★24.この映画に感じる、映画音楽「として」の強い印象。ここでいう映画音楽とは、作品内で引用されるヴェルディ(レクイエム)やベートーヴェン(第九)だけを意味するのではありません。映画の背景に流れるすべての物音、あるいは静寂までもが、音楽なのですね。と、これだけ言うと何だかジョン・ケージの受け売りみたいでアホ丸出しだけど、どっちかというと、私はこの映画「音楽」から、ルイジ・ノーノの作品などを思い出してしまうのです。断続する微かな音と静寂。この作品を表現するのに、「映像的な音楽」と言っても当たらないし、「音楽的な映像」と言っても違和感がある。水、炎、霧といった原宗教的な映像と、さまざまな音、微かな音が織り成す独特の流れの世界。この映画がイタリアを舞台にしているのは、「音」としてイタリア語の響きが必要であったから、とすら思えてしまうのですが、これはさすがに穿ち過ぎでしょうか。そして、その流れの先にあるのは、静かなる高揚と、あまりにも美しい徒労。・・・・・・そういえば、この映画「音楽」より思いが馳せるルイジ・ノーノ作品のひとつ、彼の晩年の作品に、以下のようなものがありました。『進むべき道はない、だが進まねばならない・・・アンドレイ・タルコフスキー』 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-04-20 16:26:44) |
23.《ネタバレ》 ストーリーは大まかにしか分からなかったですが、映像の美しさで最後まで観ました。家に閉じこってたオヤジが自殺するとき、飼ってたワンちゃんがそれに気づいて、吠えた場面で、この監督、普通の分かりやすい映画も撮れるんじゃないか、と思いました。最後、詩人とワンちゃんが佇んでた広場の場面で、カメラが遠ざかっていくと、実は建物の中、ってとこがポイントなんだろうな、と思いましたが、ロシアの歴史を知らなかったので、それが何を意味するのか、分からなかったので、今、少しづつ、勉強してます。そして、もう一回観ようと思ってます。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-02-18 18:25:57) |
22.《ネタバレ》 タイトルが魅力的なこの作品。 タルコフスキーの作品は、全ての内容を完璧に理解することはとてもできないけれど、 しかし、その映像の美しさは心の奥で印象に残る。 その美しさのひとつは「水」や「炎」「風」「緑」といったエレメントを 生き生きと描き出しているからかだと思います。 それらがまるで生きているかの様に不思議な力を放っている。 特に、水の透明さが素晴らしく、その向こうに見える藻や石像などがとても奇麗で神秘的に映し出されている。 石畳の建物(そこに様々な形をした窓や階段など)がとてもいい雰囲気を出している。 ガラスの繊細さも奇麗に描かれていて、 水の入った色とりどりのビンが所々に配置されていて奇麗だ。 水浸しの建物で、その水面を背景にして、 本が燃えているシーンなんて、とても不思議な美しさがあると思う。 温泉も印象に残る。「温泉のお湯」は、「冷たい水」とは少し違ったものとして表現されていてそれが面白いと思いました。 「水」は透き通っていて透明感があるけど、 「お湯」には臭いがあり、湯気が立ちのぼり、不透明に濁っていて、しかしとても暖かさがある。また、この「湯気」が独特の生命感をはなっている。 演説を聞いている人々は静止していて、バラバラに配置されているみたいだけど、 それが何故か全体的にバランスが保たれていて統一感がある。それが独特の静かな雰囲気を放っている。これがまた美しい。 最後の巨大な教会(あれはどうなってるの?)も、圧倒されるほどの神々しさだった。 この巨大感、この世離れした雰囲気、この崇高さ、 大袈裟過ぎかもしれませんが、(この場面の一瞬だけ)もう人知を超越しているように思う。 【ゴシックヘッド】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-12-04 02:42:52) |
21.蝋燭を持って歩くシーンは確かに素晴らしいのだが・・・ 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 4点(2007-09-03 16:28:28) |
