の吉良常に月形龍之助というのはピッタリな気がした。宮川(高倉健)がおとよ(佐久間良子)に無理やり抱き着くシーンでは宮川を演じるのが、まだ本格的にブレイクする前の高倉健というので、その後の高倉健のイメージからすると少し違和感を感じてしまうのは仕方のないところ。その宮川が単身殴り込んで殺されるという展開だが、高倉健が任侠映画でこういう役回りなのは逆に新鮮だった。で、この映画の一番の見どころは既に書かれている方もおられる通り、ラストシーン、思わず、ええ、ここで終わり・・・と思ってしまったが、止めるおとよを振り切って宮川の仇討に向かう飛車角をラストシーンにすることで、余韻がすごく残るし、沢島監督の言葉どおりに、ああ、なるほど、これはメロドラマだなと改めて感じることができる。一応、続編も見るつもりだが、あまりに素晴らしいラストだっただけに、果たしてどうか。いずれにせよ本作はこれから始まる東映の新しい時代の到来を告げるのにふさわしい傑作と言える一本だったことは間違いない。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2019-06-28 00:54:22) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 一線を退いたという設定であるにせよ吉良常のような処世術もあったと言うことを考えれば、飛車角の進む道は一途というよりむしろ考えることを放棄しているかのよう。21世紀もだいぶ過ぎた今に思えば、不条理もしくはコントネタ。一つの場所をじっくりと大事にする吉良常の方が、一宿一飯の義理なんてもんであっちこっちふらふらしている飛車角よりずっとかっこいいぞ。しかし。本作の見所はラストシーン。へー、ここで終わらせるの?、と思いましたが、おとよの待ち伏せしている「あの場」に飛車角がおもむいたところで、この話は終わっているんですもんね。予定調和な進行を超えるカタルシス。これ書きながら、ジワジワ妙な余韻に浸っています。この余韻は「続」以降を見ると台無しになってしまいそうなので、観ないことにします。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 5点(2015-11-15 19:04:38) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 初見。描かれる義理と人情。人情が三角関係のメロドラマであったが為に二つを秤にかける切なさがあまり感じられなかった。生き残る健さんしか見た事がなかったので人力車もろとも放り捨てられた最期に仰天。同様に放り捨てられるであろう鶴田浩二の最期を想像させるラストショットに加点。 |
1.《ネタバレ》 <原作未読>「時代劇の東映」が「任侠映画の東映」に変わるきっかけとなった作品だそうで、さすがに面白かった。この手の映画はほとんど見てこなかったから断定的には言えないが、恐らく後の作品に比べて暴力性は控え目なんじゃないかな。だからか見やすい感じがした。映像もなかなか凝っていて上質。時代設定は大正時代で、その古い町並みに鶴田浩二、高倉健、佐久間良子、そして月形龍之介がよく映えること。死ぬほど好きな女を不幸にしてまでやらなきゃならない事がある…。そんなやくざの悲哀を描いた傑作。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-05-09 22:38:59) |