7.《ネタバレ》 まず長い【前置き】から。【日本初のアクション女優】である志穂美悦子さんの【初主演作】ということで鑑賞。実は私が志穂美さんを【日本初の…】と知ったのは、つい1か月ほど前のこと。そもそも私が志穂美さんを認識したのは、小学校高学年の頃、迷作【宇宙からのメッセージ:1978年】のエメラリーダ姫からです。TVで宣伝番組を観ていたとき、傍らで母が「あの志穂美さんがお姫さま?」と苦笑したのが、当時は腑に落ちませんでした。私はそれ以前にTVシリーズ【キカイダー01:1973~74年】で、ビジンダーの人間態・マリ役を観ていたはずなのですが、当時の夜8時からは、他局の某お笑い番組のほうをつい観てしまっていたからか?【マリ=志穂美さん】と認識できていなかったのです。その後も数年間、志穂美さんの【アクション女優】の面は観ないままでした。
そして20歳頃、たまたま眠れず深夜にTVをつけたら【胸に弓矢が刺さり、血まみれで倒れている男性のカット】が一瞬。次に「兄さん…」と悲しそうに見つめる女性のアップが…兄役の俳優さんは識別できなかったものの、女優は志穂美さんとわかりました。そして落とし穴に…の直後、いったんTVを消しました。私の苦手なバイオレンス系の作品と思ったからです。新聞欄で映画作品だと確認し寝ようとしたものの眠れず…十数分して再びTVをつけたら、悪の首領との最終決戦の場面。青空をバックに如何にもワイヤーアクションっぽく空中高く舞い上がり、白い服を真っ赤に染めながら勝利!しかしお兄さんを救えなかったからでしょう、涙を流しながら夕陽を見つめてエンド…「お袋がこの映画を観たとは思えないが、こうした作品に出ていると知っていれば、お姫様役に苦笑するのは無理ないな」と実感したものです。
当時、我が家にはビデオデッキが無く(レンタルしていたら観ていたかも…)、その後も志穂美さんをTVドラマ等でお見かけしたものの、アクション主体の内容ではありませんでした。要は、私が【アクション映画・ドラマ】を観ていなかったということのようです。
あれから30年近く。たまたま私の中で【宇宙からのメッセージ】のブームが来まして…インターネットで調べるうちに、志穂美さんが【日本初の…】であり当作品が【初主演作】と知って「おお!あの映画か!」とつながりました。昭和に生きながら、志穂美さんの功績を知らないままでは申し訳なく、レンタル店で取り寄せ可能とわかり、やっと鑑賞したわけです。
感想は、率直に面白かったです!足蹴りの高さといい、壁を両手両足で昇ってしまう身のこなしといい、志穂美さんの体術・身体能力には惚れ惚れするばかり。当時19歳だったのに、まさに【日本初のアクション女優】に相応しいオーラを感じました。
ハッタリじみたテロップ付きで紹介される刺客達が、次々と倒されていくのも痛快。ただし【南半球空手チャンピオン:エバ・パリッシュ】は、結局、後半は登場せず。何故…?
なお、兄役が宮内洋さんとわかり複雑な気持ちにも…。前半の囚われの身になる場面では、音楽が菊池俊輔さんだけに【仮面ライダーⅤ3:1973~74年】と重なりました。結末はわかっていても「頑張れ、士郎さん!こんなヌンチャク男に、僕らのV3が負けるはずがない!」と、子供の頃の気持ちに戻って応援しちゃいました。そして開始68分後に、約30年前に観たあの血まみれのカットが…「宮内さんは、V3の頃から満身創痍の演技は上手だったと思う。それでもV3なら怪人をやっつけるんだけど…この作品でも、妹をかばって闘い、華々しく散ってほしかったな…でも違う役だもんな。見事な最期なのかもな…」と自分を納得させました。
そして悪の首領・角崎との最終決戦。【怯えながら追い詰められる姿】は、30年前に観たときは気づかず、それまでの振る舞いとのギャップに「さすが天津敏さん。悪役らしい見事な演技だ」と感じ入りました。
ところで、当時の東映にありがちな【エロ・グロ場面】は承知の上で観たものの…「アクション女優のパイオニアの雄姿を、現在の若い人達にも観てもらいたい」と考えたとき、特に女性の皆さんには、エロい場面はネックとなり勧め難いかな…と思います。まあ、観る人はいないかもしれませんが(笑)。
さて、採点ですが…いわゆるB級映画なのでしょうが「皆で悦ちゃんをスターにしようぜ!」といった山口監督を始めとするスタッフさん達の熱意が伝わってきましたし、個人的には【キカイダー01/仮面ライダーV3】の放送は同時期で、その終了後に志穂美さんと宮内さんが当作品に出演されたことも感慨深いです。【エロ・グロ場面】で好みが分かれるとは思いますが、当サイトの採点基準である【見た後、率直に面白かったぁ…って言える作品】として8点を献上します。