14.《ネタバレ》 公開された1994年は、江戸川乱歩の生誕100周年(1992年に完成したようですが、公開は100周年に合わせたようです)。松竹系で大々的に宣伝・公開されたRAMPO(黛りんたろう版/奥山和由版)に物足りなさを感じていた私にとって、当作品と、押繪と旅する男(川島透監督)の予告編は、非常に怪しげな雰囲気に満ちているように思い、大変インパクトがありました。小劇場レベルの公開でしたが、早速、観に行きました。 「押繪と旅する男」も当作品の両方とも、美術担当は同じ池谷仙克さん(ウルトラセブンの後期の怪獣をデザインされた方!)なのですが、映像から醸し出される江戸川乱歩の怪しげな雰囲気(と私が感じているもの)は、当作品のほうが圧倒的に上のように思いました。さすがは実相寺監督とのコンビは最強だと思いました。思惑通りに“思い”を実行していく場面にもグイグイ引き込まれました。それだけに、他のレビュアーさん達がおっしゃる通り、エロいシーンを入れずに原作通りの場面を描くだけでも、十分、怪しげな世界を伝えることは出来たように思います。それでも、原作を大胆に脚色・再構成した「押繪と旅する男」と対照的に、原作を忠実に映画化した作品かな…と思っています。 余談ですが、この作品は「屋根裏の散歩者」とカップリングで公開されたためか、サントラCDも両作品が同時収録されていました。 さて、採点ですが…観てから20年以上も経つものの、江戸川乱歩の原作を忠実に映画化した作品として私には強烈な印象が残っています。エロい場面があり、内容もマニアックなので「誰にでも…」とはいかない点を差し引き、個人的に気に入っている「押繪と旅する男」と同じく8点を献上いたします。 平成30(2018)年2月25日(日)変更: 【イニシャルK】さんの【江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間:1969年】のレビューを拝読したついでに自分のレビューに目を通したら…冒頭の文面の「RAMPO」が「RAMO」だったことに気づいたので「P」を入れて修正しました。その一環として当作品の「RAMO」の箇所も「RAMPO」に修正…それだけの変更です。悪しからず… 【せんべい】さん [映画館(邦画)] 8点(2016-01-31 19:54:07) |
13.どこか芸術的で、耽美的。昔見たロマンポルノよりもずっとエロティシズムに溢れた映画だった。狂っていく宮崎ますみもすごいし、AV出の加賀恵子がまた良いし、六平直政に至っては他の人では考えられない。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 6点(2013-08-29 20:53:32) |
12.古びた鏡の上を這っていくデンデンムシ。プリズムの光の反射する廊下。ものうげに流れるタイスの瞑想曲。それぞれの部屋の痴態はそれぞれの部屋で閉じていなければならないはずで、裸で廊下に出てきたりしてはいけない。これはいわゆる「愉快犯」のハシリですな。殺したい積極的な意志があるわけではなく、殺せる状況を確認したいという感じで、スーパーの飲み物に毒物を入れたりするアレと同じ動機。見るだけでなく、関わることもできることを確認したい天井裏の男。斜めの構図は無理して入れてる。窮屈感ってことか、普通使われる不安感とはちょっと違う。昔のこの人の構図の凝りようは、それなりの納得に通じるものがあったが、このころはもうそれが自己目的化しているようで、味わいとしては薄い。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 5点(2011-02-01 09:54:45) |
