4.《ネタバレ》 映画化されるにあたり、原作は史上最高のコミック!との評判を聞いたので、読んでみたら見事にハマった。アメコミに全く触れていない僕でさえのめり込んでしまうような素晴らしい完成度だった。で、この映画版はというと、期待以上ではないけれどこれ以上は望めない、といった出来。
前評判でも散々聞いていたが、ディランの「時代は変わる」に合わせたオープニングには心底感動した。涙が出るかと思った。ヴェイトを除くキャラクター達の造形や細部にまで到る美術にも文句のつけどころがない。アクション、バイオレンスも『300』を監督したザック・スナイダーだけあって今回も良し。
しかしやはり製作費、上映時間ともに足りていないんだなぁという場面が見受けられた。原作の完成度が高過ぎて削る箇所が殆ど見当たらないせいだ。原作との最大の変更箇所であるラストのくだりもこれが原因なのだろう。僕もあの血みどろの惨状は映像で見てみたかった(こう言うと不謹慎だが)。予算があればザック・スナイダーのことだからあの惨状も怪物も見事に再現してくれただろう。ラストの変更によってヴェイトのキャラ造形も変えざるを得なかったのだと思う。あの少しダークなキャラであればキャスティングもマシュー・グードでも悪くなかったかと。
それ以外はコミックに含まれている資料などもうまいことまとめてはいたが、長年映像化不可能と言われてきたわけを実感した。
僕の場合原作を読み込んでから映画に臨んだため、人物の背景を勝手に補完しながら観ることができ、163分の長尺も全く退屈することがなかったが、その分映画単品としての評価があまり出来なかった。反省の意をこめてまっさらな状態でもう2回ほど観てみよう。このトンでもない再現度のおかげで、原作を読んでいながら原作と切り離して観れるかもわからないが。
真の評価はDVDに収録されるという3時間半のCrazy Ultimate Freaky Edition(すごいタイトルだ)で下さないといけないのかもしれない。