10.まだ若い監督(当時)が分かったような人生論を口にするな、って気もするんだけど、でもとにかく楽しんで作っているの分かってそれが楽しい。子ども五人も必要だったかな、とも思えるが、イタリアを回るにはこれぐらいがいいのかもしれない。『東京物語』を大袈裟にしたような話で、場末の医院ぐらいの幻滅がちょうどいいと日本人なら思える、多血質のイタリア人だともっと大仰な幻滅をしたくなるんだろう。私のノートには良かったカットがこまごま書いてあるが、一つだけあげると、娘が走ってきて階段のとこで(カメラは上にあるので上り始めのところで一度視界から消える)少女時代に代わるの。娘のスピード感がそのままで、実に鮮やかだった。イタリア映画は、フェリーニとかタヴィアーニとか話がどうのこうのより、良かったカットを記憶したくなるものだった、そういう監督のの最後がトルナトーレだったか。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2014-01-18 09:38:36) |
9.《ネタバレ》 観る前はもっとコメディ色が強いと思っていた。一方でトルナトーレ監督が普通にコメディは撮らないだろうとも思っていましたが、やはり本作もトルナトーレらしく人生のホロ苦さ、厳しさを見せ、本土に暮らす子ども達を訪ねる一人旅をする孤独なシチリアの老人の姿が哀しい作品でした。 特に列車の中で家族写真を落とす度に拾ってくれた人に延々と家族自慢を繰り広げていた彼が旅を終えて帰郷する最後の車中では実にそっけない受け応えをするシーンは辛いものがあります。今では子ども達は大人になりそれぞれに悩みや事情を抱え、妻もこの世を去っていますが、いつまでも昔の家族の姿を見続ける姿、子ども達は何の問題も無くみんな元気だと妻の墓前に報告するその姿は哀しかった。 その一方、冒頭で「親は子どもが小さい時には早く大人になれと言い、大人になるとずっと子どもでいてほしいと思う」というこの老人の台詞がありましたが、どれだけ年月が経ち状況が変わろうとも我が子を愛し誇りに思う気持ちが伝わってくるし、昔から変わらない一家の合図である口笛には何があろうともやっぱり家族なんだ、と感じさせてくれました。 【とらや】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2010-12-23 17:11:22) |
★8.《ネタバレ》 恥ずかしながら「ニュー・シネマ・パラダイス」の何十倍も感動してしまった。本作のマルチェロ・マストロヤンニが近視眼的な人物だとは思いません。息子の一人が「何でも直ぐに見抜く」と言っていた様に、子供達を愛してるが故に、わざと騙された振りをしてきたんだと思います。しかしそれ以上に、妻にも先立たれ、自分も先が長くないことを自覚している老人として、一生を捧げてきた子育てが失敗していたと認めたくない思いが強かったんだと思います。親にとっては子供が年老い、幸せに死ぬまでが子育て。「何をしたかも、刑務所の名前も言うな。いつ出てくるのかだけ教えてくれ」という台詞に、親の持つ無償の愛情を感じました。「子供達はみんな元気だ」とは、自分に言い聞かせる言葉だったのです、8点献上。 【sayzin】さん 8点(2005-01-11 01:11:22) (良:1票) |
7.親にとって、子供は永遠に自分の宝もの。大きく輝くことを願っているし、子供達も親を安心させたいと繕っている。でも、成人した子供たちにとっては、実生活は甘くはないし、日常に追われていると、故郷の親は過去のもの。触れてほしくない事柄も多いのですね。やはり、それが人生。「東京物語」のような世界共通のテーマを、改めてじっくり考えさせてくれる映画でした。シチリアと都会との社会の違いなども、興味深かったです。 イタリアを代表する男前マルチェロ・マストロヤンニがすっかりおじいさんになっていて、懐かしさを感じました。おばあさん役には、ぜひソフィア・ローレンを登場させてほしかった。 それから、訪ね回る子供たちが多いせいもあるけれど、観ていてちょっとダレました。この監督の作品は、つくりは丁寧ですが、ちょっと長めですね。 【ちくわ】さん 8点(2004-12-12 12:42:54) |
6.小津安二郎の『東京物語』へのオマージュのつもりだったのかもしれないが、イタリア人らしい我の強い老人を配したことで、若干パロディっぽくなってしまった。可もなく不可もない作品。おそらくこの作品あたりがこの監督の実力を表しているものと思う。 【バッテリ】さん 6点(2004-01-18 15:25:55) |
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【STYX21】さん 6点(2003-11-23 22:48:45) |
4.昔、劇場へ見に行きました。その当時ニュー・シネマ・パラダイスは見ておらず、比較できなかったのですが、N.S.P.のほうが面白いかな、個人的に。イタリア版「東京物語」といったところでしょうか。 【如月CUBE】さん 6点(2003-09-23 00:42:25) |
3.ビデオのパッケージに、「可笑しくてちょっとほろ苦い」て書いてありましたが、ちょっとか? 老人の孤独さがあまりにも痛々しい。でも現実にありえそうだなこういうの。この監督さんて、いつもながら人間の中の痛々しい現実を見せます。<以下ネタバレ>最後のシーンでふと思ったのですが、もしかして老人は子供たちに、妻の死を言っていないのですか? 老人が「子供たちがお前によろしくと言っていたよ」というせりふ。本当のことなのか、「みんな元気だ」というせりふと同じく嘘なのかが分からなかったんですが・・・。 【アルパチ夫】さん 6点(2003-06-20 19:24:24) |
2.数日前、「アバウト・シュミット」を観たばかりなので、何か似てるなーと思いながら観ました。確かに主人公の老人は少しボケも入ってるみたいだし、独り善がりだけど、なんだかかわいそうで、いたたまれないなあ。同年輩の人が観たらどう思うんでしょうね。それにしても邦題の「みんな元気」っていうのは、どういう意図なんだろう?ほのぼのした作品と見せかけて、実はすごく皮肉の効いてる映画なのでしょうか・・・。 【ぐるぐる】さん 6点(2003-06-01 22:25:22) |
1.この映画はジュッセッペ・トルナトーレ監督の作品と言うことで観てみました。主人公の老人はとても視界が狭い人だと思えます、自分の目にはすべてが上手く言っていて幸せな家族だったようですが実は息子達の不幸の原因の一端は自分自身だったことに気づいていない、留守電に話しているときや度の強すぎる眼鏡もこの人がかなり近視眼的な(主観的な)ことをハッキリと演出している、ラストもこの老人が独り善がり(実は奥さんとも上手くいってなかった!?)なものであったことを表していると思います。この映画のテーマは《隔たり》ではないでしょうか?親と子、夫と妻、自分と社会など多くの隔たりが他者の目にどれほど滑稽に映るかをを描いているような気がします 【Yuu】さん 6点(2002-11-19 13:59:26) |