13.《ネタバレ》 典雅な英国女優デボラ・カーの魅力と演技力が堪能出来る、お上品な準ホラー映画。「レベッカ」「アザーズ」「たたり」とか、人里離れたゴージャス大邸宅スリラージャンルがお好きな方ならきっとこの作品も楽しめるはず。私は独身オールドミス家庭教師の欲求不満が生み出した「誇大妄想」が、不気味なチルドレンよりこのオハナシに実は深く介入していたのでないかと解釈しましたが、原作未読の為その点はハッキリと断言できず。上品な外見とは裏腹に、あくまで心理的に淫らな内面を時折垣間見せるこの役に、彼女ほどの適役はいなかったと思います。マイルズ君はおやすみのキッスした時、舌先でも彼女の口に差し込んでいたのかな?やるなー、ガキのくせに。とはいうものの、貴婦人デボラの口元も思わず半開きになってたって事は・・・。いかんいかん、オッサンの誇大妄想。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 7点(2022-06-28 09:32:40) |
12.《ネタバレ》 大昔に観たときは、率直によー分からん映画だと思ったのですね。それは、この映画を単純に幽霊映画・ホラーだと思って観ていたからだった、と思うのですが、今回、原作を読む機会があったのでそれを機に観直してみました。 そもそも原作と言うのは、幽霊がメインの要素である以上は間違いなく怪談の類いなのですが、その中でより注力して描写されるのは主人公の心理的葛藤、すなわち、思わせぶりな態度を取り続ける子供たちが実際に「黒なのか白なのか」という部分の疑心暗鬼、或いはグロース夫人との関係性(協調または敵対)の部分に生まれる緊迫感であり、そういった主人公の不安・不穏な感情を描くものとしては確実に(心理的)サスペンスという方が適切なのです。その観点からすると、非常に控えめな幽霊自体の描写、端的なデボラ・カーのヒステリックな感情表現、豪奢ながら寂寥とした屋敷や物悲しいオルゴールの音色が形づくる全体の陰鬱な雰囲気、結局白黒がハッキリしない不可解な結末、といった部分の仕上げ方・出来映えを勘案しても、確かにこれは比較的優れている・的確な方の文芸映画だと言えるのではないかと感じるのですね。 ただ、よく言われることですが「小説(原作)か映画か」という観点で言うと、今作は原作と比較すると実は色々随分と簡略化されている、という部分に若干の残念さを覚えるのも事実です。子供たちに対する主人公の猜疑心というものは、原作では非常に地味な描写の繰り返しによって(最初から最後まで一貫して不穏な空気に包まれつつも)極めて緩慢に形成されてゆくのであり、それが彼女の最終的な狂乱状態に説得力を与えるとともに、その長きにわたる「不穏さ」を味わう、という意味でのサスペンスの醍醐味を同時に生み出しています。が、映画の方は率直にそれが全体的に結構にアッサリしたものに変わっちゃってて、小説を存分に楽しんだ身からすると少しばかり物足りない、という感じなのですよ。 その意味で言うと、映画では特にグロース夫人との関係が非常に軽い描き方になってしまっているのがだいぶ気になります。ジェスルの幽霊がフローラにもグロース夫人にも見えなくて、結果フローラとの関係性が瓦解する場面というのは、同時に唯一の味方であったグロース夫人との協調関係が反転するという点で小説ではココイチ衝撃的な場面だったと言えるのですが、映画ではそれが残念ながらそーいうものにはなっていないのです。そういった部分も含めて(前述どおりかなり上質な映画化だとは言え)やや原作の持つ「ウリ」というものが分かり難くなっている映画、だとも言えるかと思うのですね。 とは言え、全体としてはまま悪くない出来だと思います。私の本当のオススメは小説の方ですが、こちらも決して観て損も無いかと。暇なら是非。 【Yuki2Invy】さん [DVD(字幕)] 7点(2021-04-29 09:49:38) (良:2票) |
11.幽霊映画としてはイマイチですが、先生が徐々に壊れて暴走してゆくサスペンス映画として見応えがありました。子役二人の不気味さは特筆ものです。 |
10.《ネタバレ》 子供のころTV放映で観たときはスッゲー怖かった記憶がありますが、改めて見直してみますと違った意味でこれは怖い映画だなとしみじみと感じました。とにかくデボラ・カーの恐怖に取りつかれてゆく演技が凄すぎ、『シャイニング』のジャック・ニコルソンに匹敵するという意見には全面的に賛成です。後半、自分だけに見えている霊と対決するうちにエクソシストと化してゆく過程は迫力あります。この演技が、オスカー演技賞にノミネートすらされなかったというのはちょっと信じがたいです。またマイルスとフローラの二人の子供が全然かわいらしくないところもよく練られています。フローラ役のパメラ・フランクリンなんて後年の面影(ちょっと変な表現かな)が微塵も見られず、女子ってホントに変わってゆくものなんですね。