62.寝床でなかなか寝付けなかった数日前の或る夜。
いつもはラジオ番組のPodcastを聞きながら眠りに就くのだけれど、適当なものが見つからず困った。
何かしら誰かと誰かが話し合う声を聞きながらだと眠りやすい性質なので、何か無いかと考え、ふと某動画配信サービスで「12人の優しい日本人」を探した。
本編はもう何度も観ているので内容は熟知しており、イヤフォンで台詞回しだけ聞いて心地いい映画は他に思いつかない。目論見通り20分ほどで眠りに落ちることが出来た。
ただ、やはり再び全編を観返したくなったので、翌日再々々々々…鑑賞に至った。
「面白い」なんてことはもはや言うまでもないことで、三谷幸喜脚本の映画作品の中では、今なお最高傑作だと思う。
気がつけばもう20年以上前の作品なので、出演している役者たちがそれぞれ「若い」ことも感慨深く思える。
塩見三省、相島一之、上田耕一ら今や映画・ドラマに欠かせない名バイプレイヤーたちの演技が何度観ても良い。
タイミング的に、出演している俳優たちの殆どが、この映画で初めて存在を知った人たちなので、その後の数多くの作品に出演している様を見つける度に、「あ、この人は『12人の優しい日本人』に出ていた人だ」と今なお思うことが多い。
中でも、陪審員8号(主婦)を演じた山下容莉枝などは、その後に観た出演ドラマなどの多くでは、薄幸でやや性格の悪い役柄を演じていて、その度に「こりゃやってないな!」の台詞を思い出しながら、「あの時はあんなに陽気だったのに……」と錯綜してしまう。
とまあすっかりと、自分の映画ライフそのものに染み込んでいる映画と言える。
これからも何度も見返すだろうし、しばらくは引き続きこの映画の「台詞」を聞きながら眠りに就く日々が続きそうだ。
「ジンジャエール!」とか聞こえてくると、ついつい画面を観ちゃうのだけれど……。