20.映像はとても綺麗で良いが内容がとてもつまらない。憂鬱、陰鬱なこの雰囲気で淡々と映像。この映画の郷愁は監督自身の郷愁であることは十分想像がつくが、そんなものを延々と見せられても堪らない。 【MARK25】さん [CS・衛星(字幕)] 2点(2007-06-17 21:31:27) |
19.綺麗な映像。夢の世界にずっといるかのよう。世界の救い方も美しい。 【Vanilla】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-12-16 20:36:25) |
18.氏の作品では、一番わかりやすい作品でした。もう、タイトルそのままの作品です。詩的な美しい映像が素晴らしいです。でも、やっぱり雨音の響きを聞くがごとく眠くなってしまうのは否めないのです。 【としこふ】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-07 22:44:26) |
17.タルコフスキー定番の、馬、犬、水、雨、火といったものは、タルコフスキーにとっては、聖なる世界、超越的全体への水先案内人なのだろう。それらをイメージし、接することで、タルコフスキーは、聖なる世界を感じ取ることができるのだ。心理学的に言えば、それらは「移行対象」ともいえる。、、、、、だが、僕にとっての「移行対象」は擦り切れた毛布だったり、降りしきる雪だったり、生暖かい春の風だったりする。、、つまり、犬や馬を見せられても、聖なる世界とのつながりなど微塵も感じられない。だから、タルコフスキーの映像を見ていると、例えて言えば、子煩悩な親父が丹誠込めて作った子供の成長ビデオを、無理に見せられている気持ちがしてしまう。もちろん、子どもの成長ビデオといっても、ロングショットが使われていたり、嗜好を凝らした誕生パーティが描かれていたり、映像として面白いものもあるに違いない。だが、その子どもに対する愛が共有できなければ、成長ビデオは、相変わらず、他人の私的な持ち物にとどまってしまう。、、、、、、つまり、僕は、タルコフスキーの聖なるものの世界に同感できない。だから、この映画は、タルコフスキーという他者の自慰的感情吐露の私物にしか思えないのだ。 【王の七つの森】さん 5点(2005-03-18 09:36:39) |
16.なかなか話しにはいりこめず困りました。しかし、話が進むにつれ美しさなどいろいろと衝撃的な場面も垣間見ました。 【アンリ】さん 6点(2004-09-13 10:10:40) |
15.《ネタバレ》 睡魔に襲われながらも、つまらないわけではないという不思議な映画。狂人ドメニコになぜか惹かれ、ラストで殉教者として英雄的に死ぬはずが、音楽の変調のため一変、狂人として滑稽に死んでいったドメニコの姿に虚無感を感じずにはいられません。ただ、その後の蝋燭を持って温泉を渡る主人公の姿に虚無感は消えないまでも、微かな希望を持つ事が出来たのが救いです。 ノスタルジア、個人的にはかつて神を信じていた時代に対するノスタルジアを映画から感じました。 【ペリエ】さん 6点(2004-03-07 20:38:20) |
|
14.蝋燭を消さずに温泉を渡りきれたら世界が救われる?そういう妄想をよく子供時代にしたものだ。そういうぶっ飛んだ空想を理解しようとするのは無駄。こんなところに政治性やメッセージ性を探りださなくても、この作品は十二分に名作に値するものだと思う。これは映画というよりも動く絵画だ。とにかくタルコフスキーは表現者として、表現するという猛烈な動機に駆られてこの映画を完成させた。我々凡人は美術館で絵画を鑑賞するごとく、その神々しさに浸ればよいのではなかろうか。途中で眠くなるのは、BGMがほとんど無いから。あまりにも静寂すぎるから。しかし、美術館でも、行列の波におされゾロゾロと見るだけでなく、真ん中のベンチに座って休みながら、遠くからボーっと眺めることもオツなものだ。この映画だって、途中で寝ても一向に構わないと思う。タルコフスキーのノスタルジーについて予備知識が無ければ、メッセージを理解することなど困難だ。そんなことより、寝てしまったら、途中からまた見直せばよい。見終わっても、巻き戻しながら好きなシーンを見ればよい。この映画は1カットごとに、それだけのパワーがある。思わず画面に見入って、跳ね返されてしまうかのようだ。 【神谷玄次郎】さん 9点(2004-03-06 19:36:18) (良:1票) |