屋敷にまた独特な雰囲気があって、だいたいあの庭は石像がありすぎでしょう、それだけで怖いです。 英文学の歴史では心理小説の金字塔である『ねじの回転』ですが、それに真っ向から取り組んだトルーマン・カポーティの脚本とジャック・クレイトンの演出は評価されるべきでしょうね。ラストのデボラ・カーとマイルスとの対決で、二人の顔に汗がだんだん滲んできます。これは温室の中でのシーンだというわけですが、緊張感が高まる効果的な演出です。ラストがハッピー・エンドかと思わせておいての絶望感、これは渋い終わり方だと思います。 最近はグロい・イタいホラーが全盛ですがこういう渋い心理ホラーもいいもんです。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-11-04 23:54:21) (良:2票) |
9.《ネタバレ》 昔から観たいと思っていた映画で、やっと観ることができました。先に同じ原作を元にした「妖精たちの森」を観ていたので同じような感じかなと予想していたのですが、こちらはかなりオカルト色が濃かったです。どちらかと言うと「ヘルハウス」「チェンジリング」などの家が舞台のオカルトホラーという感じでした。白黒、闇、たたずんでいるだけの幽霊など恐怖演出が古いですが、かなり怖かったです。むしろ最近の脅かしアトラクション的なホラー映画よりも怖さが後に引きます。あと、少年の演技がとても不気味でした。あのすべてを悟っているかのようなうす笑い、日本の子役では誰も想像できないです。 【金田一耕助】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-05-07 14:48:18) (良:1票) |
8.《ネタバレ》 公開当時、物議を醸すことにならなかったのか、当時の人々の反応を知りたくなりました。オカルト版「名探偵コナン」て感じがしました。イノセントがなんで回転てタイトルになっちゃうんだろう? 意味がわからない。無邪気な者たちという原タイトルはピッタリ不気味なのに。子供をこんな不気味に思えた映画は初めてです。どうやら子供二人には、当時の世相としてはアブノーマルで常軌を逸した性愛に飲み込まれた大人二人が取り憑いている模様で、しかも具体的に描写されないけれど子供が口にするものではないようなスンゴイ卑猥な言葉が発せられたりしているらしい。取り憑かれる以前は、生きていたその大人のすることを目の当たりにしながら生活していたらしい子供たち。男の子は脚本をどこまで理解できていたか知らないけど、あの年であの「中身大人」演技は上手い。「おやすみのキス」と無邪気を装いながらのキスも印象的に不気味。現代となっては映画そのもののつかみやテンポやノリはいまいちなんだけれど、気味悪さは充分味わえました。ラスト、デボラ・カーの責任どうなっちゃうんでしょう? そこもコワイ。デボラ・カーの独り妄想という解釈の方もいるようですが、その場合、彼女が妄想して叱責したら死んじゃったって話? デボラの殺傷能力すご過ぎ。あっ、子供をぐるぐる振り回して殺したのか? だから『回転』なのか? 【だみお】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-02-16 00:59:14) |
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7.《ネタバレ》 いやあ、すっごいですよね! この映画! みんな、「シャイニング」のジャック・ニコルソンとかを「すごい!」っていうけれども、こっちの、デボラ・カーの、すさまじさといったら! いやあ、もう、あきれかえりました。眼を見開くとこの人、黒目のまわりが上下左右ぜんぶ、白目になるんですね。そういうこと誰でも出来るのかどうか、知らないけれども、もうこの映画でのその効果は抜群! このスクリーンのなかで、デボラ・カーが眼をむいただけで、観ているこちらは恐怖感に感染してしまう。 ‥‥ナチュラル言語の英語があんまり聴き取れないなかでの感想だけど、この家庭教師のデボラ・カーって、ひょっとしたら「処女」なんだよね。少なくとも、充実した恋愛体験は持っていない。それで、この屋敷の「古譚」に惹き込まれてしまうし、少年の「おやすみのキッス」にも反応してしまう(もう、この場面の、デボラ・カーの演技の、その凄さといったら!)。 いちおう、むかしにこのヘンリー・ジェームズの原作の「ねじの回転」は読んでるんだけれども、こういうヒロインの「屈折」というのは書かれていたかしらね? まあ、脚本がすべてトルーマン・カポーティだけでものしたわけでもないだろうけれども、トルーマン・カポーティも楽しんだだろうし、監督のジャック・クレイトンもまた、ここで入れ込んだわけだろう。「シャイニング」が「すごい!」なんていってるんだったら、「いやいや、もっとすごいものが!」と、このきょうれつな作品を観ていただきたいものである。大傑作。 【keiji】さん [CS・衛星(字幕なし「原語」)] 9点(2013-10-24 14:27:04) |
