1.フィリップ・ガレルという人は、常に私小説の様な映画を作っているのだそうです(とすると、「夜風の匂い」は彼にとって少し毛色の変わった映画ですね)。麻薬で死んだ昔の恋人をモチーフにした映画を製作する監督が、資金獲得の為に少し危ない橋を渡る。そして今の恋人にヒロインを演じさせる。その恋人は演じている内に、徐々に監督の昔の恋人に感化されていく…。このプロットでハリウッドが作れば、犯罪サスペンスと愛憎サイコ・スリラーを絡めた映画が出来上がりそうですけど、本作は全くもってそんなことのない、正に私小説的映画となってます。しかも、ダラダラと長い白黒映画。ラストは未完成みたいな終わり方で観客をほっぽり出してしまいます。私は余り人に観せる様な作品だとは思えませんでした、3点献上。