1.《ネタバレ》 シリーズ第9作。今回は網走で刑期を終えて九州へやってきた橘真一(高倉健)が鬼寅(嵐寛寿郎)が働く不良少年の更生施設で働くことになるところから話がはじまり、刑務所帰りの真一が不良少年たちを更生させていく話・・・にはなっていないのがさすがにこの時期の東映の健さん映画。ストーリーとしての見どころは施設を脱走した一人の不良少年(谷隼人)と真一の友情なのだが、これがやっぱり印象に残るものになっていて良いアクセントになっている。川津祐介がメインゲストとして出演していたり、敵役のヤクザの親分を演じるのが東宝専属の田崎潤だったりと、東映ではなじみのない俳優が出演しているのが新鮮に感じられた。(この時期の田崎潤の他社出演は当時の邦画の斜陽を感じなくもない。)不良少年の一人を演じる石橋蓮司も若いが、不良少年たちの中に「男はつらいよ」シリーズで博を演じる以前の前田吟の姿があるのはけっこう貴重だ。それともう一つ、いつもは主人公の仲間として出ている印象が強い田中邦衛がほんのチョイ役なのは意外に感じる。(久しぶりにこのシリーズ見るからかもしれないが。)ラスト、威勢のいいだんじり囃子の聞こえる中で殴り込みが行われるのは演出としてなかなか効果的だったと思う。