13.《ネタバレ》 個人的にはタルコフスキーの最高傑作にして人類の至宝。ロシアを離れた作家が、故郷であるロシアについて、深い絶望を込めて描いた作品。ストーカーの生まれ変りである狂人は焼け死に、その希望は消える蝋燭の火として描かれる。1+1=1。たまにしか観ませんが、観るたびに痺れる映像の美しさと深さは比類がない。ラストの廃寺に立ちたくて、イタリアまででかけました。 【xr4000】さん 10点(2004-02-20 23:33:28) |
12.わたしたちはもっとノスタルジアつまり郷愁というものを真剣に見つめなくてはなりません。いまこの言葉はただちに否定的なものとして拒否されるものになっています。たとえば、ノスタルジーってことを言いたくても、言い訳なしでは口にできない雰囲気があります。たしかにポジティブなノスタルジーは危険ですが、そんなものはじつは語義矛盾。下のほうでも触れられていましたが、ノスタルジーは絶望と表裏一体なのです。瞬間的な絶望感で爆裂するのではなく、持続的な絶望と折り合いをつけるためにも、この作品を前に耐えていく力をつけなくてはなりません。これからの人類は。さて、その先にあるのは宗教なのですが。。。 【バッテリ】さん 10点(2004-01-16 17:36:34) |
11.初めて見た時、採点不能だった映画。再度鑑賞して言わんとしている事は掴めたが、相変わらず「分からない」。もう一度見るかどうかも「分からない」。 【STYX21】さん 6点(2003-12-04 22:51:10) |
10.《ネタバレ》 まさに映像芸術である。タルコフスキーの感性で捉える映像表現は圧巻である。この映画の主題は第一に故郷への郷愁であるが、それはやはり、タルコフスキー映画全般のテーマである「時間」からくるものである。主人公が苛まれるロシアへの郷愁が、現実と過去、夢や回想の中で美しく描かれている。特に圧巻なのはホテルのベットで眠る主人公が夢へと移行していくシーンを捉えたショットである。ここでは、非常に高いレベルで、雨や、現実と過去の媒介者を表す犬、固定画面からゆっくりとしたズームを用いることによって、すんなりと現実から夢への移行が表現されており、実に素晴らく、神懸かりと言えよう。もう一つの主題は贖罪であるが、このテーマはドメニコとアンドレイの精神的血縁関係を通して直感的に描かれている。ドメニコは世界の崩壊から家族だけを守ろうとしたことに罪の意識を感じている一種の狂人であるが、精神的血縁関係を見出したアンドレイに蝋燭をもって温泉を渡ることで世界を救済してほしいと願う。そして、了承したアンドレイが蝋燭をもって温泉を渡るのだが、このショットがタルコフスキー映画の中でも1,2を争うほど、時間のリズムをうまく表現した映像といえるのではないか。このシーンの前のドメニコの嘲笑的な自殺のシーンと打って変わって、長回しの効果もあり、時間の緊張が極限まで伝わってくるシーンであると同時に、火のイメージがまた素晴らしい。ここでの火は強くもあり弱くもあるものという火の特性が完璧に視覚化されている点がすごい。そして、この儀式に成功したアンドレイに起こるイタリアとロシアという現在と過去の奇跡の融合、これはまさにタルコフスキーの魂の叫びである。時間というものがある限り、絶対的に故郷を求める気持ちを埋めることができないというタルコフスキーの心の絶望を表現したシーンであろう。映画ではノスタルジーは満たされるが現実で決してノスタルジーは満たされないものだということを強く感じさせられた映画であった。 【たましろ】さん 10点(2003-10-25 00:01:45) (良:2票) |
9.美しい。本当に美しい作品です。そして厳しい。厳しいメッセージの作品です。「世界の垣根がなくなれば…」とブツブツつぶやかれる終末論。難解ではありますが、その言葉の奥に潜むメッセージは20年経った今だからこそ理解できるものではないでしょうか。 【ももたろう】さん 10点(2003-05-19 19:41:57) |
8.タルコフスキーの中では最高じゃないでしょうか??広場のシーンは心に残り続ける。 【さみー】さん 6点(2003-04-21 21:41:46) |
7.マジよくみつけてくるよねあんな場所。神秘にも程がある 【えたひにん】さん 9点(2003-03-25 00:22:08) |
【コモット。】さん 2点(2003-03-12 23:52:30) |
【儚犬】さん 8点(2003-03-09 03:01:26) |