2.ロシア映画初のIMAX・3D映画でありロシア映画史上最大のヒット作らしいです。監督のフョードル・ボンダルチュクは名前からわかる通りあのセルゲイ・ボンダルチュクの息子さんらしく親子揃って超大作を任されるポジションにいるみたいです。序盤から水面を歩く兵士だったり火だるまになりながら突撃する兵士だったりリアリティよりも幻想的な絵作りを志向しているのかなという感じです。屋外のシーンでは終始灰が降り続け、屋内では部屋の隅々まで灰が積もっています。爆撃を受けた後は確かにこうなるのでしょうが、数日経過しているはずなのにいつまでも灰が降り続けているので逆に不自然で絵として映えるから作り込んだだけなのかなと思ってしまいます。戦闘シーンではスローモーションが多用され銃を持ってるのにやたら接近して殴りかかっていくので正直馬鹿っぽく見えます。紀里谷和明やザック・スナイダーが戦争映画を撮るとこうなりそうです。5人のソ連の兵士が一軒のアパートを守るために奮闘するというお話ですが、説明不足なところが多くロシア人でないと正直よくわからない部分が多いです。スターリングラード攻防戦の激戦区となったパヴロフの家という史実をベースにしたフィクションのようですが、舞台がほぼアパート一軒のみで進むので単にスケールが小さいだけに感じてしまいます。主人公たちのバックボーンは直接映像としては出てこずナレーションのみで語られるのも不満点です。ロシア人女性を愛人に持つドイツ軍将校はハリウッド映画にも出演するドイツ人俳優トーマス・クレッチマンが演じており、ロシア側だけでなく彼の登場する場面にも結構な尺が割かれております。冒頭がなぜか東日本大震災の際にロシア人がドイツ人の被災者を救出する場面で始まるのも含めてロシア人のドイツ人に対する何らかの感情が描かれてそうですがそこもはっきりとは伝わってこないです。