6.美人家庭教師が、一人で騒ぎ立ててた感たっぷりの1時間45分。 「おいおい、なんでそんな思考に走るかなぁ…?!(汗)」、「だから勝手に決めつけるなよ」 などと、テレビの前で心ツッコミ。さすが自称 「想像力豊か」 な女は、一味ちがいます。 【マイケル・エリス】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2008-02-13 03:45:38) |
5.《ネタバレ》 女幽霊が出現する場面は、ほとんど引きの画のみ。彼女がどんな顔なのか最後まで分かりません。クライマックスで、どーんとおどろおどろしい顔のアップ!そんなホラーに慣れた身としては、逆に新鮮でした。この例に限らず、“目を背けたくなる”描写は一切なし。でも常に不穏な空気を醸し出す演出はお見事でした。言葉はオブラートに包まれているので、直接的な生々しさはありません。でもよく考えると結構ハード。濃い内容を上品に仕上げてあったと思います。ただラストについては不満(疑問)が残ります。何故主人公は、子供たちに霊の存在を意識させることで、問題を解決しようとしたのでしょう。子供たちが、妄想に捕らわれているだけなら有効な方法かもしれません。でも彼女は霊の存在を確信していたはず。その選択が理解できませんでした。それに結末も唐突。後味の悪さよりも、オチの付け方としてしっくりきません。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-03-30 22:26:35) |
4.《ネタバレ》 もしも本作が完全オリジナルなら大絶賛したかもしれないが、生憎とヘンリー・ジェイムズ原作をベタにトレースしたダイジェスト版以上の存在価値を見出すのは難しい出来。「未知空間の恐怖 光る眼」のマーティン・スティーブンス坊やと、後に「ヘルハウス」でヌードまで披露することになるパメラ・フランクリンの二人が演じるマイルズとフローラってのは敢えて狙ったキャスティングなんだろうが、単純に「ちーーーーっとも可愛くない!」「ていうかキモい!」のが致命的にイタイ、イタ過ぎる。しかも幽霊に取り憑かれて近親相姦っぽいし~。コレじゃ(原作では「わたし」の一人称名詞で語られるだけの)女性家庭教師が二人を必死で救おうとするモチベーションに説得力が全く生まれないではないかぁ~!しかもしかもクイントとジェスルの幽霊をモロに見せるしなぁ。原作ではヒロインしか目撃しないところから単純なホラーものと一線を画した曖昧模糊な心理小説的側面も見せる秀逸さだったのだが。寧ろ敢えて「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」みたいに全く見せなければ観る者のイマジネーションを刺激できただろうに…。ハッキリ言って監督のクレイトンにも脚本のカポーティにも失望を禁じえない。とは言うものの、デボラ・カーのヒロインは(やや老け過ぎながら)気品に満ちた熱演だし、モノクロームカメラが捉えたブライ邸の不気味なたたずまいは正統ゴシック・ホラーのムードを絶妙に高めてくれたのも事実。70年代以降に量産されるグロ・スプラッタなんかとは同列にしたくはないのでオマケして7点。 【へちょちょ】さん 7点(2004-09-18 01:13:57) |
3.これがオカルト映画の原点だ!って事は分かってはいるんですが…すみません、平均点下げちゃいます。確かに雰囲気は凄く良かったし、ちょっと官能的なカンジも良くて、話ものめりこめました。でもそれもラストで全て消え去りました。何だあのラスト……。思わずずっこけました。あれで…解決した事になるんでしょうか…?死んだ恋人達の霊が悪く描かれすぎなんじゃないかなぁと思いました。私が読んだ本の紹介文ではそんな風に書かれてなかったんだもん…。まぁでもデボラ・カーはキレイでしたvv 【Ronny】さん 3点(2004-07-23 01:32:12) |
2.モノクロなんで背景やら何やら見にくいんだけど、、これは意図的になんだろか?そうでなくって偶然にもそう見えてしまうのか?心霊写真の原点ものなのか?なんかいっぱい見えてくるよ 壁やら背景やらに顔らしきものがヌボ~ッとさっ・・。 【3737】さん 7点(2004-07-21 22:46:30) |
★1.けっこう真面目にゾクゾクさせられる。恐怖演出というか、デボラ・カーの怯えきった表情に始終ドキドキさせられっ放し。パッと一瞬映って「あれ、今の見えた?」的な仕掛けには脱帽。近年の『アザーズ』などのゴシックホラー映画の元ネタはこれでしょうかねぇ。ホラー映画にして凄く上品で、とても丁寧に作り込まれているという印象を受けました。 【かんたーた】さん 7点(2004-07-15 21:48:21) |