66.《ネタバレ》 内容は完全に子供向けですが、沢山の要素が詰まっていて、大人の鑑賞に耐える珠玉の物語です。
①ヒックという異端児が自らの個性、得意分野を生かし、最初のドラゴン使いになる。
②ヒックという弱者が、巨大ドラゴン退治をして、父親越えをする。
③ヒックという虚弱児は偉大な父親からはひどく疎まれていたが、最終的にお互いに理解者となり、仲直りする。
④ヒックという心優しい若者は傷ついたドラゴンを殺すことができず、助けてあげることによりドラゴンと心の交流が始まる。
⑤ヒックという兵器発明家はドラゴンの片尾翼を奪うが、ヒックも最終的に方足を失い、互いに補いあう関係になる。
⑥ヒックとうバイキングはドラゴンを敵と思っていたが、ドラゴンと交流を深めることによりそうではないことを知り、遂には村人の意識も変える。
⑦ヒックという鍛冶手伝いは自分の仕事がいやだったが、ドラゴンのためのものづくりをする中で、自分の職業が好きになる。
⑧ヒックという少年は好きな少女からは軽蔑されていたが、ドラゴン操縦能力を見せることにより相思相愛になる。
⑨ヒックという村の笑われ者が、一夜にして英雄となるワン・ナイト・サクセス・ストーリー。
ベタになりがちな王道ストーリーですが、キャラや世界観を巧く演出することによって破綻の無い感動物語に仕立てています。
◆もっとも感動したのはアニメの技術の向上です。ドラゴンの造詣や背景描写も素晴らしですが、何より飛翔時の浮遊感や疾走感がよく表現されています。本当に目がくらむような爽快な感覚を味わいました。目線が次々変わり、画面がリズミカルに変化するので見ていて楽しいです。ジブリアニメが古くなりましたね。監督はジブリファンなので勉強したのでしょう。
◆問題なのは巨大ドラゴンへの対応。巨大すぎて飼いならすことは不可能だったのでしょうか?いきなり襲ってきて、船を焼却しましたからね。ミツバチの女王と喩えられていましたが、ドラゴン達にとっては悪の独裁者ですね。ドラゴン以外の造詣にすれば問題をスルーできたのですが。
◆原作ではドラゴンを飼いならすことができて一人前で、ヒックは初めてドラゴン語を話せすようになりますが、本作ではヒックだけが飼いならすことに成功するように変更。これが効いてますね。ヒックの成し遂げたことがより際立ちます。