11.乱歩のファンで中でも「屋根裏の散歩者」と「人間椅子」を偏愛するうちのヨメさん曰く、乱歩作品の映画はエロいから嫌い、らしい。たしかに本来上記の二作品はエロティックな香りこそ漂うもののエロティックな描写は無い(「人間椅子」はちょっとあるか・・)。怪しい世界を覗く話ではなく、覗き見る行為自体に怪しさがあるのだ。ただ客寄せなどと安易な考えでエロが付け足され描かれているのではなく、やはり乱歩のイメージとしてエロは外せないというのがあるのかもしれない。それにしたってここまで変態が集まるアパートもないだろう。それにエロシーンがなくてもオールセットと独特の光の使い方をする実相寺ワールドはそれだけでじゅうぶん怪しい。結果として原作に付け足された部分は宮崎ますみの部分も含めて全部蛇足に感じてしまう。三上博史がたまに見られるオーバーアクトがなく、怪しい世界に生きる主人公を好演している。あまりにイメージとかけ離れた嶋田久作の明智小五郎も意外に悪くない。 【R&A】さん [ビデオ(邦画)] 5点(2009-07-27 16:26:43) |
10.期待していたほどには、怪しい世界観が描かれておらず残念。 やはり江戸川乱歩モノは、小説で読んでイマジネーションを膨らませるのが一番なのかな。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 5点(2007-10-12 16:54:26) |
【うさぎ大福】さん [DVD(邦画)] 3点(2007-02-06 17:34:21) |
8.何事にも興味の湧かなくなった男が、下宿先の屋根裏から他人の部屋を覗く楽しみを知り、やがて屋根裏からの動機無き完全犯罪を目論み始める。大正14年の時点で、現在にもそのまま通じる倒錯したテーマを取り上げていた江戸川乱歩という人には感嘆せざるを得ません。しかし本作の見所はそういった部分でも、嶋田久作演じる事務所開業前の明智小五郎の名推理でもなく、観客を主人公(犯人)と一体化させる覗かれた痴態の数々。この実相寺昭雄の演出の方向性は、興味深いと言えば興味深いんですけど、面白さという点で、私には今一楽しめませんでした、5点献上。 【sayzin】さん 5点(2004-12-07 00:05:11) |
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7.仲間に連れられて、劇場で観た。二人で後悔したなぁ(遠い目)。何か、中途半端なんだよね。エロならエロに徹するとかさ。 【マックロウ】さん 3点(2004-06-30 20:33:32) |
6.江戸川乱歩はミステリー作家ではなく耽美小説作家である。パズラーではなくスリラーである。後年の少年探偵団のような子供向け冒険活劇とは異なり、「孤島の鬼」や「パノラマ島奇談」に代表されるような長編小説、そして「押絵と旅する男」のような短編小説の類いは、昭和初期のノスタルジアと人間の奥底に潜む怪しい本能を堪能するもので、子供が見るようなものじゃないのだ。そういった意味ではこの実相寺監督の「屋根裏~」と「D坂の~」は、原作の精神をもっとも忠実に表現したものと言える。こんなエッチな映画、テレビシリーズにゃできないですもんね。DVDやビデオ探しまくっているが、おそらく発売されていないんでしょ。また池袋の新文芸座でかかるのを待つしかないですか。 |
5.えっちだったけど見ちゃったよ。でも江戸川乱歩さんっていうとこれくらいは当たり前なんでは。明智小五郎が嶋田久作ってのもまたちょっと風変わりでいいかも。 【fujico】さん 4点(2003-10-10 18:21:22) |
★4.確かにエロい。でも実相寺らしさ出てた?・・・オレが物知らんだけなんだろうけど「ウルトラセブン」とそれ以外では・・・何せ「帝都物語」だしな。エロ目的ならAVへ。 |
3.まあ江戸川乱歩モノとしてはそこそこじゃないでしょうか。確かにエロの描写、そこはかとなく流れる陰の雰囲気はなかなかのものです。 【イサオマン】さん 6点(2003-02-26 23:13:16) |
2.退廃で陰のある昭和初期エログロに実相寺イズム炸裂!監督の最高傑作かも!色彩といいカットといい絶品じゃあ~!全ての乱歩マニアは見るべし!昭和初期好きも見るべし!同監督のD坂より、こっちの方がいい。 【秋刀魚】さん 9点(2003-01-06 16:00:14) |
1.何よりエロい!エロいけど官能的ではない。江戸川乱歩原作だそうな。確かに明智小五郎が登場して。一応、最後は推理らしいところもあるけど、勿論、これをやりたかった訳じゃないんでしょう? 【イマジン】さん 5点(2002-08-30 21:13:44) |